本を読まない人も秋の夜長に気になる1冊を手にしてみませんか

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文化庁の調査によると47.5%の人が1ヶ月に1冊も本を読まないらしい。信じられないと言いたいところだが、実際のところそんなものだろう。電車の中で本を読んでいる人は、視界に入ってくる範囲で1人いるかいないかということろだ。娯楽としての読書はいまやスマホにその役を奪われてしまった。出版業界や印刷業界に勤めているのでなければさほど嘆くことでもない。読書をすれば知的になり、スマホをいじってれば知的でなくなるなんてことはない。ただ、わたしにとって読書は生活の中でなくてはならないもののひとつだ。

小さなころから本はわたしの友だちだった。『大どろぼうホッツェンプロッツ』はわたしに冒険心を植え付けてくれ、『ズッコケ三人組』は仲間だからできることを教えてくれた。中学、高校、大学とスポーツに熱中した期間は少し読書からは離れたが、社会人になってからは本は再びわたしの元へ戻ってきた。むさぼるように村上龍氏の小説を読み、いまは浅田次郎と北方謙三がわたしの人生の師匠となる。

本を読むことが偉いなどとは思わない。ただ好きだから読んでいるだけだ。一瞬にして言葉の海の中に引き込まれ、主人公に自分を重ね、世界中を旅することができる。文庫本ならたった数百円ではるか遠い時代を旅することもできる。10代の若者になることもできるし、死と向き合う老人になることもできる。新しい知識を得ることもできるし、自分にはない発想に驚かされることもある。

デジタルの時代になって、電子書籍になったとしてもその魅力は変わらない。何十冊、何百冊もの本を鞄に詰め込むことができるのだ。大事なのは何に書かれているかではなく、何が書かれているかだ。電子書籍が嫌だという人の気持ちもわからなくはない。家の中をすべて本棚にしてしまう気持ちもわかる。読み返すことがなくとも、これだけの本を読んだという達成感は気持ちいい。だか、それは読書の本質とは少し違う気がする。

せっかくだから、最近読んだおすすめを1冊だけ紹介しておこう。『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ最新作、『憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI』は読書が苦手な人にぜひ読んでもらいたい。『池袋ウエストゲートパーク』は石田衣良の小説で、テレビドラマ化され大ヒットしたので覚えている人もいるだろう。

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このシリーズは『PRIDE 池袋ウエストゲートパークX』で終わったことになっている。ところが池袋のトラブルシューター真島誠が帰ってきた。テンポのよい文章は相変わらずで、この1,2年に起きた社会問題を深く掘り下げた文章からは学ぶことが多い。危険ドラッグとは何なのか、ノマドという働き方はほんとうに自由なのか、これを読めば理解できるだろう。そして何より真島誠もキングも当然のように歳を重ねている。変わらないようで変わっていく。登場人物は重ねた年月の分だけ深くなっていく。

もちろん『池袋ウエストゲートパーク』シリーズを読んだことがなくても十分に楽しめる。もし読んでみて面白ければシリーズ1作目から読んでみるといい。読書はこんなにも面白いのだということに気付かされるだろう。本からえられる教養なんてどうでもいい。読書という娯楽を知っているほうが人生が少しだけ豊かになる。少なくともわたしはそう感じている。なにも小難しい本を読む必要なんてない。

まずは気になる本を本屋で手にして欲しい。そして数ページめくってみるといい。続きが気になり出したらレジに持って行こう。それが秋の夜長を特別な時間に変える第一歩だ。

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