東京マラソン観戦後にわたしが初体験したものは…

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何歳になっても初体験というのはほどよい緊張感とワクワクする気持ちになるものだ。わたしが今回初経験したのは『地下プロレス』だ。ラン仲間の三州ツバ吉さんが年末年始に東海道五十三次を走っている途中に都内に戻り、チャンピオンとなった戦いの場。その初防衛戦が高田馬場で行われた。

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三州さんのプロレスは一度見たことあるのだが、彼の主戦場である地下プロレスの会場はこれまでタイミングが合わなかったりして一度も訪れていなかった。年末年始のタイトルマッチを見れなかったことを実はずっと悔しく思っていた。彼の試合を観ることで彼の強さの理由がほんの少しでもわかるような気がしていた。

会場は高田馬場アレイズ。高田馬場に来るのは初めてだが、東京マラソン観戦を終えて月島から高田馬場アレイズまでずっと地下。東京の地下を移動しながら地下プロレスの会場を目指す。どことなく自分が裏側の人間になったかのような気分になるが、地下プロレスは別に裏側の世界ではない。

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高田馬場アレイズはダイニングバーだ。だからリングもメジャーなプロレスのような立派なものではなく、床にマットを敷き、周りをチェーンで囲む。リングから観客までの距離はわずかに30cm。勢い余ってレスラーが飛び出してこようものなら観客までも巻き込まれるが、そうそう巻き込まれないところがプロレスなのだろう。

プロレスについてはいまだによくわからない。ただ、レスラー同士の呼吸が大事だということはなんとなく理解し始めた。好き放題に攻めるものではなく、相手の攻撃も受ける。受ける側も攻める側も相手を信頼している。きちんと守ってくれると信じれるから攻められるし、きちんと攻めてくれるから守ることができる。

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同日に行われた女子プロレスのケンカマッチが話題になっているが、ああいうのはプロレスではないのだろう。一時の感情で相手を病院送りにするというのは『プロ』ではない。もちろん全力で戦うので流血ぐらいはする。当たりどころが悪ければ大ケガにもつながる。でも、信頼があって起こる偶発的な事故と、感情だけのケンカとでは根本が違う。

地下プロレスはリングそのものも小さいので、骨のぶつかる音がダイレクトに伝わってくる。最初は「痛い」と思いながら観ていたのだが、人間とはおそろしいもので、徐々にその痛さも麻痺してきて、メインイベントの三州さんの試合のころには完全に興奮状態にあった。

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三州さんにとって初防衛戦なのだが、実は彼は試合の前に東京マラソンを走ってきている。もちろん完走している。42.195km走ったあとにタイトルマッチを行うのだ。だが、彼にとってみれば試合前に走ることはほとんど儀式のようなものになっている。前回のタイトルマッチは300km以上走ってからリングに立ったのだから。

三州さんの相手は富豪富豪夢路選手。これまで三州さんが一度も勝ったのない相手だそうだ。ここまでの選手もすごかったが、さすがタイトルマッチ。会場の緊張感がちょっと尋常ではない。始まる前から完全に二人の世界にのまれてしまった。

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なんどもダウンし窮地に追いやられる三州さん。ただ、そのたびに這い上がり雄叫びを上げる。何度も何度もそれを繰り返す。もういいんじゃないかと言いたくなる気持ちと、それでも三州さんは必ず立ち上がってくれるはずと思う気持ちが入り混じる。男の意地と意地のぶつかり合いがそこにある。

三州さんはどんなときでも前に進む。その姿の原点がそこにはあった。どんな状況でも諦めず立ち上がる。そして彼は再びチャンピオンベルトを手にした。心の底から嬉しかったが、それと同時に危機感が湧いてきた。このままではわたしは永遠に三州さんに追いつけない。このままではいけない。

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プロレスを好きになる人たちの気持ちが少しだけわかったかもしれない。地下プロレスはとてつもなく刺激的だ。そしてこの刺激は中毒性がある。熱い試合を観れば観るほどもっともっとたくさん試合を観たくなってしまう。なるほど、これはとてつもなく面白い。

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