しげ のすべての投稿

ハダシスト重松の2018年総括

P3040076

今朝から東西対抗東海道ウルトラマラソンを走るため、このブログが年内最後の投稿ということになります。そういえば、2018年の振り返りをしていなかったなと思い、2018年の総括をしておくことにしました。

とはいえ、わたしは1年という単位をそれほど重視していません。2018年から2019年になって何かが急に変わるということはなく、明日は今日までの積み重ねの先にあるという考えは若い頃から変わっていません。

そんなカッコつけの言葉はともかく、2018年を振り返るとしましょう。

まず大きいトピックとして挙げられるのが、愛媛マラソンでアスリート枠を取り戻したということです。何年も連続で失敗していた愛媛マラソンでのサブ3.5。万全の準備をして、なんとか3時間23分でクリアしました。

P2040021

その後、3月に南横ウルトラマラソンで入賞できたのは、これに向けてしっかりとトレーニングを積んでいたからでしょう。

ただし、わたしとしてはこの南横ウルトラマラソンまでが凡人の領域だったと思っています。4月からはハルカススカイランに向けての肉体改造が始まり、これまでとはまったく違うアプローチでトレーニングを始めました。

筋トレが中心になるので、必然的にトレーニングに強弱が付きます。結果的に超回復理論を利用した形になり、「練習はがむしゃらにすればいいのではない」ということを学びました。

ただし、結果が出始めたのは夏以降で、宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンを走ったときに、明らかに以前とは違う感覚になっているのに気づきました。ただし、ハルカススカイランは惨敗でした。

P4130047

トレーニングしてきた筋肉と階段で使う筋肉がまったく違うという痛恨のミス。

ただ、圧倒的な努力は必ず報われるものです。ワークマンの980円シューズで軽く走った国宝松江城マラソンでサブ3.5を達成したのは記憶に新しいところです。その後、花蓮太平洋縦谷マラソンで裸足で久しぶりにサブ4でした。

ハルカススカイランでは結果が出ませんでしたが、ランナーとしては愛媛マラソンのときとは比べ物にならないくらい走れる体に仕上がっています。

あらためて思うのは、練習が大事だということでした。

P8190301

物書きとしては新しいことはほぼありませんでした。RUNNING STREET 365で書いたワークマンのランニングシューズ記事がバズったくらいでしょうか。

このブログをSNSから切り離したので、アクセスはかなり減りましたが、のびのび書けるようになったのも意外と大きいことかもしれません。この国では表現の自由がない状態にあり、常に誰かに気を使って言葉を綴らなくてはいけません。

そういう環境から少しでも離れて、自分の思うがまま書ける場を持つというのはとても重要なことでした。その結果がRUNNING STREET 365のバズった記事につながっているのだと思います。

今年は海外に行った数がかなり少なかったような気もします。台湾に2回と北京に2回。普通の会社員の人と比べると多いのかもしれませんが。

P5010086

春の万里の長城マラソンではかなり北京を散策したので、より深く北京を楽しむことができました。それがベースに合ったのでラン仲間と行った秋の万里の長城マラソンは、充実したものになったように感じています。

そして、この1年で台湾人の仲間がたくさんできました。これは縁としか表すことができませんが、人の縁とはなんとも不思議なものです。

そして、やはり今年最大のトピックは花蓮を知ったということです。これまでわたしが好きな街は、北京と台北と言ってきましたが、台北が花蓮に置き換わりました。北京・台北・鶴巻温泉が北京・花蓮・鶴巻温泉といったところでしょうか。

もちろん台北も好きな街ですし、美味しいお店をかなり知ることができたので、行くのは楽しみです。ただ、花蓮を知ったことで、台北は自分の街ではないかなという感覚があります。東京と同じようなものですね。

PC140120

もしかしたら、中国でも北京に変わる場所が見つかるかもしれません。

そういう意味では鶴巻温泉も、平泉に置き換わりそうになっています。奥州きらめきマラソンを走ったときに行った平泉。この世にある極楽浄土とでも表現すればいいでしょうか。あんなに透明感のある町をわたしは他に知りません。

こうやって振り返ってみると意外といろいろありましたね。

いま思い出せないだけで、他にもいろいろありましたし。八丈島に行ったり、東京坂道ランを始めたのも今年です。かなり東京の道に詳しくなりました。ランレコードのメダルスタンドも徐々に売れるようになってきました。

P9170137

はじめましてのラン仲間もたくさんいましたし、そういえば長く会っていない友もいます。

やりたいことはたくさんありますが、やるべきことが多すぎて、積んでいたガンプラは妹の旦那さんに譲りました。きっと2019年もこんなふうにして流れていくのでしょう。

2019年に何をするかは、東海道を走りながら決めようかなと思います。たっぷり4日もありますから。今日の7時からリアルタイムで居場所が分かりますので、下記リンク先をたまにチェックしてくださいね。

それでは良いお年を。

http://www.trailrouteview.com/user/ewtu2018/map/view.html


きょうのできごと、十年後 (河出文庫)
著者:柴崎友香
楽天ブックス:きょうのできごと、十年後 (河出文庫) [ 柴崎 友香 ]

第4回東西対抗東海道ウルトラマラソン走ります

PC300089

いろいろあって、今年の年末年始は第4回東西対抗東海道ウルトラマラソンを走ることに。主催者なんですが、東軍のラン仲間が出られなくなり、わたしが走ることに。

今回は日程調整をした結果、12月30日スタート1月2日までです。毎年走ってくれている西軍の出口くんは、1日に遅れの12月31日にスタートです。ハンディマッチという形です。

相手は日の丸を背負って走ったことのある実力者ですから、1日くらいのハンディがないと勝負になりませんから。なんせ出口くんは京都三条大橋から250km先の天竜川まで2日で走ろうとしています。

PC280031

わたし?

まぁいろいろプランはあるのですが、いかんせん走ってみないと分かりません。昨日も練習途中に急にめまいがあって練習を中断したくらいコンディションがいまいちです。

言い訳みたいでみっともないのですが、ただ完走だけはしてこようと思います。今回走れなくなったラン仲間の意思をつなぐためにも。

そして、この東西からスタートする形式を今回で終了にしようと考えています。来年のどこかの3連休か土日を使って、日本橋か三条大橋からの一斉スタート。

PC280012

それぞれのチームでどれだけ宿場町を通過できるかを競う形にしたいなと。簡単に言えば参加しやすい環境を整えようかということで。わたし自身の負担も減りますし。

候補は9月末か10月の体育の日の3連休。

まぁそれは出口くんと相談しながら決めようかなと。今は1日後に迫ったスタートに向けて集中していこうと思います。ここ最近はうまく走れすぎているので、そろそろ落とし穴がありそうな予感もしています。

いま体調が悪いのがすでに大きな落とし穴なんですが。

PC300066

その反面、これまでよりもきちんと走れるのではないかという期待もあります。日本橋から東海道を走るのはこれでもう何回目になるのか分かりません。骨折明けで茅ヶ崎で断念したこともありました。

これまで小田原まで1日で走ったことはありません。ですので、第1の目標は80km先の小田原。そして翌日に清水から静岡の間まで行き、3日目でゴールというのが理想ですが理想通りにいかないのが旅ラン。

いや、今回はレースです。ハンディがあるとはいえガチンコ勝負。まさか自分が出口くんと競い合う日が来るなんて思いもしませんでしたが、運命とは面白いものです。

ランナーとしては雲の上の存在。最もわたしの周りには雲の上の存在だらけです。あまりにもみんなが雲の上に行くので、そろそろ雲が落ちてこないか心配しています。知らんけど。

PC300063

ただ250kmという距離には不安はまったくありません。これまで積み重ねてきた旅ラン、五街道制覇は伊達ではないといったところでしょうか。きちんと走り切るイメージはあります。そのように体が動くかどうかは別として。

そして、その感覚を持っているのは意外と少ないようです。

たいていは250kmという距離を走るとなると、気合を入れて準備をしますし、多少なりとも高揚するのでしょう。でもわたしに高揚感はまったくありません。距離なんてただの数字でしかありませんから。

時間をかければほとんどの人が自分の足で移動できるわけです。それをちょっと急いで走るだけです。自分を過信しなければ、きちんと最後まで走り抜くことができることをわたしは知っています。

PC290058

あと今回は遊び心を手放さなくてはいけません。普段の旅ランのように写真を撮ってTwitterに上げてなんてことをする余裕はありません。1日の終りに時間があればしますが。

ただ、今年もTrail Route Viewの準天頂(QZSS)対応位置情報表示サービスの協力をいただいていますので、下記リンク先から出口くんとわたしの現在地が分かります。

http://www.trailrouteview.com/user/ewtu2018/map/view.html

年末年始で予定が埋まっているかとは思いますが、ちょっとした空き時間にでもチェックしてください。東海道の近くに住んでいるというランナーさんがいれば東西ともに並走をお願いします。

1月30日は7時に日本橋をスタート。出口くんは1月31日5時以降に京都三条大橋をスタートします。応援よろしくお願いします。


新版・完全 「東海道五十三次」 ガイド (講談社+α文庫)
著者:東海道ネットワークの会
楽天ブックス:決定版東海道五十三次ガイド (講談社+α文庫) [ 東海道ネットワークの会21 ]

