理解ができないからこそ惹かれるものがる中国映画「長江 愛の詩」

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自分のことを買いかぶるつもりはありませんが、そこそこ勘は良いほうで理解力や洞察力も悲観的になるほど低くはないと思っていました。映画「長江 愛の詩」を観るまでは。

徹頭徹尾意味がわからない。

ベルリン国際映画祭銀熊賞だったり、いろいろな賞を受賞している「長江 愛の詩」。いろんな人が絶賛しているのもあるし、中国が大好きだと公言しているわたしにとってはずっと観たかった映画。

でも、映画館を出てからわたしの頭上には巨大な「?」マークが漂っています。

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時間の無駄だったとは思わないし、引き込まれる部分もあったけど理解はできない。アートというものはこんなにも難しいものなのかと困惑しています。

もしかしたら、そこに狙いがあるのではないかとうがった見方をしてしまう始末。世の中にこんなにも理解できないものがあるだなんて、42歳にして初めての感情かもしれません。

九大の先生が教えてくれた核融合に関する電波の理論のほうが、まだ理解の対象としては近さを感じます(どっちも理解できないことには変わりないのですが)。

景色がきれいな映画

厚木の映画館、アミューあつぎ映画.comシネマは単館ものを上映するのですが、上映前に映画館の人による前説でそう説明がありました(個人的はこの前説システムがちょっと好き)。

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それはともかく、景色のきれいさを伝えるための4K映像だったにも関わらず、「長江 愛の詩」はわたしの心には響かず。

美しさというのは普遍的なものではなく、主観的なものですから仕方ないのですが、わたし好みの美しさとはちょっと違いました。「肉眼で見ればもっと美しいはず」と、長江を自分の目で確かめたくはなりましたが。

何から何までハマらなかった映画でしたが、また観たいかと聞かれると、あと何回でも観たいと答えます。天の邪鬼かもしれませんが、理解できないものに惹かれる感覚は嫌いではありません。

理解できないものに出会ったときの反応は人それぞれ違います。完全に壁を作って突っぱねる人もいれば、いきなり距離ゼロにして興味津々に近づいていく人もいます。

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わたしは、程よい距離感を保ちながら観察をして、タイミングをはかって当たり前のようにすっと隣に入っていくタイプ。

いきなり飛び込む勇気はないけど、異質なものへの興味もあるという面倒くさい男です。

ちなみにいきなり距離ゼロにするタイプはあまり得意ではありませんが、42年の人生の中でわたしに強い影響を与えた人の多くが、距離をいきなり詰めてくるタイプの人です。

だから、苦手だなと思いながらも避けることはありません。間合いを詰められても後退するのではなく踏ん張っていると、そういう人たちは必ずわたしにとっていい刺激を与えてくれます。

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そもそもわたしは前に前に出ていくのが苦手ですし、積極性もありません。ですので、いきなり自分の世界に引き込んでくる人は、わたしに見たことのない景色を案内してくれるガイドみたいな存在です。

そして、わたしにとってやっぱり重要なのは、理解できない人の存在かもしれません。考え方も向いている方向もまったく違う人にいつも惹かれます。

理解の範疇を超えた人を好きになって、うまく噛み合わないことを繰り返した若き日々。「絶対に振り向いてくれない人ばかり好きになるよね」と、わたしの失恋歴をよく知る友人のひと言。

それはともかく、やはり未知のものは気になりますし、気になったらそのことをもっと深く知りたくなるのは、何も恋愛だけでなく、わたしの生き方そのものなのでしょう。

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今回の「長江 愛の詩」は本当に分からないことだらけで、これからもわたしの頭の片隅できっと引っかかり続けるのかもしれません。そして、5年後10年後にその引っかかりが取れるときがやってくるはずです。

なんでしょう。今頃になって一つひとつの情景がふっと頭に浮かんできます。

いい映画を観たという感覚はありませんが、観てよかったという気持ちはあります。ただ、次はもうちょっと分かりやすいものを観ようと思います。泣ける映画か笑える映画で、観終えてスッキリして頭の中に何も残っていない映画。

「長江 愛の詩」みたいな知性を求められる映画は年に1回くらいにしておかないと、自分が高尚な人間になったような勘違いしてしまいます。


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