やさしさとは

わたしはランニングをするときに乃木坂46の曲を聞くことが多いというのは、以前もお話しましたが、ときどき彼女たちのブログを読むことがあります。好きというよりは、アイドルという特殊な生き方をしている人たちの、頭の中を知りたいという好奇心から(言い訳がましいな……)。

その乃木坂46のメンバーのなかに、堀未央奈さんという人がいます。個人的にはあんまり好きなタイプな人ではありませんが、世の中が外出自粛期間に入ってからかなりの頻度でブログをアップしていて、その姿勢にただただ感心しているというお話です。

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有名になりたいという願望は少しもない

前提の話をいくつかしておきましょう。わたしは乃木坂46の曲を聞いたり、YouTubeで動画を見たりすることはありますが、ライブに行ったり握手会に行ったりとかしたいと思ったことは1度もありません。彼女たちの楽曲が好きで、虚像としての彼女たちの物語が好きなだけ。

CDを買ったことすらありません。最近はSpotifyという便利なサービスがあるので。だから、わたしがファンだとしたらちょっと歪んだファンですね。応援したいなんて気持ちもなく、そもそも自分よりも頑張っている人たちを応援するなんておこがましいわけです。わたしと乃木坂46の距離はそんな感じ。

もうひとつの前提も話しておきましょう。わたしは有名人になりたいという気持ちがまったくありません。じゃあ何で情報発信をしているのか。それはただ伝えなくてはいけないこと、伝えたいことがあるからで、自分を知ってもらいたいからではありません。

自分の書いた記事が多くの人に読まれることは好きですが、実際には書き終えたらその文章に対して興味はなくなります。それが広がろうが、無視されようが知ったことではありません。広く読まれるだろうな思いながら書いた記事がバズったら気持ちよくはなりますが。

アイドルだから発信できることがある

話を戻しましょう。アイドルのブログというのは、読み物としてはなかなかひどいものです。文章力もそうですし内容もペラペラです。当然です。物書きとしての訓練を受けているわけではありませんし、彼女はアイドルとしてファンが喜んでくれる内容を選んで書いています。

物書きは向き不向きがあるので、仕事とはいえ多くのメンバーがブログを書かなくなります。ブログが続かないのは一般人もアイドルも一緒です。書くネタもないわけです。しかも今回のように仕事以外で外に出なくなると、本当に何を書いていいかわからなくなります。

まさかアイドルが時事ネタを書くわけにもいきませんし、専門性のある知識を伝えることもできません。

なのに、堀未央奈さんはとにかく毎日のように投稿しています。そもそも投稿が多い子ではありましたが、さらに投稿頻度を増やしています。内容はまぁ言わずもがなですが。でも自分だからできることをしようという信念は伝わってきます。

乃木坂46の楽曲に「やさしさとは」という歌があります。「本当のやさしさってなんだろう?」というようなテーマの曲ですが、きっと彼女の中でたどり着いた「やさしさとは」の答えがブログの更新頻度を上げることだったのでしょう。

アイドルのような立場にある人だからできることがあります。それはわたしのような一般人が手にすることができない能力です。わたしがどれだけ素敵なことをブログに書いても届く相手の数は限られてしまいます。

でも彼女が毎日投稿することで、何万人もの彼女のファンがこの状況下で楽しみを持つことができます。それが耐えるための活力になっている人だっているはずです。彼女はそれを知っていて自分に役割を与えているのでしょう。

自分のファンを守るために。
グループを守るために自分に必要なことを続ける。

個を大切にするわたしとは真逆の場所にいる人ですが、リスペクトせずにはいられなくて書きました。気になる人は彼女のブログを読んでみてください。あ、内容は気にしないでください……あと繰り返しになりますが、わたしの好きなタイプでもありません。

ただ、こういう形で使命感を持って黙々と自分にできることをしているアイドルがいるんだということを知ってもらいたかっただけです。

自分にできることを積み重ねる

きっとわたしが知らないところでこうやって、自分なりの優しさを持って、誰かを支え続けている人がたくさんいるんでしょうね。汚れた言葉が積み重なっていく世界に自分なりに抗う。

わたしは特別な人間ではありませんので、1度の発信で多くの人に言葉を届けることができません。でも、それを卑下するつもりはなく、これが自分だから自分らしく続けていけばいいと思っています。アイドルのように多くの人を救えなくても1人は救えるかもしれませんから。

結局のところ、できることをするしかありません。それぞれの立場で自分ができることを積み重ねる。不健康にならないように、免疫力を下げないようにランニングをすることだって、自分のためだけでなく社会のためにもなります。

一緒に暮らしている家族に気遣いするというのも他の誰かができることはでありません。小さなことでいいから、みんなが自分にできることを積み重ねていけば、ほんの少しだけこの閉塞感から解放されるのではないでしょうか。

ただ、自分が良いと思ったことが他の人にとって良いとは限らないということも頭に入れておいてください。こんな世の中を変えるんだと意気込んで、あちこちにぶつかっていったら、気がついたときには周りに誰もいなくなるかもしれません。

強い意志は常にどこかで対立をもたらします。それがどんなに正しいことであってもです。それでも貫くかどうかはよく考えてください。

まとめ

こういうときにアイドルなどの芸能人の発言力はとても大きく、そしてそれに振り回されている人がたくさんいます。ナインティナインの岡村隆史さんの失言が叩かれていましたが、注目度が高いほどひと言が重たくなります。

有名になるというのはメリットもありますが、リスクがとても大きくなります。アンチも増えて良いことを言っていても悪く解釈をする人もいます。でもそんな中でも、自分にできることをコツコツ続けているアイドルがいるというのはちょっとだけほっこりとしました。

きっと彼女はいろいろ背負ってしまう子なんだろうなと思います。だから彼女の荷物が重たくなりすぎる前に収束して欲しいと思いつつ、ただ見えない未来に期待するのではなく、自分なりにできることを積み重ね続けていかなくてはとも。

わたしに語れるのは「自律神経を整えろ」と「ランニングは1日30分まで」くらいしかありませんが。

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