カーボローディングをすると体重が増えるという事実

Spaghetti 863304 640

わたしは旅ランのとき、マラソン前日や前々日に3万歩とか4万歩くらい歩くことがあります。20kmを超えることもあるので、ちょっとやり過ぎだなとは思うものの、旅がメインなので仕方ありません。

でもちょっと気になることがひとつ。たくさん歩けば歩くほど、トイレが近くなります。わたしは基本的に水分をあまり摂取しないタイプで、2泊3日の旅なら初日に買った水を家まで持ってかえることもしばしば。

そんなに水分を摂らないのに、前日や前々日に歩き回るとかなりトイレに行きたくなります。下手すると30分ぐらいしたらトイレを探しているなんてことも珍しくありません。

これはわたしの解釈ですが、きっと体内に溜まっているグリコーゲンを使っているのだと思います。逆カーボローディング状態で、たくさん歩けば歩くほどエネルギーが消耗されていく。

Weight loss 2036965 640

グリコーゲン1gを体内に貯蔵するには3gの水が必要だと言われています。そして体内に貯蔵できるグリコーゲンは300gくらい(人によりますが)ですので、MAX貯蔵したら水分とグリコーゲンだけで1.2kgも体重が増えます。

マラソンでカーボローディングをしている人は、レース前には1.2kgの増量をしているのと同じです。1kg体重が増えるとフルマラソンで3分タイムが遅くなると言われています。

ランニング中にグリコーゲンを消費していますし、汗もかいているので後半には体重が軽くなっているはずですが、基本的には重たい状態でスタートすることになります。

さらに、しっかりと炭水化物を摂ることで、そもそもの体重も増えてしまいます。 口から摂取された食べ物が便として排泄されるまでの時間は24〜48時間と言われていますので、当然食べ過ぎも体重増です。

Water glass 3665722 640

カーボローディングなんかしても良いことないんじゃないかと思うわけです。トップランナーの世界は知りませんが。

というのも、わたし自身が12月の3レースのすべてで、水分とグリコーゲンがかなり抜けた状態でレースに挑んでいますが、いずれもエネルギー切れもせずに、失速なく比較的うまく走ることができました。

グリコーゲンを貯め込むくらいなら、むしろ消耗させて体を軽くしたほうがいいのでは?とそんなことを感じたので、こうやって書いてみたわけです。

トップランナーは体への負荷が大きいので、脂肪をエネルギーにするというのが難しいのですが、わたしのような3時間から5時間くらいで走るランナーなら脂肪をエネルギーにして走ることも可能です。

Medal 3684076 640

いや、むしろそのほうが効率よく走れるような気がします。オーバーペースにならないで済みますし。

ネタとしてマラソン前日に「カーボローディングしよう」というのは好きにすればいいと思うのですが、本気にして炭水化物ばかり摂取したら、スタート時に体が重いなんてことになりかねません。

なのに、レースの前半にタイムを稼ごうとして無理なスピードを出したり、無理やり設定ペースにまで上げようとしたりするから失速するわけです。

ネガティブスプリットでうまく結果が出ている人は、もしかしたらそのカーボローディングがハマっているからではないかとも考えられます。体が重い前半にはゆっくり目に入って、体が軽くなる後半にスピードを上げる。

Shrimp 1209744 640

逆に言えば、カーボローディングしていないなら、ネガティブスプリットはうまくハマらない可能性があります。

最近の3レースで、わたしはほぼすべて同じペースを守る走りをしています。脂肪を使って走れていましたので、フラットなペースがハマったのでしょう。

どちらがいいとか悪いとかではなく、闇雲にネガティブスプリットにしたり、カーボローディングしても意味がないんじゃないかという考え方の提案です。

マラソンでは「これさえしておけば安心」というものはありません。対策として何かをすれば、必ず別の何かが失われます。だから、上手に対策を組み合わせてレースを走るという賢さが求められます。

Running 1301313 640

行き当たりばったりで走るのも構わないと思いますが、それができるのは30代くらいまでではないでしょうか。40代50代になってきたら、知識と経験をフル活用して走りの最適解を導き出す。

これまでカーボローディングをしてもいい結果が出ていないという人は、騙されたと思って逆カーボローディング。前々日くらいから体内のグリコーゲンを可能な限り使い切ってみてはどうでしょう?

最も、脂肪を使って走るというのができないと早々に失速することになりますので、普段の練習から空腹時に走る習慣をつけておく必要がありますが。

とりあえず、カーボローディングは体重が増える。これだけでも頭に入れて、その上で自分に最適で合理的な準備方法やレース展開を進めてみてはいかがでしょう?


最新版 アスリートのためのスポーツ栄養学: 栄養の基本と食事計画 (GAKKEN SPORTS BOOKS)
著者:柳沢 香絵
楽天ブックス:アスリートのためのスポーツ栄養学 栄養の基本と食事計画 (Gakken sports books) [ 柳沢香絵 ]

圧倒的な才能を目にしても努力を続けていく意味

Marathon 3753907 640

初めて全国高校駅伝をテレビで見ました。スタートから3区まででしたが、3区でとんでもない光景が目に入ってきました。8位で襷を受け取った倉敷高校の第3走者であるフィレモン・キプラガット選手が一気に7人を抜き去り1位になりました。

しかも後続に35秒もの差をつけて襷をつなぎました。

その後、倉敷高校は世羅高校に抜かれたものの6区で逆転し、2年ぶり2回目の優勝となりました。3区は8.1075kmで、フィレモン・キプラガット選手は22分55秒で走っています。1kmあたり2分50秒という計算になります。

他校の上位陣でも23分台の前半がいいところで、同じ22分台を出したのは大分東明で、同じく留学生のベヌエル・モゲニ選手です。

Spot 862274 640

全国高校駅伝は7区までしかありませんので、このようにずば抜けた留学生がいることが上位入賞の条件のようになっています。2位になった世羅高校も4区には留学生のジョン・ムワニキ選手が区間タイ記録で走っています。

このような留学生の存在がいることで、全体のレベルが上がるのかもしれませんが、わたしは3区で上位の選手がフィレモン・キプラガット選手に抜かれていくのを見て、彼らはこのあと陸上を続けられるのか心配になりました。

圧倒的な力の差を見せつけられたわけです。全国に出てくるような選手ですので、日本人の中ではかなりずば抜けた才能を持っていて、しかも厳しい練習を行っているのに、簡単に抜かれていく。

同世代にそんな存在がいるというのを知ったら、どこにモチベーションを持って陸上競技を続けていけばいいのでしょう。高校時代のわたしならきっと、辞めてしまうような気がします。

Chess 1483735 640

もちろん、わたしも小さな頃から野球やハンドボール、サッカーといろいろなスポーツをしてきましたので、圧倒的な才能というものに何度もぶつかりました。

チーム内でも下手なほうに入る選手でしたので、さっきの話でいえば辞めていてもおかしくありません。でも、わたしは下手なのにプロを目指しました。

サッカーの場合、圧倒的な才能があるからといってプロになれるわけではなく、下手だからプロになれないというわけではありません。下手でも何かひとつ他人に負けないものを持っていれば、それを戦術の中で活かしてもらえることがあります。

団体スポーツの場合は、選手はパズルのピースのひとつであり、才能で劣っていても使い所はどこにでもあります。

Puzzle 1794612 640

でも陸上競技のような個人競技の場合、絶対に手の届かない才能が目の前にあったら、そこにはひれ伏すしかありません。市民ランナーなら「速いことだけがマラソンではない」とうそぶくことができますが、陸上選手となると話は別です。

大学生になったら成長するかもしれないという考え方もありますが、同じだけの努力を才能を持っている人にされると、追いつける理由がどこにもありません。

そういうときに大人として「頑張れ」と声をかけるようなことは、わたしにはできません。

そこから圧倒的な努力をすれば報われることもあります。ただ、その努力が陸上選手として報われるかどうかは分かりません。陸上競技を辞めて何かを始めようとしたときに報われることもあります。

Studying 951818 640

だから努力は必要だとわたしは思いますが、実際に本物の才能を目にして怯えている状態になった人に、圧倒的な努力は必ず報われると言っても、その声は届かないでしょう。

ランレコードのブログにも少し書きましたが、わたしは今年2つの圧倒的な才能の存在を知りました。

1人は歌手のあいみょんさん、1人は女優さんであり歌手である上白石萌音さん。2人とも20代前半の若い才能です。上白石萌音さんは「君の名は」の声優も行っていますので有名らしいのですが、わたしはその映画を見ていないので、最近になって知ったわけです。

彼女の歌声は本当に美しく、自分に歌手になる可能性が1ミリもなくて本当に良かったなと思っています。あんな歌声を聞かされたら、自分の存在意義が分からなくなってしまいます。

Guitar 3853132 640

そしてもう1人、あいみょんさんがわたしにとっての問題です。彼女が新曲を出すたびに、その歌詞に自分の無力さを感じずに入られません。自分が一生かかっても作り出すことのできないフレーズの数々。

