地元で暮らすということ【根無し草はどこに根付けばいいのだろう】

取材で島根県松江市にある片江に来ています。知る人ぞ知るゲストハウスを拠点としたアクティビティを紹介するという仕事ですが、ゲストハウスのオーナーが面白い人でいろいろ聞き出すはずが、いろいろと聞き出されて、到着してすぐに夕食のBBQから夜中まで仕事を忘れて楽しく過ごさせてもらっています。

それについては記事がアップされ次第ご紹介しますが、片江に来てオーナーの話を聞いて感じたのは愛する土地がある人を羨ましいと感じる自分がいるということ。片江がいいところというのもありますが、私のような根無し草からすると「地元を盛り上げたい」「地元がもっと良くなってほしい」という感覚の本質の部分は理解するのがとても難しい。

だからないものねだりなのは分かっています。私が今更どこかに根付くこともないでしょうし、これからもふらふらと風に流されていくのだとは思います。そして、そこは自分の居場所ではなく仮住まいだと心のどこかで思っているから、暮らしている場所を良くしたいなんて感じることもありません。

鶴巻温泉での生活も7年目になりましたが、とても居心地がいいところとは思っていますが、アパートが古いというのもあって、ここが終の棲家だとは思っていません。きっと他の場所のように、何かのきっかけで簡単に離れてしまうわけです。それが自分のスタイルなのは理解してます。ただ「ここで育った」という言葉は私にとっては強力なパワーワード。

グーグルマップで見てもらえばわかりますが、片江には何もありません。コンビニも少し離れた美保関までいかないとないので、都会の便利さに慣れてしまうと、何かと不便さを感じるかもしれません。でも「何もない」があるわけで、そして都会にはない雄大な自然があります。

その「何もない」場所で暮らしながら、それを好きだと言えるようになるには、長い時間もしくは濃密な時間を過ごす必要があります。私のようにふらふらと漂っている人間の「ここが好き」と何十年も暮らしている人の「ここが好き」は重みが違いますし、説得力もあります。きっと好きになれない時期なんかもあって、結局好きなんだなということが伝わってくるので。

私がいま暮らしている鶴巻温泉の好きは「恋」のようなもので、生まれ育って何十年も暮らしている人たちの、その土地への好きは「愛」なんです。何歳になっても恋をしていられるというのも悪くはありませんが、愛を知らないというのは寂しいものです。そして、それは手に入れようと思っても手に入らない。

もしかしたら鶴巻温泉も20年暮せば、地元と呼べるようになるのかもしれません。でもきっと私はそんなに長く同じ場所には留まれません。いまのアパートは築年数を考えるとそう遠くないうちに解体される可能性が高く、出ていかなくてはいけなくなったなら、きっと私は別の場所を選びます。

そうやって環境を変えることで自分を紡いできたので、同じアパートに留まれないなら鶴巻温泉で暮らす意味がないというか、他の場所に引っ越す千載一遇の機会を逃す理由がわかりません。もっとも決して財布の中身が豊かなわけではありませんので、きっと都内で暮らすとかは無理でしょう。

ただ、そういうことを考えているときはワクワクしているので、やっぱり自分は環境を変えながら生きていく周遊魚もしくは渡り鳥。なにかの縁でどこかに定住する可能性は否定しませんが、向き不向きで考えるなら終の棲家が見つかるまではいろいろなところで暮らしたい。

だから地元がある人、地元と呼べる場所で長く暮らしている人を羨ましく思うものの、それは単純に自分の人生にないものを持っているからなのでしょう。きっと「この場所で骨を埋める」なんて言っても10年もしないうちに、違うどこかを探し始めたりする気がします。

渡り鳥になる人にはその人の役割があり、根付く人にはその人の役割があります。両方を選ぶことができないわけですから、とりあえず自分に与えられた環境で、自分のやりたいことをやり抜くしかありません。ただ、ほんのちょっとだけ根付いている人が羨ましいなというお話です。

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