靖国神社奉納プロレス〜勝ち負けよりも大切なもの〜

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ファインダーを覗きながら、被写体にどんどん惹き込まれていく自分に気づく。過去2度ほど観戦したプロレスでは自分の思うような写真を撮れず、とにかく場数を踏んで何度もシャッターを押さなければいい写真は撮れないと気付かされた。靖国神社での奉納プロレス。ラン仲間である三州さんが出た試合のあと、わたしは撮影の練習とすることにした。

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ファインダー越しに見るとレスラーたちの表情がはっきりと見える。カメラを通して見るのと、肉眼で見るのとでは見えてくる世界が違ってくる。ファインダーを通すことで、余計なものが入り込まないから試合に集中できるのかもしれない。レスラーたちは表情が豊かだ。レベルの高い試合になればなるほどその表情がわたしを魅了する。

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シャッターを押さなくてはと思ってはいるのだが、試合が白熱してくるとそれどころではなくなる。試合開始時には相手の技を受ける表情に苦痛の色があるのだが、試合が進みお互いの集中力が最高潮にまで高まったとき、ファインダーの中の彼らは笑っているようにみえる。痛みなどどこかに吹っ飛んでしまっているのだろうか。

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とにかく楽しくて仕方ない。そういう顔をしながらお互いの力を引き出し合い、そして自分を高めていく。そうなるとプロレスが好きなのかまだわからないわたしですら、リングに目が釘付けになっている。会場となった靖国神社の相撲場が熱気に包まれていく。途中から降りだした雨などなかったかのようにファンが盛り上がっていく。

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わたしは当初目的であるカメラの撮影練習を思い出し、ただひたすらにシャッターを押し続ける。この盛り上がりをなんとかして写真にしたい。ただ、会場が沸けば沸くほどにほどわたしの撮る写真がひどくなっていく。ピントが合わず、タイミングもずれていく。レスラーのスピードがどんどん加速していき動きについていけなくなる。

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プロレス慣れした人ならば次の動きが予測できるのかもしれない。そういう意味でもわたしはまだプロレスを知らなさすぎる。それでも何度か試合を観るうちにプロレスの魅力にはまりつつある。レスラーのこと、団体のことまったくわからないのだが、男と男がぶつかり合う世界がわたしの中にある魂のようなものを揺さぶるのだ。

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きっとプロレスはただ強さを競うものではない。自分の力を出しきるために、相手の力を利用する。相手が高まれば高まるほど自分も高まっていく。こういうスポーツは意外と少ない。むしろ相手の弱点をついて、相手の良さを出させないようにするのがプロスポーツの基本なのだが、プロレスはその真逆にあるように感じる。

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勝ちへのこだわりは当然あるのだろうが、勝つことよりも大切なものがそこにはある。プロレスファンはその大切なものを追い求め一喜一憂しているのかもしれない。わたしにはそれが何なのかまだわからない。それでもいつかそれをファインダーでとらえてみたい。そんな最高の一枚を追い求めたい。いまはまだその入口に立ったばかりだ。

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