13回忌

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12年前の1月10日。あの日の夜の無力感だけはいまだに覚えています。1週間前に会ったばかりの父の他界。「なぜ?」という思いと「そだったか」という思いが交錯し、礼服を入れたはずのカバンに入っていたのは濃紺のスーツ。

完全に地に足が付いていなかったのでしょう。

翌日に松山まで移動し、父の姿を見ても涙は流さなかったような気がします。

あれから12年の月日が流れ、昨夜が13回忌。法要はわたしの愛媛マラソンに合わせてということで、2月まで先送りしてもらいました。一般的に法要は命日の前にするものと言われていますが、どうも根拠のない話だとか。

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なぜか、ここ最近は父のことを思い出すことが増えています。

年末あたりには1度夢に出てきました。あたり前に父がいる生活の夢を見ただけですので、枕元に立つというのではないのでしょう。昔からわたしには多くを語らない人でしたし。

男の親子はぺちゃくちゃおしゃべりするものではない。そう思っていたのですが、どうも世の中にはそうでもない家もあるようで、親子の形はいろいろですね。

わたしは小さな頃から習い事が多く、基本的には家にいません。父は会社勤めでしたが商売人でしたので、休みは水曜日などの平日でした。だから他の家のように週末に一緒に遊ぶなんてことはほとんどありません。

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別に嫌っているわけでもありませんでした。ただ接点がなかっただけ。

だから自然と会話も減っていきます。中学時代や高校時代にどれだけ言葉を交わしたか分かりません。大学に進学しないと言ったときに、大学だけは卒業しておけと諭されたことは覚えています。職場のある大阪江坂にある中華料理店。

基本的にわたしが選んだ道に口をだすこともありませんでした。わたしも悩みを相談をしたこともありません。もっとも悩みを誰かに相談するなんて、父に限らず人生で1度もありませんが(多分)。

自分のことは自分で決める。責任も取れない年齢のうちからその気持だけは強かった気がします。

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それは先天的なものなのか、父や母がそう育てたのか、はたまた偶然の産物なのかは分かりません。いつの間にかわたしは頼るということをしない人間になっていました。

人に頼るというのは今でも得意ではありません。

大学進学と父の転勤が重なり、妹や母が引っ越してくるまでの少しの間、父と2人暮らしをしていた時期がありました。あのときに何を話していたかは覚えてません。

そういえば大学選びも相談せずに決めました。最初からサッカーをするために関東の大学に行くと決めていましたので。1人暮らしのつもりが、結局家族と一緒だったのは誤算でしたが。

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湘南工科大学の特待生試験があったのは豊橋だったような気がします。朝早かったのもあって、父が新大阪駅まで送ってくれたのをさっき思い出しました。妙に頼もしかった記憶があります。

大学に入ってからは、バイトとサッカーと勉強だけの日々でしたので、父と顔を合わせることもほとんどありませんでした。そんなある日、父が倒れて救急車で運ばれたとの連絡がありました。

その時から、人生は永遠ではないということを徐々に意識し始めました。

重松家は短命な人が多いようで、祖父も若くして他界しています。父は5人兄弟ですが、すでに3人が他界しています。みんな真面目で働きすぎるところがありました。

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2人の叔父が亡くなったとき、わたしは働き方を変えました。それまでは午前2時3時まで働くことも珍しくなく、残業代だけで基本給以上になっていたのですが、できるだけ残業をしない働き方を模索し始めました。

機械設計という職業柄、年に1〜2回はどうしても踏ん張らなくてはいけないことがあります。そういうときは徹夜でも何でもしますが、そうでないときにはできるだけ自分の時間を増やすことに。

そういうときに出会ったのがマラソンでした。初マラソンは2006年10月29日ですので、あの日の2ヶ月とちょっと前ということになります。

2007年3月にも10kmのレースに出ていますが、あのときどんな心境だったのでしょう。よく走れたなと思うのですが、そういうときだから走れたのかもしれません。走ることが逃げ場だった。

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あのころ、まさか自分がここまで走ることに関わりながら生きていくとは思いもしませんでした。きっと縁があったのでしょう。走り始めたのがあのタイミングだったのも、走りことに向き合えるタイミングだったのも。

ありがたいことに虚弱体質で弱々しかったわたしに、父と母はスポーツという道を示してくれました。そこそこ強い体を手にしているのは、間違いなく両親のおかげです。

普段はそんなことを口にしませんが。こういうときくらいはね。でも、これからは意識して口に出してみようかなと思います。父を思い出すことが多いのも、きっと何かの意味があるのでしょうから。

今回は礼服を忘れないようにしないとですね。スーツそのものを忘れそうで不安なのです。今度は地に足がついていないのではなく、12年という月日のなかで、ただ物忘れがひどくなっただけですが。


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著者:一条 真也
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