熱中症で倒れないために暑さ指数(WBGT)を活用すべき

B28dad68df58bc278ae55156e78a6c2c m

ランニング後に熱中症で病院に運ばれた中学生が死亡したというニュースがありました。部活の練習中に35分間のランニングを行っていたそうですが、当時の隣の市で記録した気温が29.9℃で極端に高いというわけではありません。

ただし、スポーツをする人にとって重要なのは気温ではなく暑さ指数(WBGT)です。

警戒:WBGT25℃以上
熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり適宜、水分・塩分を補給する。 激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。

厳重警戒:WBGT28℃以上
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。 運動する場合には、頻繁に休息をとり水分・塩分の補給を行う。 体力の低い人、暑さになれていない人は運動中止。

危険:WBGT31℃以上
特別の場合以外は運動を中止する。 特に子どもの場合は中止すべき。

国がこのような指針を出しても実際のところは守られていないというのが現実で、スポーツをする人は「暑さに耐えて頑張ることが素晴らしい」という思考の人も少なくありません。

もちろん正しく練習を行えば、夏場の暑さはいい負荷のトレーニングになります。頑張ったぶんだけ成長している自分を感じることも出来ます。

でも命を落とすとなると話は別です。

055e2637f8875bd82e6e0865008282a1 m

何十万人もいる中学生のたった1人が死亡しただけだから自分には関係ない。そう思う人もいるかもしれませんが、なぜ自分がその1人にならないと言い切れるのでしょう。

死亡してしまった中学生だって、自分が熱中症になって死んでしまうなんてこと思いもしなかったはずです。きっと前日までも厳しい練習に耐えていたはずです。

ようするに、炎天下で頑張りすぎれば誰だって熱中症で倒れる危険性があり、誰だって命を落とす危険性があるということです。

ほとんど起こらないことに怯えてランナーなんてやってられるかと思う人もいるかもしれませんが、わたしの考え方はその逆で、熱中症のリスクは常にすべてのランナーにあると考えています。

ですので水分補給の重要性を夏になる前に何度も説明してきましたし、大きなお世話と思われるくらい様々なところで警告をしてきました。

それでもランナーの中でも熱中症で倒れたという人もいるはずです。

そういうお前も真夏に日光街道を走っていたじゃないかと言われるかもしれません。無茶なことをしているということに関しては否定しませんが、わたしは徹底した熱中症対策を行って日光街道を走っていました。

その結果がたった147.7kmを走るのに36時間もかかっているのです。

暑さが厳しい時間帯にはしっかり休憩を取り、水分とミネラルが体内から抜け出さないように細心の注意を払っていました。36時間のうちわたしが頑張ったのは、2日目の日が沈んでからの数時間だけでした。

あとは本当にのらりくらりなランニングでしたので、熱中症になるリスクは相当抑えていました。

Db74ce13a59ee1f6a2745b4777987faa m

旅ランはそんな感じでスピード調整をすることが出来ますし、関門もありませんので、必要以上に消耗することもありません。

反対に部活でのランニングでは手を抜くことが許されません。常に全力で走り、限界まで自分を追い込むことが求められます。

こういうのはすごく難しいところで、厳しい練習を乗り越えたから成長できたというのはひとつの事実だけど、厳しい練習を乗り越えたところでずっと補欠な選手もいます。

あたり前のことなんですが、この世の中は結果がすべてです。少なくとも社会人の世界で「過程はものすごく頑張りました」なんてこと評価はしてもらえません。

社会においては完璧以外はすべてNGで、ちょっとしたミスだってマイナス評価になります。

1ヶ月休みもなく夜遅くまで一生懸命働いても、そこで結果が出なければ無駄な努力でしかありません。もちろん努力して結果を出せば評価されますが、むしろ努力せずに結果を出す人のほうが評価されます。

ただし、努力もせずに結果も出せなかった人は最も低い評価を受けることになります。

「せめて努力した姿くらい見せろよ」と言われたくないから、きつくても結果が出なくても頑張ってしまう。そして努力する姿は美談となります。

わたしも努力や根性が嫌いな人間ではありませんので、それはそれでかまわないのですが、その頑張りは本当に必要なのか?ということは常に考えておく必要があるかなとは思います。

炎天下でランニングをする必要性。そこで自分のすべてを絞り出す必要性。

特に指導者や管理者という立場の人は、限界ラインというのをいつも見極めていないと自分以外の誰かを傷つけてしまうことになりかねません。

いや、実際は限界ラインにプラスのバッファを常に持たせておくくらいの慎重さが求められます。

そして現実的かどうかは別として国が暑さ指数というものを示してくれています。少なくとも学校の部活や、市民ランナーの練習は暑さ指数をひとつの目安にして練習を行う賢さは必要かなとは思います。

暑さ指数は環境省の熱中症予防情報サイトで掲載されています。いまはスマホのアプリでチェックすることもできます。

環境省熱中症予防サイト:http://www.wbgt.env.go.jp

iPhoneアプリ:熱中症警戒計 – Takahiro Izaki
Androidアプリ:熱中症アラート

Db810907f2c17c83d75442c4be2aacd9 m

ちなみに死亡事故になった今回の件では、隣の市の午前9時でのWBGTは29℃、10時では30.6℃になっていました。8時台から厳重警戒域に達していました。

部活の顧問は「25分ハーフの試合に耐えられる体を作ろうとした」そうです。気持ちはわかりますし、水分補給の間隔も20〜30分だったのを15〜20分と短く設定していたそうです。

ただ厳重警戒域において15分間も給水なしで全力で走っていたらどうなるのか、その認識はあまりにも甘く、実際にランニングをするときは常に水分を摂れる状態にしておく必要があります。

この顧問の人が悪いとは言いません。これくらいの認識の指導者は大勢いますし、暑さにあまりにも無頓着なランナーも大勢います。

これから9月にかけても気温は高めになる可能性もありますので、熱中症予防情報サイトやスマホのアプリでチェックしてから練習をするようにしてください。

厳重警戒なら走らない。警戒なら短い時間、水分とミネラルを摂りながら走る。どうしても走らなければいけないときは、絶対に無理をしない。

そんな弱っちいことを言ってるから強くなれないという指導者もいるかもしれませんが、そこで頑張って命を落としたら、病院に運ばれたら誰が責任をとるのでしょう。

オリンピックのような輝かしい舞台に立てる人がいる一方で、こうやって若くして亡くなってしまう人がいる現実。

スポーツなんて所詮は遊びの延長です。命がけでやるようなものではありません。楽しいランニングを、楽しいスポーツを永遠にできなくなる前に、自制する習慣を身につけておきましょう。


商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。
熱中症を防ごう―熱中症予防対策の基本
著者:堀江正知
楽天ブックス:熱中症を防ごう第3版 [ 堀江正知 ]

スポンサーリンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次