節約や倹約も大切だけど対価を払うということも同じくらい大切な感覚

SNSに「閉店のため」といった謳い文句で、ブランド品などを販売するサイトの広告を出している会社があります。あんなの信じる人はいないだろうと思っていたら、意外とたくさんの人が詐欺に引っかかっているようです。旨い話でもなんでもなく、少し考えればわかりそうなものなのですが。

例えばブランド品の時計が定価の20〜30%くらいの価格で売られています。仮に倒産するから手放すとして、本物ならメルカリでもなんでも使えば80%くらいの値段で売れます。それを20〜30%程度で売るというのは、常識的に考えてあり得ないこと。どう考えればそれを手にしたくなるのか、逆に気になります。

もちろん悪いのは業者であり、それらの広告を無審査で通しているSNSなのですが、相手が悪いとしても、引っかかるほうもどうかしています。それくらい、世の中にはお得であることを求める人が多いということなのでしょう。もしかしたら、私だって20年前なら引っかかっていたかもしれません。

騙された人も、なんらかの違和感はあったはずです。でも、お得になるという感覚がその違和感を消し去ってしまった。人間というのは、本来そういう生き物なのかもしれません。理性があるとはいえ、本能もあり動物でもあるわけで、反射的に自分に有利な情報を信じてしまう。

必要かどうかも関係なくなり、「これは買わないと損する」という思考になるのかもしれません。得したいというよりも、得しなかったことを損と考えてしまう。私はそれをはしたないと感じるわけですが、すべての人がそう感じるわけもなく、やっぱり人間は損得で動いてしまいます。

楽して稼ぎたい。労力をかけたくない。その気持ちはわからなくもありませんが、じゃあ楽して稼いで何をしたいか。多くの人はきっと「遊んで暮らしたい」と答えるでしょう。でもまず間違いなく、遊んで暮らしてところで1年もしないうちにそんな生活には飽きてしまいます。

働かざる者食うべからずは、貧乏人に働けと言っているのではなく、お金持ちにも等しく当てはまる言葉です。世の中には実際に遊んで暮らしている人もいるかもしれませんが、たとえば定年退職した人が、やることがなくて結局また再就職するというのはよく聞く話。

少しくらい得をしたところで、人生においては小さなこと。損して得してトントンな暮らしでいいじゃないですか。わざわざ得を取りに行く必要なんてなく、自然の巡り合わせでやってくるのを待てばいい。いや、待つことすら不要です。ただ目の前のことに集中するだけで十分です。

対価を払うという感覚が薄れているという問題もあります。幸い私のクライアントさんはみんな、仕事に応じて私が生活に困らないだけの対価を払ってくれます。それが時として「モノ」となることもありますが。ところが世の中には対価を払いたくない人が少なくありません。

ライティングの世界では1文字0.1円みたいな仕事もあります。1時間で2,000文字書いて、200円にしかなりません(恐ろしいことに、それを請ける人もいます)。発注者は仕事に見合う対価を出したくないわけです。それはイレギュラーなことではなく、多くの人が心の中で感じていることだったりします。

倹約すること、無駄遣いしないことはとても大切なことです。でも、自分が受けたサービスに対して対価を払うというのも、資本主義経済においては大切なこと。30万円する腕時計を5万円程度で買うというのは、仮に実際に本物をその値段で買えたところで、正しくない行為だと私は考えます。

正しい金額で買えないなら、それは身の丈に合ってないということ。それを買えるようになるように努力するか、手の届く範囲で満足するかは人それぞれ。でも、実際の価値よりも安く手に入れようとするのは美しくありません。まあ私のようになんでも安物で済ますのもいかがなものかと思いますが。

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