物書きとしての圧倒的な才能を見せつけられたわけです。

もちろん、わたしはしがない物書きで、彼女はシンガーソングライターですので交わることはまずありません。わたしが比較対象に上がることもないでしょう。ただ、彼女の言葉はわたしの胸を強く締め付けます。

そこには絶対に手が届かないことがはっきりしている苦しさ。

Race 695303 640

世の中は残酷だなとは思います。圧倒的な才能は周りの小さな才能を潰していきます。ときにはまだ蕾の状態にある才能すら、消し去ってしまうことがあります。

わたしにとっての救いは彼女たちが同年代ではなく、20歳以上も年齢が離れているということ。43年も生きていれば圧倒的な才能とどう向き合うべきか、それなりに心得ているつもりです。

報われると信じて圧倒的な努力を続けていくこと。ただそれだけです。


天才はあきらめた (朝日文庫)
著者:山里亮太
楽天ブックス:天才はあきらめた (文庫) [ 山里亮太 ]

物書きには盆暮れ正月もクリスマスもないが喜びはある

Notebook 2541746 640

物書きは人が休んでいるときに働くものだと教えてくれたのは伊集院静さん。伊集院静さんも先輩の作家さんからそう学んだとのこと。わたしは作家ではありませんが、物書きに盆暮れ正月などありません。

もちろんクリスマスも。

この仕事を始めたころはそれこそ意気込んで「物書きにクリスマスなどない」なんて言っていましたが、気がつけば4回目のクリスマス。完全に意識から抜けていました。

いや、12月の温かいこと。そしてここまでの半月以上を自宅外で過ごしていたので、仕事をしないと行きてくことすらできないわけです。寝ても覚めても仕事です。

Traveler 2203666 640

ようやく物書きらしくなってきたのかもしれません。

こういう生き方は人によっては「大変だな」と思うかもしれませんし、わたしの遊び回っている姿だけ見て「気楽なもんだ」と鼻で笑う人もいると思いますが、基本的にわたしは人の目は気にしないので。

いや、まったく気にしないかというとそうでもなく、外を歩くときに見栄えくらいは気にします。社会の毒にも薬にもならない存在なんだから、外にでかけたときも不快感を与えないようにしたいなと。

不快感を与えないようにしながらもインパクトを残すというのでsousouスタイルにたどり着いたわけですが、生き方も財布も薄っぺらい物書きには予算が合わずに、最近はユニクロさんにずいぶんとお世話になっております。

Feet 349687 640

伊集院静さんが物書きたるものファストファッションの服など着るべきではないとかどこかで言ってそうですが、まぁわたしは彼の弟子でもありませんし、わたしにはわたしの生き方があります。

美味しいと思うところだけを真似て薄っぺらく生きるのもわたしスタイル。

人生で深く掘るべきところなんか1つあればいいんです。どこを掘っているか、どこまで掘ったのかは誰にも教えませんが。わたしに何かあったときにでも探してください。

人の目を気にしないというのは、楽なものです。そういう意味ではイケメンに生まれなかったことは幸いかもしれません。イケメンは誰も自分のことを見ていないという感覚を知らないまま行き続けるわけです。

Model 1246028 640

それはもう息苦しいですし、常に見られていることを考えて一挙手一投足に気を配るわけです。

「お前のことなんか誰も見ていないよ」なんて言ってくれる人もいません。だって、美男美女は存在するだけで目で追ってしまうわけですから。芸能人も可愛そうだなとはおもいます。

売れなければ食べていけないけど自由に街を歩けるわけで、売れてしまうと食うには困らないけど自由がなくなるわけです。中山道の路傍で野宿というわけにはいきません。

そういう意味ではわたしもマラソン大会ではやや不自由な思いをすることはありますが、見られていても見られてなくても気を張るタイプではないのは、やはり見られることに慣れていないからなのでしょう。

Igromania 1894847 640

先日会った人が初めましてだとおもったら、どうやらわたしを知っているとか。裸足の河童もそこそこ知られる存在になってきたわけです。あれは正直なところあざといやり方なので好きではないのですが、いまさら引くに引けず。

初期設定を間違ったアイドルみたいなものです。こりん星なんてどこにもありやしません。

裸足の河童を知っていると言われるよりも、やはり自分の文章を面白かったと言ってもらえるほうが何倍も嬉しいわけです。評価が欲しくて書いているわけではありませんが、わたしだって喜んでもらえれば心が満たされます。

年に1本くらいしか、ヒット作がないのが問題ですが、才気溢れるタイプではありませんので、年に1回でも身に余るというものです。自分の書いた文章を何万人も読むなんて、イメージすることすらできませんから。

Coffee 2437190 640

まぁ売れっ子の作家さんは何十万部も売ったりするわけですから、もはや想像どうこうといったレベルではありません。マラソンで言えば1kmを2分台で走るような人たちです。分をわきまえないと大ケガをします。

わたしは自分の文章力はランニング力と同じくらいでしょう。そこそこ速く走れてもキロ3分台がいいところ。天才たちの領域にはどうやっても届きません。でも、そこにだって居場所はあるわけです。

その居場所だって、安泰なわけではありません。自分が出せる最高の文章を紡ぎ出し続けること。これが物書きが存在し続けられる唯一の条件です。

というわけで、物書きには盆暮れ正月もクリスマスもないわけです。浮世離れをするわけにはいかないので、コンビニでケーキだけ買ってきて昨夜の夕食後にいただきましたが。

メリークリスマス。このブログを読んで、笑顔になってくれる人が1人でもいますように。


作家の収支 (幻冬舎新書)
著者:森 博嗣
楽天ブックス:作家の収支 (幻冬舎新書) [ 森博嗣 ]

辛いことも悲しいことも全部笑いに変えていきたい

Babe 2972221 640

ひさしぶりにでかい風邪をやらかしましたが、滅多ないことなのではしゃいでいます。わたしは子どものころは虚弱体質で、それを改善するために水泳や野球を習ったり。

アトピー持ちだったので、いま考えれば水泳というのは1番良くないんじゃないかと思うのですが、とにかく体が弱いのを親がなんとかしようと思ったのでしょう。

おかげで、今では海でも好きなように泳げますし、野球は下手なりに観戦を楽しめるくらいにはなっています。ただ、風邪を引くことも減ったので、ちょっとさみしかったりもするわけです。

体が弱いというのは自分の中で背が低いというのと同じくらい、いや同時並行的なコンプレックスでした。足は遅いからかけっこではいつも後ろから数えたほうが早く、野球でもレギュラーになったことは一度もありません。

Girl 872149 640

中学のハンドボールも、高校時代のサッカーもいつもベンチかベンチにも入れず。

中学時代になると、虚弱体質ではなかったですがとにかくスポーツが苦手。いや、苦手というよりはそう思い込んでいただけだというのは今なら分かります。

自分が思っている以上に周りはわたしのことを評価してくれていましたし、そう悪くない立場にもありました。

でも、それよりも自分のコンプレックスのほうが大きかったような気がしますし、何をやってもうまくできない過去の自分がベースにあるので、自分には何かが常に足りないという意識があるからのような気がします。

People 2585733 640

みんなと比べて常に劣っている。これはこれまでもそうでしたし、生きている以上は常に付きまとうコンプレックスでもあります。いや、ここまでくると、わたしにとっては常に寄り添ってくれる友だちのような存在です。

どんなに結果を出そうとしても、小さかった頃の自分が現れて「お前が優れているわけではなく、今回は運がよかっただけだ」と言ってくれます。自分を戒めてくれる存在が自分の中にいることは悪いものではありません。

ただ、こうやって体が弱ったときには、自分の中のもう1人の自分もかなり弱っているので、大人しくなってしまいます。

その結果、目立ちたい自分が出てきてSNSなどで「体がつらい」アピールをしてしまう自分がいます。まぁみっともないことですが、体調悪化で浮かれているのはまだ余裕がある証拠ということで。

Ball 1845546 640

以前はこういう部分を直したほうがいいなぁと思っていました。男なら黙って耐えるというのはかっこいいと思いますし、そういう人を素敵だなと思います。

でも、そういう人になれるかどうかというのは別問題です。寡黙で動くべきとき以外にはじっとしている。どう考えても自分のキャラではありません。ボケられるとツッコみたくなりますし。

きっと自分は辛いこととか悲しいこととか、わりとネガティブなことを言葉にして笑いにするのが好きなんだろうなと、自己診断しています。良いように言えば苦しみや悲しみを溜め込まない。

悪いように言えば苦しみや悲しみと向き合おうとしない。

Happy woman 1209728 640

だって、永遠の命があるわけではないので、できるだけ笑っている時間を長くしたいじゃないですか。苦しみを溜め込んだっていいことなんて一つもありません。

「もっと耐えなさい」「もう少し頑張りなさい」

どこまで耐えれば良いのでしょう?どこまで頑張れば良いのでしょう?そしてそれはどういう形で報われるのでしょう。

耐えない、溜め込まない。できる限り言葉にして発散する。これがわたしのスタイルです。まぁ周りからすれば鬱陶しいかもしれませんが、こんなときくらいはお許しください。

Happy 1281590 640

風邪でも引かないことには注目されない存在なんですから。

とはいえ、そろそろ本気で治さなくてはと少し焦っています。年末年始の東西対抗東海道ウルトラマラソン、東軍としてわたしが走ることになったので。

3日間で250km、西軍の出口くんは仕事の都合で1日遅れのスタート。1日のハンディをもらった形になりましたが、日本代表クラスのランナーに一矢報いることができるのか。

それはここからのコンディション次第です。なので少し焦っていますが、何ができるわけでもないので、栄養をしっかり摂って睡眠時間も確保して年末を迎えようと思います。


トレイルランナー ヤマケンは笑う。 僕が170kmの過酷な山道を“笑顔”で走る理由
著者:山本健一
楽天ブックス:トレイルランナーヤマケンは笑う 僕が170kmの過酷な山道を“笑顔”で走る理由 [ 山本健一 ]

GPSランニングウォッチが自分の限界を作ってしまう?

