フェアに競い合えるどうかがスポーツにおけるルールの基本

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どんなスポーツでもルールがあります。ルールがなければそれはスポーツではありません。そういう意味で先日行われたボクシングのWBCの世界バンタム級世界戦はひどいものだったと、個人的にはそう思っています。

その試合を知らない人のために簡単に流れを説明しておきます。挑戦者の山中選手と王者のネリ選手、そもそもの始まりは前回の世界戦でネリ選手がドーピングに陽性反応が出たことで、山中選手に再戦の権利が与えられました。

再戦前日の計量でネリ選手が意図的とも思える重量オーバー。その時点でネリ選手は勝っても負けても王者剥奪で、山中選手は勝てば王者復帰でした。

結果はネリ選手の圧勝。山中選手は引退を決意しました。それが実力差なのか減量の有無による差なのかはわたしにはわかりません。ただ素人のわたしの目からしても、リング上での力差ははっきりしたものでした。

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ただ1つ気になったのは「減量して力が出ない選手と減量を放棄して力が出る選手」というニュアンスで語られているということです。

いずれの選手も減量が苦しくて本来の力が出ないのであれば、わたしたちが普段見ている試合というのは何なのでしょう。両者飛車角落ちの将棋のようなもの?お互い同じ条件だから関係ないと考えるべきなのでしょうか?

体重別で戦うのは安全性を考えればいいことだと思います。これはケンカではなくスポーツなのですから。17階級にまで細分化する必要があるかどうかは知りません。プロスポーツですので、興行面でも階級が多い方がいいのかもしれません。

でもそれはルールでそう決めたことなので、いいのではないかと思います。

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問題はルールを逆手に取れるということ。ボクシングの計量は前日で、当日もあるらしいのですが、そこではある程度の増量が認められていて、さらにそこから増量できる。そのシステムそのものに疑問を感じるのはわたしだけでしょうか。

競技のシステムそのものが、無理な減量を煽っているようにしか思えません。

苦しい減量に耐えて試合に挑み、そして自分自身と対戦相手に勝つ。とてもドラマチックですが、今回のようなことが当たり前に行われるなら、ルールを見直す必要があります。選手の倫理観に頼れないなら、ルールの厳格化を行わないとそのスポーツは衰退して行きます。

ルールを見直さなくてはいけないという意味ではマラソンも同じことが言えます。裸足ランナーの中でよく議論されるのが、裸足でフルマラソンを走ってもいいのかどうかということです。

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わたしはこれまでに19回裸足でフルマラソンを走っていますが、1度も止められたことがありませんし、注意されたこともありません。でも、周りの裸足ランナーの中にはリタイアさせられた人もいれば、かなりキツく叱責された人もいます。

でもルール上は「シューズを履いてもいい」「ただし、シューズに細工はするなよ」となっています。そういう意味では裸足が止められる筋合いはなく、むしろカーボンを仕込んだシューズや、高反発のソールを使ったシューズの方が止められるべきですが、現実は真逆です。

もっとも、カーボンを仕込んだシューズも高反発なソールを使ったシューズも、きちんと認可を受けていますので、そちらも止められることはありません。

ルール上ダメなのは地下足袋やサンダル、下駄といった履物ということになります。当然ワラーチもNGですが、マラソン大会では裸足がNGで、サンダルはOKとなり、ルールを無視したおかしな状況が発生しています。

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裸足で走らせたくないならルールを変えなくてはいけません。

変えられると裸足でレースに出られなくなるので困るのはわたしですが。そして高機能シューズがNGになっても、個人的には面白くありません。もっともゴム底なら良くて高機能ソールがダメだということを、論理的に説明できる人はどこにもいません。

厚底は危険だと叩いている人もいますが、なんらかのエビデンスがあるわけではなく、自分の立ち位置を守りたいだけで、ほぼ感情的に語っているにすぎません。

それはともかく、スポーツのルール。

基本的はフェアな状態で競技を行えればいい。ルールなんてただそれだけのことです。何をフェアだとするかはスポーツによって変わります。

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サッカーには非紳士的行為にはイエローカードが出されるというルールがあります。これもグレーなルールですが、いかにしてフェアにするかを考えたときの苦肉の策だったのでしょう。

マラソンにおいて何がフェアなのか。

シューズによってタイムや順位が変わるのは明らかにフェアではありません。だからフェアにするため裸足にする?真夏のオリンピック、血まみれになった足で走る選手を見たい人はどれくらいいるのでしょう。

マラソン大会がすべて裸足でしか走れなくなったら、ランニング人口は激減します。

安全に走るためにもやはりシューズは必要です。ランニング業界を活性化させるためにも新しい機能を持たせたシューズの開発も重要です。マラソンがブームになったのは、多くの人が走ることを欲していただけでなく、メーカーが儲かると判断したからです。さまざまな思惑が混じり合って今があります。

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マラソンにおいては「フェアじゃないけど、選手やメーカーの競い合いは面白いからいいんじゃないか」くらいに見ておくのが健全かもしれません。現代のマラソンはF1みたいなものです。ドライバーだけでもマシンだけでも勝てません。

そしてナイキがとんでもなく高機能なエンジンを開発したというのが現在地。他のメーカーも負けずと開発を行っています。「陸上競技ってなんだろう」という根本的な疑問を無視すれば、これはこれで面白いものです。

ボクシングはこの減量問題をどうするのか、どうなるのがフェアなのか、真剣に考えて取り組まなくてはいけなくなるのでしょう。個人的には、お互いフルパワーの万全な状態での闘いを見たいところ。

わたしたちが知りたいのは、どちらが強いのかということなのですから。

フェアでないスポーツに身を置いているわたしが、他の競技にフェアを求めるのもどうかと思いますが。


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著者:清水 勝彦
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