形だけの気遣いやおもてなしで疲弊するのはもうやめたほうがいい

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日本人の文化に「おもてなし」というものがあります。いや日本以外にもあるのですが、おそらく「おもてなし」という言葉を適切に表す外国語はないかと思います。

ただ、最近の「おもてなし」は英語の「hospitality」に近いものがあるかなと感じています。でも実際にはホスピタリティとおもてなしは違います。

おもてなしは気遣いがベースにあります。そしてその気遣いは、相手に悟られるようなものであってはいけません。「よくわからないけど、なぜか心地いい状態」に導くのが、わたしにとってのおもてなしだと思っています。

例えば、重たいキャリーケースを持って、階段を上がろうとしている人がいたとします。明らかに無理をしているようであれば、「大丈夫ですか」や「手伝いますよ」と声をかけると同時に手を貸し、階段を上がったらそのまま去るのがおもてなし。

(長いな……)

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たぶん多くの人は「手伝いましょうか?」と聞くと思います。いや、ほとんどの人は見て見ぬふりをするのでしょうが、ホスピタリティがある人はきっと「手伝いましょうか?」となるはずです。

おもてなしは、相手の行動に対して先回りをします。手伝うかどうかを確認せず、手伝うことを前提に話しかけて、行動に移すわけです。もちろん、手伝いが必要であることを確信し、それでいて不審がられないことが求められますが。

ここで大事なのは実際には荷物を運ぶかどうかということではなく、目の前にいる人に対して、その人が助かるであろうことを先回りして行うということです。

「May I help you」では、おもてなしにはなりません。

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まぁ基本的には不審がられるので、わたしの真似はしないほうがいいとは思いますが。これを実際に行うには、行動や言葉だけでは足りません。何が必要なのかを言葉にするのがとても難しいのですが、最適な言葉があるとすれば「真心」でしょうか。

わたしのようなふざけた生き方をしている人間が安易に使っていい言葉ではないとは思いますが、要するに形だけのおもてなしになっていたら、それはやっぱり気持ち悪いものになってしまいます。

どんな行動でも意識して動いているうちはまだまだ本物ではありません。ランニングフォームと同じで、トレーニングでしっかりと意識付けを行い、無意識にできるようになっていく。

偉そうなことを書いてはいますが、わたしだってまだ無意識の領域にはまったく届いていませんし、おもてなしをしたいという気持ちはありません。あるのは「喜んでもらいたい」ということだけ。

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自分の行動によって誰かが喜んでくれることが、ただただ嬉しい。

なぜそのようになったのかは分かりません。きっとそういう環境で育てられたからで、なおかつそうやって周りの人たちが支えてきてくれたからなのでしょう。

こんなことをなんで書いているのか。

最近「May I help you」な人が増えてきて、それだと言われた方も言う方も疲れるだろうなと思ったことが重なったから、ちょっと文章にしておこうかなと。

真心のない気遣いは自分を苦しめることになります。これ、意外とみんな気づいてない大事なことです。一生懸命気遣いしているのに、相手がそれによって動いてくれない。何も返してくれない。

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それに対して「自分はこんなにもしてるのに」となります。そうやって心が壊れそうになった人を何人も見てきました。

気遣いは大事です。おもてなしだって受け継いでいくべきことだと思います。でも、それが表面的になっていて、真心が入っていなかったら、相手は心から喜んでくれませんし、下手するとただのうざい人になってしまいます。

じゃあどうすれば真心を込めることができるのか?

それはわたしには分かりません。どこかの偉いお坊さんにでも聞いたら教えてくれるかもしれません。わたしのような天下の凡人にはよく分からない世界ですが、形だけの気遣いはやめたほうがいいということだけは分かります。

形だけの気遣いをやめればずいぶんと楽になるはずです。人に親切にするのはいいことですが、「親切にするのがいいことだから親切にする」では疲弊していくだけですよ。


JALファーストクラスのチーフCAを務めた「おもてなし達人」が教える “心づかい”の極意
著者:江上 いずみ
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