過去の自分が今の自分を作り、今の自分が未来の自分を作る

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昨日、3Dプリンタを使って作られたランニングシューズの取材がありました。詳細は今朝のRUNNING STREET 365記事を読んでもらえればと思いますが、ここで感じたのは「機械設計者でよかったな」ということです。

今はライターという、機械設計とはまったく関係のなさそうな働き方をしていますが、こういう新しい技術についての知識があるのは圧倒的に有利な立場にあります。

ただ、技術的な話だけではなく、物事の考え方の根っこの部分は、やっぱりエンジニア時代に培われたものであり、他のライターにはない、わたし独自の強みなのだということを感じています。

ライターとしてはかなり下位ランクに属していることは自覚していますが、でも視点の持っていき方や物事の捉え方は、これまでの人生経験すべてが活きてきます。

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書くことのほとんどは技術面でなんとかなります。新卒で編集の仕事をしてきた人に対して、その技術面でわたしが敵うところはひとつもありません。でも、どの角度から見るのかというのは技術面だけでは語れません。

人は時として、それを生まれ持ったものと言います。才能と表現する人もいるのでしょう。でも、わたしはそうは思いません。どこから見るかというのは経験値の問題です。

普段から目に見えない部分について考えているか。自分だけの視点ではなく、他の人の立場になって考えているか。そういったことをどれだけ積み重ねていけるかが、とても重要です。

多角的な視点で物事を考えるという意味では、機械設計者というのはなかなか深いものがあります。お客さんのニーズと組み立てる人の立場、メンテンスのしやすさ、想定できるあらゆるトラブルを考え、それに対する対処をする。

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わたしは一流の設計者とはいえませんでしたが、新卒で設計を学んだ派遣先では、その基本となる部分を徹底的に鍛えられました。大学の研究室でも、研究そっちのけで物事の原理原則を見抜くことの重要性を教授から学びました。

そういう一つひとつの経験が、いまのライターという立場で活きている。少なくとも「面白い視点で記事を書く」と認識してくれる人がいます。きっとその前に「文章は稚拙だけど」が付くのでしょうが。

でも、それでいいかなとは思います。六十の手習いには反しますが、いまさら文章の基本を身につけることはきっとできません。それはわたしが1kmを3分で走れないのと同じことです。

成長期にその才能を磨いていない人間は、どこまで頑張ったところで、伸びられる上限があります。

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だから、ライティングもランニングも自分だけの視点を大切にします。他の人が歩いてできた轍を進むのではなく、自分だけに見えた一筋の光を信じて突き進む。

ときとして迷宮から抜け出せなくなることもあるでしょう。でも、そこでもがくのも意味があることなのかなと。

きっとそこで大事なってくるのは、最近ずっと考えている「削ぎ落とす」ということ。不要なものは持たないようにする潔さ。物理的にも精神的にも、できるだけ身軽にして生きるということ。

わたしくらいあれこれ飾るのが似合わない人もそうはいません。高級ブランドの腕時計もネックレスも、わたしが付けると輝くことはできないかと思います。

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何かを足すのではなく、無駄なものを削ぎ落とす。

これも実は機械設計を通じて学んだことです。図面は徹底してシンプルに書く。誰が見ても間違えないように、必要ない情報はできるかぎり削ぎ落とす。この考え方は機械設計者でも賛否はありますが、それがわたしのスタイルでした。

その割に文章がすっきりしておらず、ときどきくどくなるのは文章に対する基礎がないためです。

わたしの理想はいつだってレオナルド・ダ・ビンチ。ひとつのムダもなくそれでいて大事なものがすべてそこに含まれている。そういう文章を目指してはいますが、基礎がないので苦労はしています。

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ただ、それが大事だということは知っています。そのスタイルが自分に合っているということも。

環境が変わるたびに、自分の中ではゼロからのスタートだとは思っていますが、実際には途切れることなく続いている。過去の自分が今の自分を作り、今の自分が未来の自分に繋がっていく。

じゃあ、いま何をすればいいのか。答えはシンプルです。少なくともわたしの中では。


なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか ― 何歳からでも人生を拓く7つの技法
著者:田坂 広志
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