映画「恋は雨上がりのように」と純度の高い自分

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映画の日に映画館に行ったのは久しぶりでした。どうしても観たい映画というわけではありませんでしたが、ずっと気になってたので、練習をサボって映画館へ(誰に対してサボったのだろう)。

「恋は雨上がりのように」

予告編を観たときにピンと来てたのに、忙しいことを理由してスルーしそうになっていましたが、やっぱり直感は正しかった。人間らしさがギュッと詰まった映画。ここ数年で1番良かったかもしれません。

いや、これまで観た映画の中でもたぶん1番(絶対にとは言わない)。

演技が上手いとか下手とかはわたしには分かりませんが、今の自分に完全にハマったことは分かります。そういう意味では1週間前でもダメだったし、きっと一昨日でもダメ。昨日見るべき映画でした。

本は出会うべきタイミングで出会うものだとわたしはずっと言い続けていますが、まさにそのニュアンスのことが映画の中でも語られ、そしてわたしは出会うべきタイミングでこの映画に出会いました。

これを運命と呼ぶのか、それとも必然と呼ぶのか。

「恋は雨上がりのように」タイトルから想像できるのは恋愛映画ですが、これは恋愛映画の姿をしたもっと深いもの。ストーリーの真ん中に恋愛を置いてはあるものの、人生は恋愛だけで成立しているわけじゃないというメッセージが伝わってきます。

でも、やっぱりそこには大きな愛がある。

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よくもまぁ2時間という短い時間でこんなにも深く表現できるものです。映画監督の頭の中はいったいどうなっているのでしょう。しかも言葉では語らないつながりをいくつも埋め込んでいる。

たぶん、あと3回観ても「そういうことだったのか」と気づくことがあるのでしょう。もちろんこっちの勝手解釈な部分もありますが、1つの言葉にいくつもの想いを乗せ、解釈の自由度を高める。

もっともそれは原作からくるものかもしれませんので、監督だけがすごいわけではないのでしょうが。

わたしは原作もアニメも見ていません。たぶん読むことも見ることもないのでしょう。なぜならこの映画ですべてが満たされたから。きっと必要なときがくれば目の前に現れてくれます。

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映画の感想を述べているのに、まったくストーリーに触れないのもどうかと思うので、あらすじくらいは簡単に。

過去に小説家を目指した冴えない中年男性、バツイチ子持ちでファミレスの店長である大泉洋演じる近藤正巳。そんな近藤正巳に恋をするケガをして走れなくなった陸上選手17歳高校2年生の小松菜奈演じる橘あきら。

どちらも夢を追いかけることを止め、でもそれを諦めきれずにいます。

恋愛のストーリーとしては橘あきらの一方的な片想い。別にわたし自身が近藤正巳に自分を重ねたわけではありません。もちろん橘あきらにも。

でもくすぶっている自分という部分では2人の感情にシンクロする部分もあります。完全に重ならないのに、ピンポイントで心の一番敏感なところをえぐってきます。

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まっすぐに近藤正巳にぶつかってくる橘あきら。そして、それを受け止めきれない近藤正巳。そこに夢や友情が絡んできて、でも冴えない中年男性のおかげで青臭くはならないわけです。

それにしても今の若い女の子たちは、なんであんなに目ヂカラがあるんでしょう。小松菜奈さんも清野菜名さんも山本舞香さんも。目だけで人を圧倒するような雰囲気。

何か新しい時代の波がやってきて、自分がずいぶんと古い時代の人間のように感じます。ただ、それは劣等感のようなものではなく、自分の居場所を感じられる喜びにも似た感情です。

映画を観ているうちに、自分がいますべきことがはっきりしてきました。そして、今なぜ自分が本能的に余計なものをどんどん削ぎ落としているのかも分かってきました。

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まだきちんとした答えは分かりませんが、このまま削ぎ落とし続けていいのだということだけは確信しています。

もっと純度の高い自分になる。本当にしたいことだけを純粋に追い続ける。これまではやりたいことばかりしてきたつもりでしたが、その半分はやりたいと思わされていただけ。誰かに提示されて豊かさや喜びに惑わされていました。

でも、自分の喜びや豊かさは自分だけのもの。外から与えられるものではなく、自分の内側からにじみ出るもの。それこそが自分であり、唯一大切にしなくてはいけないものでもあります。

映画を観終えた帰り道、わたしは手放すことをためらっていたいくつかのものを捨てました。ほんの少しの躊躇もなく。

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「恋は雨上がりのように」また機会があれば観直してみたい映画です。でも、昨日ほどにはも心は動くことはないのでしょう。ほんの少しだけ変化した自分には、次に出会うべき本や映画があるはずです。

そしてその先には、出会うべき人もいるのでしょう。その数々の出会いを見逃さないようにするためにも、いまは自分の純度を高めることに集中していくことにします。

他の誰でもない自分でいるために、知らないうちに纏ってしまった重たいだけの鎧をひとつひとつ剥がしていきたい。

映画ってやっぱりいいですね。映画の日なのに座席が半分も埋まっていない作品でしたが、他の人がどう評価は関係ありません。わたしにとっては大きな一歩を踏み出すきっかけになる2時間となりました。


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著者:眉月 じゅん
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