PC150088

マラソンはやっぱりメンタルのスポーツだなと、花蓮太平洋縦谷マラソンを走って強く感じました。レポートでも書きましたが、あの日のわたしはGPSランニングウォッチをつけていませんでした。

そのため、自分がどれくらいのペースで走っているのかはまったく分かりません。

コース全体の路面状況も分からないので、とにかく余力を残しながら走ろうというのが頭にありましたが、結果的には6年ぶりに裸足で4時間以内に完走しています。

6年前はかなり必死のパッチで、足裏に血豆を作りながらの3時間53分31秒というタイムでした。

PC150034

こんなに痛い思いをしてまで、裸足で頑張って走る必要はないということで、そこからは裸足でタイムを追うことはやめていました。ところが今回は自分の気持ち良く走れるギリギリのペースに落とし込んだ結果、サブ4だったわけです。

もしGPSランニングウォッチを持っていたら、このタイムでは走れていなかったかと思います。

実際にGPSランニングウォッチをつけた台北マラソンはネットタイムで4時間24分11秒です。そこから1週間、左足の甲にシャレにならないレベルの痛みが発生したので、正直リタイアも選択肢にありました。

結果的には、スタートしてから1度も痛みが出ませんでしたが、もし自分のペースが分かっていたら「速すぎる」と自分で自分を制していたはずです。

PC150036

でもペースがわからないから、潰れてもいいやという気持ちもあって、とにかくきれいに走ること、リズムを保つことばかり考えていました。両足のアキレス腱が固まったときは、さすがに「ここまでか」と思いましたが。

そこからペースが落ちたのは明らかですが、いったいどれくらい落ちたか分かりません。

タイムも距離も分からないので、やるべきことは皮算用ではなく「ベストを尽くす」ことだけに絞られました。そうなると集中力が増していったのでしょう。アキレス腱の違和感もなくなり、足が思うように動き出しました。

いつも言っていることですが、痛みは感情ですのでコントロールすることはできます。足裏の痛みだって、関節や筋の痛みだって同じです。痛みの感情を超える感情を与えれば、痛みはなかったことにできます(それがいいことだとは思いませんが)。

PC150053

でも、GPSランニングウォッチでペースや残り距離が分かっていると、頭の中で痛い理由を考え出し、痛みを受け入れようとしてしまいます。それが台北マラソンの残り2kmでした。

「どうやっても4時間30分で走れるし、無理する必要ないやん」と、一気にペースダウン。

花蓮太平洋縦谷マラソンは、すべて自分の感覚だけです。残り5kmからは距離表示がありましたが、手首に巻いていた活動量計の表示は雨に濡れて見えにくく、現在の時間もなんとなくしか見えません。

ただ頑張るしかありませんので、声援を背にして残った力を振り絞ることだけに集中しました。

PC150061

その結果が予想外のサブ4だったわけです。ここで言いたいのは、別に4時間以内に走ったことを自慢したいわけではなく、少なくとも4時間以内で走れるポテンシャルが備わっていたのに、これまで自分で勝手にセーブしていたということです。

もちろん、意図的に5時間以上かけて走ったこともあります。声援が多い大会では制限時間いっぱい使って走りたくなります。でも、そうでもない台北マラソンのような大会で力を抑える必要はないわけです。

実は、台北マラソンの4時間24分11秒だって、自分の中では「そこそこやるやん」って思っていたんです。だって、ちょっと頑張った4月のかすみがうらマラソンよりもタイムが良かったんですから。

自分で自分の限界を勝手に作り上げた典型的な例です。

そして、それを作り出したのは、自分のペースが分かってしまうGPSランニングウォッチという魔法のアイテムです。

PC150078

個人的には、あまり頼っていないつもりだったのに、完全に頼り切っていたようです。そういえば失敗レースではことごとく、自分で決めたペースを「守らなきゃ」となって、後半大失速していました。

最近になってようやく、走り出してからペースを決めるようになってきましたが、愛媛マラソンのようにタイムを追うレースではやっぱりどこかで頼ってしまっているのでしょう。

そういう意味では、次の愛媛マラソンは時計なしで走ってみるのもありかなと考えています。1月にTAMAハーフマラソンを走りますので、まずはそこで試してみて、いい感触を得られたら本番でも試してみるとしましょう。

時計忘れたら自己ベスト更新という話は珍しいことではありません。周りでもよくある話ですし、今回の愛媛マラソンは失敗してもいいレースですので、何かを試すのにはちょうどいいかもしれません。

今日の1枚

PC160103

台北の延三観光夜市にて ものすごくローカルな夜市で、これぞ台湾って感じがする熱気が溢れた場所


1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣 (フェニックスシリーズ)
著者:ケビン・クルーズ
楽天ブックス:1440分の使い方 成功者たちの時間管理15の秘訣 (フェニックスシリーズ) [ ケビン・クルーズ ]

BiSという女性アイドルグループが100kmを駅伝方式で走っている

Lost 474124 640

すごくどうでもいいことなんですが、BiSという女性アイドルグループが100キロを駅伝方式で7時間分で走るという企画を昨日行いました。

これを書いている時間はすでにその7時間半どころか9時間30分も過ぎていましたが、ニコ生で配信中かつゴールしていません。ただ、残念ながら間に合わないというよりは、そもそもの設定に無理があります。

わたしはBiSというグループを詳しくは知りません(無茶をする人たちだということはさっき知りました)が、10キロを45分というペースで走らないと間に合いません。

競技場やランニングコースを走るのではなく、熱海から渋谷までの100キロですので信号もあるでしょう。

Beach 1822598 640

公道を普通に走ったことのある人は分かると思いますが、信号に1回引っかかると1分くらいは簡単にロスします。そう考えるとキロ4分くらいのペースが必要になります。

メンバー全員がキロ4分で10キロを走れる?

ちなみに間に合わなかったら、メンバー全員で熱海まで走って戻るそうです。ネタとしてはとても面白いかもしれませんが、罰ゲームありきな計画で「なぜそうなった?」という疑問だけが残ります。

きっとファンはそれも含めて楽しんでいるのでしょうが、ランニング好きの1人からすると、絶対に達成できない挑戦をして何の意味があるのだろうかと思わずにはいられません。

Hands 2847508 640

「高い壁の方が 登った時気持ちいいもんな」と歌ったのはMr.Children。

やり遂げたときに、彼女たちは大きな何かを手にすることでしょう。ただ、やり遂げることができず大切な何かを失う可能性だってあります。往路はともかく、失敗したときの復路の100キロは。

24時間テレビのマラソンもそうですが、わたしはマラソンが間違った頑張りに使われるのが好きではありません。トレーニングをきちんと積んで、そのトレーニングの成果を確認するためにレースがあります。

自分がどこまでできるかを測るためにレースがあるわけではありません。

People 2590524 640

きちんとトレーニングを行えば、3ヶ月もあれば体重オーバーの人でもない限り、誰だってフルマラソンを走れるようになります。ウルトラマラソンならもう少し時間が欲しいところです。

大事なのは目的に合ったトレーニングをきちんと積むことであり、トレーニングの成果に見合った目標設定を立てて、あとは設定したタイムでひたすら走り続けるだけ。

ぶっつけ本番でレースに挑む人、無謀な挑戦をする人がときどきいますが、理系脳のわたしにはなぜそんなことができるのかまったく理解できません。良いとか悪いとかではなく理解できないというだけのことですが。

本番になれば持っている力以上のものが出るなんて、アニメの世界でしかありません。少なくともマラソンにおいては能力以上のものが出ることは100%ありません。

Marathon 1649905 640

BiSというグループのメンバーはきっと10キロ走の練習はしたのでしょう。信号のないコースで、なんとかみんなのタイムを合わせて7時間30分で走れたのかもしれません。

ただ信号のある公道と、フラットで信号のない公園などのコースとではまったく条件が違います。先程も書きましたが、平均でも10キロを40分で走る走力がないと、とても公道の10キロを45分で走ることはできません。

それでも片道100キロをメンバーでつなぐということ自体は全然いいと思います。でも、罰ゲームとしての復路の100キロは余計です。10キロしか練習していない人が100キロを走ったらどうなるのか。

