裸足での富士登山チャレンジは再びの失敗

久しぶりに富士山を登ってきました。前回は裸足で上り始めて、すぐに地下足袋を履くことになりました。それを踏まえての2回目の裸足チャレンジとなった富士登山。

表題にあるように失敗に終わりましたが、その過程をお伝えしていこうと思います。

目次

スタート前から前途多難

富士山頂プロレスをするから撮影に来て欲しいと、ラン仲間でクレイジーランナーの三州ツバ吉さんから連絡があったのが水曜日、久しぶりの富士山だったので、必要なものが分からずにとりあえずワークマンで雨具を購入しただけ。

結果的に雲ひとつない青空が続き、雨具は無駄な出費になりましたが、山に登るというのはそういうもの。どれだけ保険をかけるかの見極めが大事で、今回は自分の判断で引き返すというのはなかったので、雨具は必須でした。

集合は日曜日の午前1時に東京駅。そこから車で富士山に向かう予定でしたが、こんな日に限って小田急線内に人が立ち入って新宿までしか行けず。新宿で拾ってもらいましたが、スタートから躓いた感じです。

水ヶ塚駐車場に到着したのは午前4時。もちろん寝てません。寝てないどころか前日は朝夕ばっちり練習しています。フルマラソンの前日に追い込み練習をするようなものなので、これは反省しています。

駐車場からバスに乗って富士宮口に向かいます。駐車場の時点ですでに、ちょっと酸素の薄さが気になります。標高1500mですので、ここでランニングをすれば、ちょっとした高地トレーニングになります。

前回は裸足で上り始めて、かなり早い段階で地下足袋に履き替えました。なので、今回は最初から和紙布シューズで登るつもりだったのですが、前回一緒だったメンバーから「裸足なの?」と聞かれて揺れる心。

荷物をかなりコンパクトにしていたので、リュックにシューズを入れるスペースはないので、裸足だと無理だと思ったときにサンダルになります。1人での登山ではないのでそれは勘弁したいところ。

裸足での登山となると、すれ違う人がみんな「すごい、頑張って」と言ってくれますが、サンダルだと「ふざけるな」と罵声を浴びることになります。何なんでしょうこの違いは?裸足のほうがよっぽどふざけているように思えるのですが。

とにかくサンダルは周りへの印象が悪く、場合によっては一緒に登っている人にも不快な思いをさせてしまうということで、最終的には裸足+和紙布シューズという組み合わせを決断しました。

和紙布シューズはリュックの外側に括り付けました。やるだけやってみればいい。やらずに逃げるはハダシストの恥。

バランスの悪さに愕然とする

普段から裸足で走っているとはいえ、キレイに整備された公園内のランニングコースばかり。不整地を裸足で移動するのはかなり久しぶりです。しかも富士山の登山路は大小様々な石がゴロゴロ転がっています。

最初の10mでヤバさを感じます。「こんなんやったっけ?」と不安を抱えながら、なんとか6合目までたどり着きます。前回の記憶では、ここまでが安全エリアなのに、この安全エリアで苦しんでいる現実。

傷みは慣れなのですが、1日2日では慣れません。特にトレイルなどを走るときには、3〜4回試走して初めて痛みがなくなります。今回の富士登山に誘われたのは数日前だったのでトレーニングをする余裕もなく。

ただ、次回もやるなら1週間はランニングメニューを裸足トレランにすべきだということは分かりました。傷みに弱くなっている自分と向き合いながら、でも精神面でなんとか凌ぐことを決意。

せめて前回と同じ場所までは行きたい。

RUNNING STREET 365
裸足ランナーが気合と根性だけで、裸足で富士登山してみた | RUNNING STREET 365 こんにちは、編集長のしげです。 わけあって、富士山五合目富士宮口に裸足で立っています。 仲間と富士登山をすることになり、裸足ランナーのプライドをかけて、ビブラムフ...
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6合目を過ぎてからが本番です。ただ、痛みよりも大きな問題に直面しました。何度もバランスを崩して転びそうになります。わたしは比較的バランスの良さには自信があるのですが、大きな石に足を載せてはバランスを崩します。

おそらく、足が1軸になっていたのだと思います。それに気づいて意識的に2軸にしたところ、大きく崩れることはなくなりました。いかんせん気付くのが遅すぎました。すでに足にはかなりのダメージを負っています。

それでも前回裸足で到達した新7合目はなんとかたどり着きました。問題はここからです。前回は新7合目を過ぎてすぐに地下足袋に。そこを越えることができれば、自分を納得させることができます。

足裏に痛みが蓄積され、もうどうにもならないと思いながらも「死ぬわけではない」と言い聞かせます。すれ違う人が応援してくれるのも力になります。1人だけ違う競技をしているような……。

そういえば、同じ日に富士登山駅伝が開催されていました。あの人たちは、これを走っているわけです。シンジラレナイ。

そうこうしているうちに7合目に到達しました。ここでようやく半分ですが、やればできるものです。でも、我慢の限界が来ていました。7合目で休憩をして、8合目に向かう途中、大きくバランスを崩して、足場にしていた石から落ちてしまいました。

幸い後ろに人がおらず、きれいに着地したので大事にはなりませんでしたが、次に同じことをすれば何が起こるか分かりません。わたしの裸足での富士登山チャレンジはここで終わりました。

