2016年北京の今と日本人と中国人の未来について考える

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日本は言うまでもなく民主主義の国ですが、本当に民主主義だなんて思っている人はほとんどいないかと思います。ウィキペディアには「日本型社会主義」という項目があるほど「平等」を重視され、異端が弾かれます。

サラリーマンになってしまうと、年功序列はあるものの基本的に同期の給料は横並び。会社間の格差も一部の特殊な企業を除き、ほぼ横並びです。

一方の中国は誰もが知る世界最大の「共産主義国家」ですが、中国に平等はなく格差ばかりが広がり、もはや実体としての社会主義・共産主義に無理が生じています。

民主主義・資本主義であるはずの日本は共産主義・社会主義へと向かい、共産主義・社会主義の中国は民主主義・資本主義に向かっている結果、日本と中国はわりと違い位置取りをしている。そんな気がします。

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もちろん、国家レベルでは中国は民主主義ではなく共産党の一党統治ですし、国の力は決して小さくありません。それでも共産党は以前のように「力づく」で物事を決めることが減っているように感じます。

国民レベルでいえば、中国人はとにかくよく笑います。

わたしが万里の長城マラソンに最初に参加した2011年、「この国には笑顔がない」と感じたことを覚えています。

かつて旧ソ連のプロボクサー、ユーリ・アルバチャコフさんがテレビのインタビューか何かであまり笑わない理由を聞かれて「面白くもないのになぜ笑う必要があるのか」というニュアンスのことを言っていました。

5年前の中国はまだその思想が強く、とにかく必要もないのに笑わない人が多かったのですが、いまは街中に笑顔と笑い声が溢れています。

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北京で一番活気のある街、南鑼鼓巷(ナンルオグーシャン)ではお店同士が競い合ってお客さんを奪い合っています。原宿にある竹下通りをもう少し洗練させたような街なのですが、そこに共産主義の色はありません。

いまだに多くの日本人が2012年の反日運動を引きずっていますが、中国ではとっくに過去の話となり、いまの大学生の多くは日本に対してあこがれを抱いています。

わたしの感覚ではあの反日運動以降、中国政府は反日をスローガンにできなくなり、そして国民をコントロールすることを諦めたように感じています。

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今回の旅で、北京で働いている中国人女性と少し話をする時間がありました。

そこで「中国と日本の戦争についてどう思うか」と聞かれました。実はこの手の質問をされるのは初めてのことです。

わたしなりの考え方を伝え、彼女の意見を聞いたところ「私はずっと困惑している」と言っていました。国はずっと日本が悪いと教育してきましたが、明らかにそれは「行き過ぎている」し、「何が正しいのかがまったくわからない」そうです。

彼女以外の人の意見を聞いたわけではありませんが、国の反日教育が「行き過ぎている」と口にする中国人がいるということが、わたしには驚きでしたが、すでに多くの中国人がそうなのかもしれません。

もう、国民レベルで反発しあう理由はどこにもありません。

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生理的に中国人が嫌いという人に「わかってほしい」なんて言うつもりはありませんし、そんな人を説得して「仲良くして欲しい」なんて言うつもりもありません。

少なくともこの6年間で中国は大きく変わっています。そしてこれからも大きく変わっていくのでしょう。

北京の街は驚くほどきれいです。10年前や20年前に行ったという人は違う国だと感じるほど、洗練され居心地のいい空間がそこにはあります。

中国には思った以上の自由があり、日本には思った以上の不自由があります。

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アプローチの方法は違えども、いまいる場所がそれほど変わらないとするならば、もっと上手にお互いが手を取り合うことができるのではないでしょうか。

中国の得意分野で日本の不得意分野を埋め、日本の得意分野で中国の不得意分野を埋める。

少なくとも万里の長城マラソンはそうやって運営しています。まだまだ日本事務局として遠慮しているところもありますが、それを含めて日中の共同作業がそこにはあります。

お題目ではない日中友好が万里の長城マラソンにはあります。

日本事務局としては、あともう少し中国人のボランティアさんと日本人参加者の距離を縮められたらベター。来年に向けて何かできないか考えています。

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