普通に考えて2日はかかります。無事走れたとして……です。

Girl 948250 640

まぁ人が面白がってやってることなので、どうでもいいことなんですが。これによってケガをしようが、事故に遭っても自分たちが選んだことなので、最後までやりきればいいと思います。

本人たち(運営?)の思惑通り、かなり注目もされているようですし(BiSはそうやって大きくなったグループなようですし)。

でも、やっぱり走ることが挑戦になったり罰ゲームになったりするのは、ちょっと違うなと思うわけです。しかも物理的に無理があるものは挑戦とは言いません。逆に24時間テレビのマラソンみたいに、低い壁を超えるのも挑戦とは言いませんが。

わたしは彼女たちのファンではないので、折返しの100キロが中止になってくれることを勝手に願っています。ファンには叱られるかもしれませんが、往路の100キロに意味はあっても、復路の100キロはリスクが大きすぎます。

Pinky swear 329329 640

「誰がやるかバカ」くらい言ってくれるといいんですが、最近のアイドルは真面目ですからね。さてどうなることやら。

この記事をアップする頃には結果は出てるとは思いますが。(結果が気になる人は検索してください。Twitterで「#BiS100キロ」で探せます。)

さらに、どうでもいいことなんですが。ニコ生でこういう映像を流せるなら、一度でいいので川内優輝選手にフルマラソンの動画配信ってしてもらえないものでしょうかね。

トップアスリートの見てる景色っていうの見てみたいと思うのは、わたしだけではないと思うのですが。


少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)
著者:城山 三郎
楽天ブックス:少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫) [ 城山三郎 ]

美しい所作を大事にして一つひとつを丁寧に積み重ねる

PC150167

台湾の花蓮で食事に行ったときに、ほぼすべてのお店で共通して感じたのは「出てくるのが遅い」ということです。これは決して悪いと言っているのではなく、むしろそうあるべきなのかなというお話です。

花蓮で飲み物や食べ物を注文すると、そこからじっくりと時間をかけて調理を行います。とうもろこしの屋台では、客が食べたいとうもろこしを選び、注文を受けてから炭で焼きます。

ですので、注文を受けてから15分くらいは待たされます。混雑時でしたら30分待ちくらいにはなるかもしれません。でも、それを嫌がる人はいません。待つのがあたり前という感覚で、みんなのんびり待っています。

カフェでコーヒーを注文したときも、注文してから出てくるまでに10分はかかります。これはどのお店に行っても同じです。あるお店では挽いた豆の香りをテイスティングさせてから、コーヒーを淹れます。

PC150002

その一つひとつの作業がとても、丁寧で美しいんです。

コーヒーを淹れるときの眼差し。海鮮やとうもろこしを焼くときの眼差し。その立ち姿がとにかく美しく、それは日本どころか台北でも見ることのないものでした。

小説「利休にたずねよ」を読んだ後に、所作の美しさにこだわろうとしていた時期がありましたが、花蓮の人たちはまさに所作が美しく、そして提供される食べ物も飲み物も心が込められているのが伝わってきます。

ちょっとした所作もおろそかにしません。なぜそうなっているのかは分かりませんが、むしろ人間のあるべき姿はそこにあるんじゃないかという気がしています。変わってしまったのはわたしたち日本人。

PC140144

でも、日本で同じようなことをしていたら、お店としてはやっぱり成立するのは難しいかもしれません。ある程度は効率を求めないと利益を出すことがとても難しいのが現代の日本。いや、世界の都市部はすべてそうかもしれません。

コーヒーを1杯入れるのに10分もかけていたのでは、とても商売になりません。ボタンひとつで機械が勝手に淹れてくれるコーヒーを提供するほうが喜ばれます。

心を研ぎ澄まして淹れた1杯のコーヒーを欲する人はほとんどいません。いや、実際にはいるのでしょう。白金あたりにでも行けば。そういえば美味しいコーヒーを淹れてくれる鎌倉珈琲は、比較的いつ行っても席が空いていました。

駅前のスターバックスはいつも満席なのに。

PC140102

涙がでるくらい美味しいお茶をいれてくれる表参道の茶茶の間は、少し前に日替わりランチセットを止めてしまいました。日本茶ソムリエの和多田さんは、いつ行っても疲れた顔をしていました(そういう顔つきなのかもしれませんが)。

日本で丁寧に食べ物や飲み物を出すということは、1日に対応できる客数が限られてしまうということです。そのため、やや高めの値段設定にすることになりますが、それにも限度があります。

何よりも、待たされることにわたしたち日本人は慣れていません。仕事も生活も効率が求められ、スピードアップすることが良いことだと思いこんでいます。それに逆行しようとすると心がすり減ってしまいます。

わたしが機械設計の仕事をしていたときに、若手エンジニアから「仕事はスピードと正確さのどちらを優先すべきか」と聞かれたとき「どちらも手放してはいけない」とわたしは答えました。

PC140016

どちらもおろそかにしれないことが、日本のビジネスにおける成功への唯一の道です。仕事が丁寧でも遅い人、仕事が早くても雑な人。どちらも使えないやつの烙印を押されてしまいます。

でも……と思うわけです。

そういう社会だからそれに合わせなくてはいけませんが、もっとゆっくりでもいいのではないかと、花蓮に行ってからずっと思っています。とにかく丁寧にすること。

スピードを上げてもクオリティが変わらなければいいじゃないかと思うかもしれませんが、時間をかけないで作ったものには魂を込めることができません。本当に美味しいお茶、本当に美味しいご飯は、丁寧さの先にしかありません。

花蓮はきっと現代社会のスピードから、少し遅れてしまっているのかもしれません。最近は観光客も減って、衰退しているという話を聞いたことがありますが、そこで現代社会に迎合しない潔さをわたしは感じました。

PC150007

台北から特急列車で2時間30分。大理石の産地として知られているこの街は、かつての輝きはもうないのかもしれませんが、心の豊かさというものは間違いなくまだそこにあります。

仕事を丁寧に行い、毎日を丁寧に生きる。急ぐことなく、正しい方法でコツコツ積み重ねる。みんながそうだから、誰も急ぐ必要がないわけです。急がないことで心に余裕があるから、見ず知らずの日本人を車に乗せてくれたりするわけです。

同じような生き方を日本でするのはとても大変ですが、そうありたいという気持ちだけは忘れないようにしたいところです。美しい所作を大事にして、一つひとつを丁寧に積み重ねる。

それが出来るようになったとき、わたしも誰かに優しくなれるような気がします。

今日の1枚

PC140095

花蓮の街角 何もかもが美しい花蓮でしたが、マネキンが身にまとう衣類だけは「なぜそうなった?」と首をかしげたくなるものばかりでした。


利休にたずねよ
著者:山本 兼一
楽天ブックス:利休にたずねよ (文春文庫) [ 山本 兼一 ]

台北で美味しいものを食べるには「わたしのすきな台湾案内」とグーグルマップがあればいい

20181217 1

今回は台湾に9日滞在していましたが、1つだけ課題を持って訪台しました。それは「小籠包以外で美味しいお店を探す」ということでした。人を案内するのに小籠包のお店ばかりでは、案内された側もちょっと残念ですよね。

台湾の魅力は小籠包だけではなく、ローカルな食べ物もかなり美味しいのですが、わたしは手持ちのカードがほとんど小籠包でした。それに朝ごはんのお店が2つくらい。

もっと多くのお店を知りたいと思って台湾に向かいましたが、勘だけで美味しいお店を探すのは効率がよくありません。そこで頼ったのが、エッセイストの柳沢小実さんが出している「わたしのすきな台湾案内」でした。

昨年、台南に行くのに購入した1冊でしたが、台湾のお店もたくさん紹介されていましたので、今回はこのガイド本に記載されているお店をベースにめぐりました。

PC120177

「わたしのすきな台湾案内」を活用した理由はシンプルです。柳沢小実さんが美味しいと感じるものは、わたしも美味しいと感じるからです。味覚というのは個性があり、それぞれに料理に対する感じ方は違います。

ですので、有名人や食通と呼ばれる人のガイド本であっても、必ずしも自分の好みに合うとは限りません。例えば小籠包といえば鼎泰豐(ディンタイフォン)が有名ですが、わたしは特別に美味しいとは感じず「普通に美味しい」くらい。

でも、人によっては「鼎泰豐が1番」なわけです。それは誰の味覚が優れているかという問題ではなく、個性のようなものであり、幼少期にどのような食べ物を食べてきたかによっても変わります。

だから、ガイド本を使うときは、同じ「美味しい」を共有できる人のものを選ぶ必要があります。もっとも最初は買ってみないと分からないわけですが。わたしは柳沢小実さんの味覚はすでに信用できる状態だったので、どっぷり活用してみたわけです。

PC140094

忠南飯館
田園
陸光小館
無名鹹粥
祥記純糖麻糬
傳統之最豆花堂
一心水餃

台北で行けたのはこの7店ですが、いずでも驚くような美味しさです。台北はもう「美味しい」くらいでは驚きません。きっと原材料の質が日本とは違うんだと思います。肉も野菜も素材の味がしっかりしています。

日本の食材は、生産性や日持ちを重視するからか、味が淡白なものが多いように感じます。 でも台湾の食材は卵ひとつでも主張してきます。だから、何を食べても美味しいのですが、慣れというのはおそろしいものです。

