トレランシューズでは走りの技術が身につかない【裸足もしくは過保護にせずに走る意味】

今年2回目の万里の長城マラソン練習会という名目での、大山トレランをしてきました。3日前に終わった24時間マラソンの疲労もあって、今回は自分の持っているランニングシューズの中でも、最も高いテクノロジーを持った、初代ペガサスターボで走りました。主催者としてクッション性を重視したわけです。

そしてペガサスターボで走って気づきました。「こういうクッション性の高いシューズを履いたら、トレイルの技術力は絶対に上がらない」ということを。前から他のランナーの足運びが雑であることは、ずっと気になっていました。単純にトレランの基本を学んでいないからだと思っていたのですが、昨日確信しました。

過保護なトレランシューズを履いていたら、永遠に足さばきがうまくなることはありません。だって、シューズがそれをリカバリーしてくれるから。どんなランナーでもゴールまで運んでくれるランニングシューズの偉大さには感服しますが、ランニングシューズのおかげで走れていることに気づけないのはどうだろうか。

もちろんランナーが悪いわけでも、シューズの開発者が悪いわけでもなく、言うまでもありませんが裸足ランナーが正義というわけでもありません。私が言いたいのは……言いたいのは……何でしたっけ?改めて書くと特に言いたいことはありません。ただ、私は山に入るときにはできるだけソールの薄いものを選ぼうと思います。

私は誰よりもトレイルを速く走りたいわけではありません。ただ、上手に走れるようにはなりたい。そう考えたときに私に必要なのは過保護なトレランシューズではなく、足の感覚を100%引き出してくれるシューズ(もしくは裸足)です。それを実現するのに必要なのは例えばメレルのTRAIL GLOVEやビブラムファイブフィンガーズのような薄底のシューズです。

たぶん多くのランナーは「そんなソールの薄いシューズでトレイルは走れない」と思うかもしれませんが、トレイルの足さばきで大事なのは足裏の感覚です。足裏の感覚を元に微妙な体重移動を行ってバランスをとり、最小限の動きに無駄なくトレイルを駆け抜ける。そのために足裏のセンサーはとても重要です。

でも、これをトレイルランナーに話しても、絶対に意図が伝わりません。なぜなら、足裏の感覚で走るようなことはしないから。足裏の感覚と足さばきを掛け合わせるなんてことをしないから。しないというよりも、そこに関係性があるとすら感じたことがないのでしょう。だってトレランシューズを履いていれば気にせずに走れるから。

そんなどうでも良いところに気を使っているよりも、レースで勝てるためにやるべきことを積み重ねたいのでしょう。細かな足さばきや足裏の感覚など、レースだけで考えたときにはどうでもいいこと。記録を考えたら切り離したほうがいいことです。でも、本質を考えたときにはとても重要です。

地面をどうやって掴むのか、どこに足を運べば次の一歩を効率的に出せるのか。そういうところは、自分自身を本質的に成長させるのにとても重要な思考です。でも、過保護なシューズではたどり着けない領域です(少なくとも私はそう考えています)。その領域に踏み込みたいかどうか。

自分のことを達人と呼ぶほど思い上がってはいませんが、私が目指しているのは達人の道。達人の道は結果ではなく過程を重視します。どんなスキルも再現できなければただの偶然だから。達人は必ずしも競技で勝てるかというとそういうわけではなく、ただ技術力の高さは飛び抜けているものです。

技術力が高くても天賦の才能がないなら、レースや試合では勝てません。でもその人がすごくないかというとそうではない。極めるというのは、それはそれで特別なことです。私が裸足ランナーとして目指しているのはその領域。私よりも速い裸足ランナーなんて無数にいます。でも私が追い求めるのは順位ではなく技術力の高さ。

今どき流行らないんでしょうけどね、そういう考え方は。そういえば先日、大学時代の恩師から電話があり、その会話で「あなたのことを古風だと、あなたを紹介した人たちが言う」と話してくれました。なるほどなと変なところで納得です。私の生き方や目指すところが古いのでしょう。でも、達人が目標なのですから確かに古風です。

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