前回よりも1段レベルアップです。次は8合目……なんて甘くないのは知っています。ただ、しっかり準備をして挑むようにはします。

高地への適応性が高くないという事実

過去2回の富士登山ではどちらも山頂まで到達しています。今回も剣ヶ峰には行きませんでしたが、上まで行けました。でも、毎回同じように綱渡りをしている感覚があります。

体の変化はいろいろありますが、今回は心拍数が上がりやすいのと頭痛が悩みのタネとなりました。

簡易的に血中酸素濃度の計測をしてみましたが、普段はそれなりに激しいトレーニングをしても100を切ることがほとんどないのに、今回は高度が上がるにつれて数値がどんどん下がり、最終的には95になっていました。

あくまでも簡易的な測定ですが、どうもわたしの体は高地への適応性が低いのかもしれません。血中のヘモグロビン値も標準値内には収まっていますが、その中でもかなり低めなので、たくさんの酸素を運ぶことができません。

ランナーとしては致命的な問題なのですが、おそらく富士登山のような高地での運動にも影響を与えているのだと思います。高山病になって動けなくなるほどではありませんが、あまりいい傾向ではありません。

ただ、そこは伸び代と考えることはできます。近いうちにヘモグロビン値を上げるための取り組みを行う予定ですが、それについてはまた別の機会に話をするとしましょう。

現時点で可能性として考えられるのは、ヘモグロビン値が上がればマラソンでも結果を出せるようになるし、富士山でも頭痛に悩まなくて済むかもしれないということです。それを体質改善で目指せるなら面白いじゃないですか。

とはいえ、明らかに今は高地に適応できていません。9合目以降はとにかく心拍数を上げすぎないことだけに集中しました。

第10回 富士山頂プロレス

今回のメインイベントは富士山に登ることではなく、富士山頂でプロレスをすることです。もちろんわたしはプロレスはできませんので撮影班です。信じられませんが3600m以上の高地でプロレスをするわけです。

今回は三州ツバ吉さんだけでなく、何かと縁がある中川達彦さん、そして全日本プロレス第33代世界ジュニアヘビー級王座の大和ヒロシさんというメンバーですが、富士山の上とは思えない運動量。

魅せること見られることを知っている人たちは、どこに自分のスイッチがあるのか知っていて、それが日本で最も高い場所であろうと、地の果てだろうと変わらないのかもしれません。

あたり前のように動いている人たち。高山病になるかならないかの瀬戸際で揺らいでいる自分。そこには簡単に乗り越えられない大きな壁があります。努力で乗り越えられるのかどうかすら分かりません。

それでも、これだけすごい人たちと一緒の時間を過ごすことができたわけです。それはわたしにとって大きな経験であり財産でもあります。自分よりもひと回りもふた回りもスケールの大きな人たち。

痛いのが嫌いなので、ほとんどプロレスを見ないわたしでも、彼らが多くの人を喜ばせるために積み重ねてきた努力の大きさ、生き様というのが伝わってきた富士山頂プロレス。

プロレスって素晴らしい。

下山後に突然やってきた危機

登ったら下りなければ行けないのが登山。今回はプリンスルート経由での下山となりました。御殿場口を目指して、宝永山から西に向かうルートです。初めて富士山に登ったときに御殿場口から戻りましたが、それをなぞります。

下りは徐々に酸素が増えるので楽だと思いそうですが、酸素が増えるのを実感できるのはかなり下がってからです。下りるだけだからとスピードを上げると、あっという間に血中酸素濃度が下がります。

今回はスイーパー的な役割もしていたので、スピードを出すことはしませんでしたが、それでも下山は大変です。登るときは目的がありますが、下るときは目的が明確ではありません。

プロレスで時間が押したのもありましたが、徐々に傾きつつある太陽は日没が近づいていることで気持ちが焦り始めます。でも、下山であっても無理に急いでいいことなんてひとつもありません。

ときには引っ張りながらも、一歩一歩確実に。

なんとか日没前に富士宮口に戻ってきました。先に下山していたメンバーと合流してひと安心と言いたいところでしたが、危機はバスで駐車場に移動した直後にやってきました。

バスの中で寝てしまったのが良くなかったのか、極度の頭痛と寒気が襲ってきます。「これはヤバいやつ」と悟り、下山したのにここで初めてダウンコートを着ることに。周りにバレないように呼吸を整えて頭痛を和らげました。

みんなが着替え終わるくらいまでには、なんとか落ち着いてはいましたが、危機一髪というやつです。まさかあのタイミングで向こう側に落ちていくとは思いもしませんでしたが、まさかがあるのが山の恐ろしさ。

それも含めて学んだことの多い富士登山になりました。ここ最近のテーマにしている判断の早さというのも、以前よりは少し向上しているのを感じられましたし、意味のある1日になりました。

ひとつだけ後悔があるとすれば、ふくらはぎをむき出しにしたこと。パンツの裾を膝上まであげるいつものスタイルで山に入ったら、見事にそこだけ大きく日焼け。筋肉痛と相まって歩くのも困難な状況です。

次回富士登山をするときに晴れていたら、ちゃんと日焼け対策行います。忘れなければ……ですが。


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著者:四角 友里
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