リオ五輪マラソンの日本勢は惨敗ではなく善戦という現実

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リオオリンピックでの「日本マラソンの惨敗」という見出しがいくつか目立ち、それ以上に猫ひろしさんの139位のほうが大きく取り上げられる現実。

猫ひろしさんはゴール後に取材攻勢を受けたそうですが、他の日本人3人はどうだったのでしょう?

オリンピックのようなスポーツの場合、勝つことがすべてのようであり、実は「参加することに意義がある」という精神もまだ残っています。

それぞれの方法で爪あとは残せるということ、結果以外にも評価される、人の心を動かすことができるという証明を彼は行いました。

日本マラソン界が弱くなってしまったのか、それとも世界のマラソン界が強くなってしまったのか。

結局のところ、日本のマラソンが強いとか弱いとか関係なく、この時代には天才が日本に生まれなかった、もしくは天才がマラソンをしていなかっただけのことなんじゃないかと、わたしは思います。

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マラソンのように個人の才能に頼ることの多いスポーツは、国がいくら強化しようとも特別な才能がない人をいくら鍛えても、世界のトップを争うことができないのは明らかです。

もちろん今回走った日本人6人は、日本人の中では優れた才能があります。オリンピックの結果だけを見れば、世界のトップ50には入っているわけですから、充分に素晴らしい。

でも世界で戦える特別な才能ではありません。

高橋尚子さんや野口みずきさんといったメダリストは、確かに日本の陸上界で育ちましたが、それは日本の陸上界がすごかったのではなく、単純に彼女たちが特別マラソンに向いていただけ。

なので、何年か後、もしくは何十年後かにはまた日本に彗星のごとく天才が現れて、世界のトップ争いをする時代がやってきます。そういう選手が出てくる土台はすでにあるわけですから。

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結果が出なかったのを陸連が悪いとか、体制を見直すとか言っても無理なんです。ウサイン・ボルトはジャマイカの陸連にいたから世界一になったわけではなく、才能があったから世界一速い男なのです。

もちろんそこにたどり着くまでの努力を否定するつもりはありません。でも今回参加した日本人6人だって尋常でない量の練習と、科学的なトレーニングによって鍛えられたはず。

それでも届かなかった世界トップとの差を、陸連の努力次第で埋められるなんて思い上がりでしかありません。

陸連がやるべきことは「マラソンが、陸上がいかに楽しいことなのか」を伝え、若い陸上人口や若い長距離ランナー人口を増やすこと。それくらいでしかありません。

とはいえ日本ではすでにマラソンがブームから文化へと移行しつつあり、マラソンブームの始まりから10年以上が経過しようとしています。日本各地でマラソン大会がいくつも開かれ、子どもたちが走れる場も増えています。

10年前に10歳だった子どもたちはいまでは20歳。東京オリンピックでは24歳。そろそろ次の世代の天才が現れそうなタイミングではあります。

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それでも多くの若者はマラソンで世界一を狙うよりは、メジャーリーガーになりたかったり、海外のプロサッカー選手を夢見ています。才能が分散してしまうのも日本という国の特徴のひとつです。

マラソンで世界一になったとして、その先に夢がない。

マラソンで金メダルをとった高橋尚子さんや野口みずきさんは、何十億円ものお金を手にすることが出来たのでしょうか。自家用ジェット機で世界を転戦するような収入を得ていたのでしょうか。

アフリカのランナーたちにとってマラソンは夢があります。海外の賞金レースで優勝すれば、一族の生活を激変させるだけの収入が得られます。オリンピックで優勝すればスポンサーからとんでもない額のお金をもらえます。

そう考えると、次に才能が出てきてもそれは単発であって、数年後にはまた冬の時代がやってきます。

才能のある若い人がマラソンを走リたいと思える環境を作ること。マラソンに夢をもたせること。マラソンだけで食べていける環境を用意することが陸連の仕事です。

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簡単な話が、日本のマラソン大会の多くを東京マラソンのような賞金レースにすればいいんです。東京マラソンに優勝すれば800万円もらえます。4位だって100万円です。

こういう大会が10〜20あって、マスコミに賞金の部分をプッシュして発信してもらえれば、マラソンにも金銭的な面での夢が少しだけ膨らみます。

1年間に2勝すれば1600万円。そりゃあ頑張りますよ。プロのマラソンランナーも生まれ、マラソン界が活性化します。

陸連がすべきことは、そこそこの才能がある選手を1ヶ所に集めてトレーニング合宿を行うことではありません。もっと抜本的な改革が必要です。

いま世界のマラソン界で戦える選手を作るには、マラソンを産業にするしかありません。日本人が金メダルを取ることで、大きく儲かる仕組みが求められます。

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でも、そこまでする必要があるのか?という疑問も生じます。

散々強化を行って、メダルどことか入賞にも手が届かず、日本を飛び出した芸人のほうが世界的にも注目されてしまう。ブービーの139位の選手のほうがリオの人々の心をつかんでしまう。

猫ひろしさんがいなかったら、今回のオリンピックでの男子マラソンの注目度がどうなっていたのでしょう。考えただけでちょっと恐ろしくなります。

黙ってても数年後には天才が現れます。陸連はそれを待っていればいい。たった1人の天才がいるだけで、世界での結果は変わるのですから。

そのたった1人がいなかったのが今回のリオオリンピックだったということ。

今回の結果は、世界の中での日本人ランナーの立ち位置を考えれば「惨敗」ではなくむしろ「善戦」。力を発揮できなかったのではなく、ものすごく頑張った結果だということを受け入れなければ、次に進むこともできません。

日本の長距離界が実業団の駅伝中心の長距離界をこのまま継続していくなら、天才が現れるまではずっとこのままです。

まぁ現れますけどね、そろそろ天才と呼ばれることになるランナーが。

問題は4年後に間に合うかどうかというところだけ。根拠はありませんが、世界で戦える日本人ランナーの出現を期待して待っていてください。

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