大人になるということは、素直でいられなくなるということ

大人になるということは、素直でいられなくなるということ

道ですれ違ったUberEatsの配達員が、配達用のバッグのサイドポケットに「無税入門」なる本を入れているのを見ました。なにやら注目されたノウハウ本らしいのですが、中身は知らず。まあ無税入門ですから、いかにして税金を納めないかについて書かれているのでしょう。

税金を納めないということに関しても、思うところはありますが今日は別のお話。その本を持っていた配達員は20代くらいでしょうか。かなり若い感じの男の子でした。お金に興味がある年頃なのかもしれません。無税にしたいということは、自分の稼ぎを国に1円たりとも取られたくなかいのでしょう。

会社員なら大なり小なり、同じようなことを考えたことがあるかもしれませんが、歳を重ねていくにつれて、納税を受け入れる(諦める)わけです。そしていつの間にか納税するべき理由なんぞ語り始めたり。納税している自分を正当化するための本能なのかもしれません。

正直に言えば、無税入門を手にしていた配達員を少し羨ましく感じました。私は欲望に対してそこまで素直になれませんし、瞬時に言い訳を考えてしまう。息をするように自分を誤魔化すわけです。大人になるというのは、一見するとスマートに生きているように見えて、実際は本心を隠しているだけ。

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配達を終えて、新宿のルミネに入ったのですが、そこにドライフラワーがきれいに飾られていました。私はただそれを美しいと思ったのですが、近くにいた小さな子どものひと言にドキッとさせられました。その子はドライフラワーを見て「全部枯れてる」と言ったのです。

それを無知と言うのは簡単です。でも、確かにドライフラワーは枯れた花なんです。それを見て、美しいと思ったことを恥じました。美しいと感じたことは事実で、おそらくもう1度見ても美しいと感じるはずです。でもそれは、本能的な感覚ではなく、知識としてドライフラワーを知っているから。

全部枯れていると表現した子どものように、ドライフラワーという存在を知らなかったとしたら、私はそれを美しいと感じたかどうか。ピカソの絵は芸術か落書きかという議論がかつてありましたが、今ではピカソの絵を落書きと表現する人はいません。少なくともピカソを知っている人なら。

私たちは何かを見るときに、ほぼ必ず自分の経験や知識といったフィルターをかけて見てしまいます。それは学習であり、人間として必要な機能のひとつでもあるのですが、その結果として、大切なものを見落としてしまうこともあるのではないかと思うのです。王様が裸であることを言えないのではなく、本当に服を着ていると思い込んでいる。

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うる覚えですが。江戸時代の僧侶である良寛さんは、子どもたちと遊んでいて、面白いことが起きたときに大笑いをしたそうです。それだけなら何も不自然ではありませんが、良寛さんは同じことがまた起きたときに、前回のことを忘れているかのように、大笑いをしたとのこと。また別の日も同じように。

記憶が曖昧なので、他の僧侶の話だったかもしれませんが、良寛さんならさもありなん。ただ、誰の逸話だったかはそれほど大事ではなく(物書き失格な発言ですが)、そのような感覚を持ちたいなと。勿論私は自分がそんなキャラではないことは、きちんと理解しています。あくまでも理想の話です。

ただ、同じものを見ても、毎回1回目のように喜べる。そんな大人って素敵じゃないですか(もしくは変人)。「そんなことは知っている」として、つい斜に構えがちですが、そういうところを少しずつなくしていきたいところです。あわせて自分が作り出したフィルターを、できるだけ取り除くこと。

賢く見られる必要はなく、ただいつも笑顔でいられる人でありたい。そのために必要なのは素直さ。今の私に足りないものですね。目の前で起きていることを素直に受け取り、恥ずかしがらずに喜怒哀楽の感情を出していく。私にとってはなかなか高いハードルですが。

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