PC140040

何度も台湾を訪れていると美味しい程度では驚かないわけです。「おぉ」となるようなお店に行かないと、ちょっと損した気分にもなります。でも、上記のお店は驚きの連続でした。

味覚は人それぞれではありますが、台湾で小籠包以外の美味しいものを食べたければ、わたしのすきな台湾案内」は食のバイブルになるかもしれません。

どのお店もローカルな人たちが愛しているお店なので、日本人客が増えないで欲しいなと思いながらも、本物の台湾料理を食べてもらいたいところですし、何よりもこのブログの影響力の小ささであれば。

ちなみに、この本では花蓮のお店は紹介されていません。台北でも必ずしも掲載店に行けるわけではありませんので、わたしなりの方法で美味しいお店を探しました。

UNADJUSTEDNONRAW thumb 2cc29

これは誰でも簡単にできる方法で、単純にグーグルマップ上で食べたい料理の名前を入れて検索するだけです。例えば「豆花」と入れて検索すれば、近くにある豆花のお店が地図上に表示されます。

それぞれのお店に点数がついているので、それを参考にしてお店を選ぶだけです。台湾であれば4.5以上ならまず間違いなく、4以上でもハズレを引くことはまずありません。

今回はまさに豆花を食べたくなったときに使いました。豆花は台湾のどの街にもありますが、お店ごとにクオリティがまったく違います。限られた回数しか食べられませんので、こういう口コミ情報はかなり重宝しました。

ただ、ときには直感も重視します。花蓮では「わたしのすきな台湾案内」が使えませんでしたので、グーグルマップとネット上の情報でお店選びをしました。マラソン前夜もケーキを食べようということでグーグルマップでカフェを検索しました。

PC160073

目的のお店は小さな交差点の一角にありましたが、その窓から見える他の3角のお店はどれも美味しそうな雰囲気がただよっています。一応グーグルマップで確認はしましたが、その直感どおりにいずれもハイクオリティなお店でした。

台北でも、「わたしのすきな台湾案内」に掲載されているカフェを探していたところ、どうやら定休日らしかったのですが、その近くにあった目を引くお店に入ったら、絶品ケーキが提供されました。

直感だけで美味しいお店を探せたときはやっぱり嬉しいです。上記の祥記純糖麻糬も最初は予定に入ってなかったのですが、「ここには何かある」と思って最終日の夜に行ってみました。

するとそこには超ローカルな夜市「延三夜市」がありました。

PC160093

延三夜市は台湾に住んでいる人でもない限り、存在すら知らないような夜市ですが、地元の人たちにとっては生活になくてはならない日常使いの夜市でした。ちょっと信じられないくらいのお店の数。

食いしん坊のアンテナがきちんと反応して、そこに美味しいものが集まっているともうテンションが最高潮です。もはや士林夜市に行く理由がひとつも見当たりません。

こんなふうに、これはと思えるガイド本1冊(わたしの場合は「わたしのすきな台湾案内」)とグーグルマップ、そして直感を駆使すれば台湾ではローカルな美味しいものに出会うことができます。

ちょっと荷物になるかもしれませんが、ガイド本はデジタルではなく紙媒体がおすすめです。ぜひ本屋さんやAmazonで自分好みのガイド本を見つけて、旅のおともしにしてください。

今日の1枚

PC160054

台北の路地裏 「路地裏に名店あり」は日本も台湾も同じ


わたしのすきな台湾案内 ~台北、台北近郊。台中、台南、高雄にも足をのばして~
著者:柳沢 小実
楽天ブックス:わたしのすきな台湾案内 台北、台北近郊。台中、台南、高雄にも足をのばして [ 柳沢小実 ]

9日間の台湾滞在で得たもとの失ったもの

PC160079 2

台湾からの帰りの飛行機を待っている時間に、このブログを書いています。実質9日間の台湾滞在。さすがに今回は長く感じたというか、台湾以前の記憶を呼び起こせないほどどっぷり台湾でした。

台北でも積極的にローカルなお店に行くようにしたことで、小籠包以外の選択肢が大幅に増えました。また食べたい料理、また行きたいお店が増えていくのはやっぱり嬉しいことです。

花蓮ももちろん大満足です。おそらく美食の街というのは、花蓮のような街のことを言うのでしょう。マラソン後に食べたおしゃれカフェのサンドイッチの味が忘れられません。

今回はフルマラソンを2回裸足では走っていますが、思い出はやはり食べ物ばかり。食いしん坊もここまでくるとちょっとした病気です。

PC160024 2

フルマラソンも得るものが大きかったと言うか、これまでやってきたことが間違いではなかったという確認はできました。まだ筋力が不足しているようですが、確実に走れる自分を取り戻すことに成功しています。

サブ3.5を何年も達成できなかったことは嘘のようです。

結局のところ、正しい練習方法で正しく鍛えれば、誰だってそこそこ走れるようになります。そうならないのは、練習方法が正しくないか、練習が不足しているかのどちらかです。

オリンピックを目指すというのであれば、そこに才能なども加わりますが、わたしがこれまでずっと記録を出せなかったのは、練習方法が完全に間違っていたからです。

PC160036 2

筋トレ中心の練習に切り替えるようになってから、ハルカススカイラン以外のすべてのレースで圧倒的な違いが出ています。そして最近始めたアイソメトリックスの筋トレもうまく走りに活かせるようになってきました。

またきちんと書きますが、圧倒的なインナーマッスルがあれば、後半の失速を防ぐことができます。裸足で走っても後半に足裏が痛くなることもなくなります。

要するに、後半の失速の原因としてはオーバーペースだけでなく、上半身の筋肉不足も考えられるということです。ここ数レースはすべて、レース後に背中の筋肉痛に悩まされています。

足の甲の痛みも、アキレス腱がパンパンなのも、きっといい方向に向いている証拠です。あとは、オーバーワークにならないようにコントロールするのと、1月になったらまた体重を落とすのと。

PC160054 2

台湾に来てからどれくらい体重が増えたのか、帰国して一番の恐怖は体重計に乗るという作業です。

練習は一切していませんので、1週間の走行距離は42.195km。それが2週間ですので、12月の残りは体作りからやり直さなくてはいけないかもしれません。

海外に来るとどうしても、練習をしなくなるんですよね。

もっとも今回は練習したくてもできない状態でしたが。国宝松江城マラソンは3時間30分、台北マラソンも花蓮太平洋縦谷マラソンもそこそこのスピードで裸足。

PC160029 2

人間の体はそんなにも頑張れるようにはできていません。

帰国したらまずはコンディションを取り戻すための練習。それと同時に、結果的にロング走練習になったので、その効果をしっかりと維持するための練習。

やるべきことがたくさんあって大変ですが、10日近く楽しんだわけですから、そこはひとつひとつやるしかありません。師走の後半もコツコツ積み重ねていくとしましょう。

今日の1枚

PC160068 2

台北のカフェにて 台湾のカフェは猫の在籍率が高い


台北ナビが教えてくれる 本当においしい台湾 (タツミムック)
著者:TaipeiNavi / 矢巻美穂

裸足の全力で気持ちを伝えた花蓮太平洋縦谷マラソン2018

PC150153 2

「だから真面目に走るのは嫌なんだ」とつぶやく。

今回の花蓮太平洋縦谷マラソンのテーマ「真面目に走る」は自分で決めたことでしたが、終わってみると右のアキレス腱と左足親指に激痛が残り、まともに歩くことも出来ません。

先週の台北マラソンを裸足で走ったことによって、傷めてしまった左足の甲。原因が分からないまま、痛みを抱えた状態で迎えた前日でした。

まだこの時点では裸足にするべきか、サンダルにするべきか、それともシューズを履くべきかで悩んでいました。少なくとも5時間以内に帰ってこないと帰りの電車に乗れなくなる可能性もあります。

PC150006 2

レース中に足の甲の痛みが出てきたら、とてもじゃないですが裸足で完走なんてできません。街歩きですらうまく出来ない状態ですから。

でも、最終的に出した結論は「裸足」でした。

花蓮までやってきたのは、今年発生した地震に対して、ランナーだからできる支援をしたかったからです。ひとつはマラソンを一緒に走るということで、もうひとつはお金を使うということ。

それに加えて、わたしが走ることで何かを感じてもらえれば嬉しいじゃないですか。そのメッセージというのは裸足を通じて伝えられるといいなと思ったわけです(自己満足でしかありませんが)。

PC150037 2

花蓮太平洋縦谷マラソンは海岸線を走るということもあって、ギャラリーはほとんどいません。だから、同じコースを走るランナーを勇気づけられたらなと。

レース当日は雨。気温はやや低めで、送迎バスを待っている間もやや体が冷える感じでした。それでも雨に濡れるのを避けたかったので、アップは一切していません。

ペースは相変わらず、走り始めてから決めればいいかなとは思いつつも、GARMINの充電器を忘れたので台北マラソンで電池をかなりつかったこともあって、GPSランニングウォッチはなしで走ります。

そのかわり、Xiaomi Mi Band3を時計代わりしたのですが、数字が小さすぎて見えません。早々に、タイムを確認することを諦めて、ほぼ100%感覚だけで走りました。

