メディアがメディアを殺した日

  • 2019.07.23
  • (更新日:2019.11.13)
  • LIFE
メディアがメディアを殺した日
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小学生時代のわたしは、テレビを見ていい時間が1日1時間までと決められていました。いろいろ理由はあるのでしょう。そういう教育方針だったということで、わたしは幼いながらに何とかしてその1時間をかいくぐろうとしたものです。

姉や妹が見ているテレビを見ていないふりをして見たり、親がいない時間にこっそりと見たり。どれもきっとバレていたのでしょうが、あまり咎められなかったのはそれも含めての教育だったのでしょう。

実際に親が見せたくなかったのはテレビではなくお笑い番組でした。でも、次の日の学校での会話についていけなくなるから、人気のTV番組だけはなんとかして見ようとしていました。

中学時代くらいになると、自分の興味はテレビではなくなっていましたし、高校時代や大学時代はサッカーとバイトしかしていないので、テレビどころではありませんでした。

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そんな自分でも、やっぱりテレビが好きだった時代があったのは事実です。夏休みなんかはずっとテレビを見ていて、何度怒られたか分かりません。でも、いつの間にかテレビを見なくなり、そして我が家からテレビがなくなりました。

理由はいろいろあるというか、逆にこれといった明確な理由はないのかもしれません。テレビの内容よりも、テレビを見ている時間がなくなったというのが1番大きいかもしれません。

ただ、見たい番組は明らかに減っていました。

それでも、世の中の話題の中心にはテレビがありました。YouTubeなどが出てきて、テレビ離れが進んだと言われていますが、ここ最近はまた勢いを取り戻しつつあったように感じていたところでした。

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ところが……です。

今回の吉本興業のゴタゴタで、テレビというメディアは、かなりの大ケガを負ってしまったのではないかと感じています。もしかするとメディアとしての役割を失ってしまうような気もします。

良くないことをしたら謝罪をする。当たり前のことのように思えますが、いったい誰に対して謝罪をしているのでしょう。芸人も吉本興業も。少なくともわたしは迷惑を被っていないので、わたしに対してではないことは分かります。

記者会見して謝罪する。今回に限らずですが、それに何の意味があるのでしょう。百歩譲って意味があったとしましょう。でも、ごめんなさいと涙を流し、神妙な顔つきになっている芸人さんを、これからどう笑えばいいのでしょう。

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まっとうな芸人さんであっても、これからはお笑いとコンプライアンスの間で無難なほうへと流れるしかありません。若手芸人はそのあたりを真摯に受け止めてネタ作りをしているようですが、お笑いがどんどん小難しくなっていきます。

最近のM-1グランプリはネタが考えられすぎてて、見る側もスキルを求められる時代になったんだという現実を突きつけられました。誰が悪いというのではなく、そういう時代の流れなのでしょう。

それに加えて、週刊誌というメディアがどんどんと過激になっていきます。週刊誌も生き残るために必死で、とにかく刺激的なスキャンダルばかりを探しているように感じます。

週刊誌が売れないとその出版社が生きていけないので、仕方ないことなのかもしれませんが、そこまで書くのかというようなことから、まったくの作り話までとにかく読み手を煽ります(おもしろがる読み手にも問題があると思いますが)。

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わたしも物書きの端くれなので、自分の書いた記事によって世の中がほんの少しでも動いたり、話題の中心になると気持ちいいという感覚はわかります。雑誌社の場合は、それが収入に直結するから過激さは歯止めが効かなくなっているのでしょう。

そうなると、芸能人や著名人はとにかく品行方正にいくしかありません。最近の若手芸人の中にはお酒を飲まない人もいるようで、ベンチャー企業の社長のような合理的な思考を持っている人もいると聞きます。

そうなると今度は雑誌のほうがネタに困ります。だから過去のネタを掘り起こすわけです。

売れっ子の芸能人なんてスネに傷のない人なんているわけがなく、叩けばいくらでもホコリは出てきます。ただし、今回のようなことがあると、ターゲットになる芸能人の数が減っていきます。芸能人側も防衛策を練ります。

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そしていずれ、雑誌も飽きられて捨てられる時代がやってきます。本来はお互いに支え合いながら共存してくたテレビと雑誌なのに、雑誌がテレビを壊してしまい、そして雑誌は依存する存在を失って自滅する。

いったい誰が得をするというのでしょう。

おそらく10年経っても雑誌とテレビは生き残っているでしょう。でも、これまで以上にテレビ離れ、雑誌離れは進んでいるのは明らかです。それもひとつの時代なのかもしれません。

わたしには何の影響もないので、どうでもいいことではありますが。ただ、ひとつの時代が完全に終わったんだなと感じ、ちょっと昔のことを懐かしんだりしたので、気持ちを吐き出すように文章にしてみました。


視聴率ゼロ!: 弱小テレビ局の帯番組『5時に夢中!』の過激で自由な挑戦
著者:大川 貴史
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