PC150042 2

そして、決めたルールが「真面目に走る」ということです。裸足で安全な領域をペタペタ走るのではなく、いまできるベストの走りをすることで、大事なことが伝わるような気がしました。

今年の地震の影響もあってか、フルマラソンの参加者はなんと500人以下ということで、かなり寂しい感じで号砲が鳴りました。もちろんスタートロスなんでほとんどありません。

ペースはまったく分からない状態でスタートしたのはいいのですが、どうも路面状態が安定しません。このため、感覚的にもペースが安定していないのが分かります。

そして、場所によっては足裏にかなりの負担がかかります。幸いスタート直後には足の甲の痛みはありません。

PC150044 2

普段から体の声を聴いて走るべきと言っておきながら、距離もペースもまったくわからない状態でのランというのは思った以上に大変です。しかも路面状態は猫の目のように目まぐるしく変わります。

それに加えての雨。ただ、雨そのものは裸足ランにとってはとてもいい環境です(少なくともわたしの場合は)。雨で難しいのは気持ちを維持するのが大変だという点です。

かなり高い集中力を続けないと「もういいや」と気持ちが折れてしまいます。

ペースは分かりませんが、手元の活動量計と5kmごとの距離表示で、どれくらいで完走できそうかの計算はできます。ただ、距離表示が適切ではないのか、それともわたしの感覚がおかしいのか、思ったようなペースにはなっていません。

PC150066 2

計算上はキロ7分くらい。感覚的にはキロ5分50秒といったところです。

3週連続のフルマラソン、2週連続の裸足ということで疲労もあるのかなと思いながら、できるだけペースを維持しようと努めます。ハーフマラソンの折り返し地点を過ぎたら、そこからは上り坂。

上り坂は得意な方ですが、いかんせん2週間まともな練習ができていません。しかも前日にはマラソンを控えているとは思えないほどの暴食。

ケーキを食べたいとカフェに入った足で、向かいの食堂が美味しそうで夕食にはしご。その向かいにあったチョコレート屋のカフェも美味しそうということで、ここではブラウニーとチョコレートドリンク。

PC150094 2

結果的にはこの暴食によって、ほぼ無補給で走れたのでマラソンとはつくづく不思議なものだと感じましたが、いかんせん足は動いている気がしません。

折り返してからは苦手の下り。ここはもう、前方の台湾人ランナーに必死にくらいつきます。「スピードを緩めたら楽になるのにな」と思いながら。

ちなみに折り返し地点で、2時間5分くらいのタイムでしたので、あわよくば4時間以内の完走も見えてきます。ただ、過去に裸足でサブ4をしたのは1回だけ。

そのときにつらくて「もう裸足では本気は出さない」と決めたのですが、まさか異国の地で裸足の全力走をしています。ただ、どこかで失速する予感はありました。

PC150101 2

折返しコースですので、このあとにどれくらい荒れているのかは頭に入っています。失速することが容易に想定できたので、さすがにサブ4とはいかないんだろうなと。

案の定、坂を下って海岸線の自転車道に戻ってきたら、荒れた路面のせいで歩いているかのようなペースに。

でも、とにかく笑顔だけは貫こうとしました。30kmを過ぎたところで、両足のアキレス腱が完全にロックしてしまったので、さすがにここまでかなと思ったのですが、なぜか力がじわじわと湧いてきます。

そこまで周りのランナーと抜きつ抜かれつを繰り返していたのですが、残り5kmとなってから急にペースが上がって、1人だけ抜け出す形に。そこからは気合と根性しかありません。

PC150108 2

ただ、必死の顔にならないように歌を口ずさみながら。

不思議なもので、苦しくても歌を歌っていると痛みが小さくなります。もう動かなくなったはずの足首もなんとかやる気を出してくれます。

最後のエイドで地元の若者からの声援ももらって、残った力を振り絞ります。そういえば、ここまで何度も地元のスタッフとランナーに支えられてきたような気がします。

そして、この国が日本の統治下にあったことから続いている歴史が頭をよぎり、気がつけば目から涙が零れ落ちそうになっていました。「この港から日本に帰った人がいる」と思うだけで胸が締め付けられます。

PC150119 2

当時の人たちの苦しみに比べれば、わたしが自分で招いた足裏の痛みなんてなんてことありません。

花蓮には間違いなく日本人が暮らした時代があり、戦後の歴史の中でも日本とは切っても切れない縁のある街でもあります。ただ、すでに日本人はそのことを忘れています。

それでも、花蓮の人たちは日本人だというだけで歓迎してくれます。

歴史を作った人たち、歴史を引き継いだ人たちに感謝しながら、最後の1kmを駆け抜けて、3時間57分で無事裸足で完走しました。

PC150139 2

無理をしたから、左足の親指はもげてなくなりそうですし、右足のアキレス腱は今にも切れてしまいそうです。まともに歩くことも出来ず、冒頭の「だから真面目に走るのは嫌なんだ」につながるわけです。

完全に自己満足でしかありません。わたしの思いなんて伝わってないかもしれません。

しかも、わたしがいつも言っている「無理をする必要はない」「フルマラソンは頑張ってはいけない」という考え方を完全に無視しての完走です。決して褒められたものではありません。

でも、男にはやらなきゃいけないときがあり、きっとこの日がわたしにとってのそのときだったのでしょう。

PC150144 2

ちなみにこのタイムで世代別8位。シューズを履いていたら、実はわたしでも優勝も狙えたほどの花蓮太平洋縦谷マラソンはゆるい大会です。ちょっと欲が湧いています。

来年は裸足ではなく、本気レースをしようかなと。

えぇ、もちろん来年も走るつもりです。花蓮にどっぷりハマってしまいましたから。でも、来年の大会までは待てないかもしれません。花蓮にはまだ食べていない美味しいものがありすぎて、とても1年も我慢できそうにありません。

PC150163 2

追伸

マラソン会場からの戻り。ホテルまで2kmくらいあるのですが、傷む足を引きずって歩いていたら、通りがかりのおばちゃんが車を止めて「送っていくよ」と。

いったい、過去にここで生活していた日本人は、この地に何を残したというのでしょう。見ず知らずの日本人を自ら車に乗せて送っていくなんて、ちょっと普通なことではありません。

これも、また花蓮に戻ってきたくなった理由です。花蓮は思った以上に日本とのつながりがあることを知りました。それをもっと深く学ぶためにも、これから数年間は頻繁にやってくる必要があります。

今日の1枚

PC140135

花蓮のおしゃれカフェ 花蓮にはこういうお店がいっぱいあって、ちょっと羨ましい。


「環島」 ぐるっと台湾一周の旅
著者:一青 妙
楽天ブックス:「環島」 ぐるっと台湾一周の旅 [ 一青 妙 ]

花蓮に恋して

PC140054 2

花蓮と言えばタロコ峡谷ですが、数日前から続く地震が昨日の早朝にもあり、がけ崩れの危険があるということで今回はタロコ峡谷に行くのは断念しました。

というわけで、花蓮2日目はただひたすらに街を散策して過ごしました。朝ごはんは花蓮名物の紅茶とマカロン。そこから市場を眺めたり、かつてお酒の工場だった再開発地区でぷらぷらしたり。

どうも居心地がいいんです、この街は。

肩に力が入っていないけど、やる気がないわけでもなく、みんな真剣で一生懸命なんです。でも、そこにあざとさがないので、こちらが構える必要がありません。

PC140010 2

例えば、花蓮にはおしゃれなカフェがいっぱいあります。日本や台北にもおしゃれなカフェはたくさんありますが、その多くは「こうすれば人が集まる」という計算に基づいたおしゃれです。

ビジネスでやっているのですから、あざとくてもいいとは思いますが、そこに本当の居心地の良さはありません。オーナーが本当に好きで作った結果、みんながおしゃれだと思う仕上がりになった。

成功者の行動を真似たビジネスマンが嘘くさいのと同じです。

成功するにはまずは真似ることが大事だとよく言われますが、それは学びの段階だからいいのであって、成功しているお店を分析して、それを真似て同じようなお店を出す。

PC140045 2

それで儲けられるのはひとつの才能ですが、わたしはそれを良しとは思いませんし、少なくとも花蓮に来て感じたのは、本物は創造する人の心の奥底から湧いてくるものだということです。

そして、本当の喜びというのは、そういう本物に触れることでしか得られないということです。

それっぽいものでも、ある程度は自分を納得させることもできますが、それっぽいものは代用品でしかありません。

花蓮には本物がいくつもあります。なぜそうなのかは分かりませんが、真似ではないオリジナルが溢れています。同じ料理であっても、それぞれに「これはすごい」という領域に達しています。

PC140094 2

わたしは物書きという仕事をしていますが、この仕事をしていると、オリジナリティを出せる人はそれほど多くないということを感じることがあります。

わたしは、どの文章も自分の言葉で書くことを当たり前のことだと思っていますが、はっきり言えばかなり効率の悪いやり方です。依頼主のニーズを満たすだけなら、自分の言葉なんて使わないほうが簡単です。

ひどい人は、他のサイトの文章をまるまるコピーしていることもあります。

稼げればそれでいいという人を批判するつもりはありませんが、そのやり方で本当にいいのかということは問いたくなります。これは生き方の問題で、その生き方で本当にいいのかということです。

PC140120 2

自分が甘いことを言っているのは分かりますが、どれだけ稼いでも棺桶にまで持っていけるわけではありません。大事なのは「いい人生だった」と言って終わりを迎えられるかどうか。

きっと花蓮の人たちも近い考え方をしているのかなと感じるわけです。少なくともわたしが会った人たちは、みんな楽して儲けようというような感じはなく、一つひとつの仕事をとても丁寧に行っていました。

経済的に成功することよりももっと大事なことがある。あまりにも平凡すぎる表現ですが、花蓮にいるとその言葉が決してお題目ではなく、豊かさの本質として伝わってきます。

昨日のブログでも書きましたが、わたしは必ずここに帰ってきます。あまりにも居心地がいいから。

PC140143 2

きっと相性がいいのかもしれません。台北も好きですが、自分というパズルのピースがしっくりとはまるのは、どうやら台北ではなく花蓮だったようです。

まだ花蓮にいるわけですが、こんなにも再訪が楽しみになる街は初めてです。どうやらわたしは、花蓮が好きなようです。これはもう恋と呼んでもいいかもしれません。

今日の1枚

PC140050 2

花蓮文化創意産業園区にて お酒の工場だった跡地ということで側溝の蓋に銘柄デザインされていました。花蓮ではこだわったデザインにいくつも出会うことができます。


古写真が語る 台湾 日本統治時代の50年 1895-1945
著者:片倉 佳史
楽天ブックス:台湾日本統治時代の50年 古写真が語る [ 片倉佳史 ]

花蓮太平洋縦谷マラソンのためにやってきた花蓮で感じたこと

PC130040 2

初めて台湾の花蓮にやって来ました。今年、大きな地震が発生したことを覚えている人も多いかと思います。その後、花蓮太平洋縦谷マラソン2018の開催が決まってすぐに、わたしは大会にエントリーしました。

そのことを書いたときに、メッセージで「おおげさすぎる。花蓮はすでに日常を取り戻している」というコメントをもらったのですが、やっぱり自分の目で見ないと大丈夫とは思えません。

この2つの目は、そのためのついているのですから。

とはいえ、以前の花蓮を知っているわけではありません。東日本大震災のあと数年経過してから仙台に行ったときには、そこで暮らす人たちの心の奥底がまだ暗く沈んでいるように感じました。

PC130028 2

花蓮で感じているのは、暮らしている人たちが落ち着いているということですが、昔からそういう気質なのか、それとも地震の影響なのかは分かりません。でも「ここはちょっと居心地がいい」ということを感じました。

おそらく、ここにはこれから何度もやってくることになるはずです。

なぜか?美味しくて楽しい夜市があり、めちゃくちゃ美味しい豆花があるから。そして美しすぎる海もあります。今回は天候に恵まれなく、海に行ったときにはあいにくの曇り空。

それでもエメラルドグリーンに輝く海は、「いつか晴れた日の朝にやって来なくてはいけない」と思わずにはいられないほど、わたしの心を鷲づかみにしました。

PC130025 2

実は2日前と5日前に花蓮でやや大きな地震がありました。12月12日は最大震度6級だったようです。花蓮では1920年、1951年にも大きな地震が発生しています。

頻繁に大きな地震が発生するのが花蓮。わたしはそのことを花蓮に来て初めて知りました。勉強不足といえば勉強不足なのですが、これも自分で足を運んだからこそ学べたことです。

そして、たった今はいつまた地震が起きてもおかしくない状態の花蓮にいるわけです。

わたしは、未来を予想することもありませんし、目の前に起きたことに対処すればいいと思っているタイプですが、きっとこれだけ地震が続くと日本人どころか、台湾からの観光客も減っているのでしょう。

PC130062 2

花蓮太平洋縦谷マラソンを棄権するというランナーさんもいるかもしれません。

そういう点においては、わたしは自分が変なところで度胸がいいんだなだと感心しています。日本にいればどこにいたって自身のリスクはあるわけですし。

わたしにしてみれば、地震がどうこうよりも、一向に回復しない左足の甲のほうが問題です。

こういう状況でわたしにできることと言えば、やはり花蓮で美味しいものを食べるくらいのことです。モノを買うというのもできなくはないのですが、モノにはあまり興味がありませんので。

できるだけローカルなお店に行って、ちょっとだけ会話を交わす。それ以上のことはできませんが、それで十分なのかなとも思います。わたしは1人の日本人旅行者でしかないのですから。

PC130080 2

というわけで、今日も観光そっちのけで美味しいものをひたすら食べる1日にしてきます。それで1人でも笑顔できるなら、わたしの体重が増えることなんて小さなことでしかありません。

可能であれば、足の甲を直したいところですが、あれもこれも欲を出すものではありません。いま花蓮にいるのだからできることを全力で楽しみながらやってきます。

今日の1枚

PC130024 2

花蓮駅でお仕事中のくまもん。熊本も大きな地震からの復興中。


はじめまして、東台湾。
著者:矢巻 美穂
楽天ブックス:はじめまして、東台湾。 [ 矢巻美穂 ]

海外ではいつもと違う自分でいることも大切

PC100034

郷に入っては郷に従えという諺がありますが、台湾で感じているのは、思った以上に実践するのが難しいということです。台湾の作法に従うべきだと頭では分かっていても、なかなか馴染んだやり方が離れません。

台北駅の近くにある交差点。道幅はそれほどありませんが、車の交通量が多いのに点滅信号で渡るタイミングが難しいのですが、それを見た日本人観光客が「もっとちゃんとすればいいのに」とのひと言。

他所の国に来て、他所の国のルールを「それはおかしい」と言うのは傲慢だと思いましたが、きっと自分も知らず知らずのうちに同じようなことを考えていたりするのかもしれません。

口に出さなくても「こういうところが良くないな」なんて思ったり。

PC100016

台湾の人たちは、これでいいと思っていることに対して、日本人の視点で「そうじゃないほうがいい」なんて言うのは勘違いもいいところです。

台湾人は日本に統治されていた時代がありましたので、比較的日本人に近い考え方をする人が多いように感じます。人によっては日本人より日本人らしいなんてことも言います。

でも、日本人と台湾人は違います。同じ文化ではありませんし、背負ってきた歴史も違います。似ているかもしれませんが、根本的には違うわけです。

だから日本で当たり前のことが台湾ではNGとされるようなこともあります。もちろんその反対もあります。

PC100052

海外を旅するというのは、その文化の違いを楽しむことであるはずなのに、ついつい日本のものさしで測ろうとしてしまう浅はかな自分に気づいて恥じることも。

台湾人にもいろいろな人がいます。親切な人もいれば、ずる賢い人だっています。オープンな人もいれば閉鎖的な人もいます。日本が好きな人も嫌いな人も。なのに「台湾人」と一括りにしてしまう自分。

できるだけ先入観を持たないことも、海外を楽しむにはとても重要です。

今回はできるだけローカルなフードを食べようとしています。台湾といえばやはり小籠包や魯肉飯といった定番の料理を食べたくなりますが、そういったものをできるだけ避けてみると、台湾の違った面を楽しめます。

PC110018 2

これまで行くことのなかった場所に足を伸ばしてみると、これまでとは違った台湾の魅力に気づきます。

絶対に美味しいとわかっている過去に訪れたお店に行き、そして「やっぱり美味しかった」となるのも旅の楽しみ方のひとつです。美しいことを知っている場所に行き、その美しさを確認するのも悪くありません。

でも、それはわたしのスタイルではありません。わたしは知らないものを見て、食べたことのないものを口にすることに喜びを感じます。

だって、過去に出会った素敵なお店よりも、次に出会う別のお店はもっと素敵かもしれないじゃないですか(あぁこれがわたしに恋人ができない理由なんだなと、勝手に納得しました)。

PC110039 2

もちろん、誰かを案内するなら絶対に美味しいお店に案内しますし、美しい風景のある場所に連れて行きます。でも、1人で行動するときに、過去の同じ道をなぞるようなことはしません。

同じ方向に向かうにしても、昨日と今日で通る道を変えるのがわたしのスタイルです。

そして、できるだけ現地のやり方に馴染んでいくように心がけています。旅行者の視点も大切ですが、そこで暮らす人たちのやり方を学び実践する。

せっかくの異文化の中に身を置いているわけですから、新しい経験値をどんどん積み重ねていきたい。海外にいるときはいつもよりも少し欲張りになります。

PC110080 2

安全だと分かっている場所はとても居心地がよく、そこに浸っていたい気持ちになりますが、危険がともなっても前に進みたい。そのためには現地の人たちから学ばせてもらう。

いつもと違う自分でいることも大切なんだなと感じています。

今日の一枚

PC120133 2

台北・深坑老街にて 「いつか」ではなく「今日」行こうと思いたち


大切なのは「つまずき 寄り道 回り道」: 小さな塾「フジゼミ」塾長と生徒たちの昨日、今日、明日
著者:藤岡 克義