17kmになったハセツネ30Kと不測の事態への向き合い方

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ハセツネ30Kの自主取材に行ってきました。RUNNING STREET 365の記事にも書きましたが、今年のハセツネ30Kは法面の崩落と、コース上の積雪により17kmに短縮されました。

そのレース展開などはリンク先の記事を読んでもらえばわかると思いますが、この記事を書くときにかなり悩みました。「どうなれば正解だったのか」その答えがなく、会場にあるのは参加したランナーたちのもやもやした思いに満たされた空気でした。

誰が悪いということは絶対になく、誰がどう考えても不測の事態です。コースの安全を考えれば、崩落をした場所は使えなくするのが当然ですし、かといって前日にコース変更もできません。

これはもう災害のようなもので、そこにあるのは誰も幸せになれない負のオーラだけです。

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トレイルランナーにしてみれば「またか」という思いがあるのでしょう。昨年、一昨年のUTMFと、大きな大会で続くコースの短縮。しかも大きな大会でハセツネ本戦の出場権がかかっていますから、全国からランナーが集まります。

九州から参戦したという人もいましたし、万里の長城マラソンにも出てくれているランナーさんは関西から夜行バスでやってきて、会場に来てから「17kmへの変更」を聞いて愕然としたそうです。

繰り返しますが、誰が悪いということではありません。運営になんとかして欲しいなんて言える状態ではありません。どんな形でも開催にこぎつけただけでもすごいことです。

ただ、参加したランナーたちの気持ち。なんとかできないものかと思うわけです。

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もちろんわたしは当事者ではありませんので、横から口出しをするべきではありません。もし万里の長城マラソンで同じことがあったらどうするか。というよりも実際に発生しました。昨年の春は距離が短く、秋はコース変更。

わたしにできることは謝るくらいしかできませんでした。

今日の閉会式かその前に、進行役の方が「短い分、いつもと違うスピードで力を出し切れて、これはこれでよかったかもしれません」というニュアンスの発言をしました。

言いたいことは分かりますし、立場的にもそう言わざるを得ないのだということも理解します。

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でもきっと納得した人はほとんどいなかったと思います。そしてそれを言葉にしていいのは主催者側ではないんじゃないかという違和感がありました。

ランナーは言いたいことをぐっと飲み込むか、仲間内だけの会話に留めているわけです。言っても仕方がない。でもスッキリはしない。その思いをぐっと飲み込んでいるところに、「これはこれでよかったかも」と言われると、ランナーはどんな気持ちになるのでしょうか。

じゃあどうすればよかったのか。無責任ですが、わたしにはまだその答えが見つかりません。

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30kmのつもりで会場に来てみたら17kmに変更になり、スタートから10kmは上りのロード。いざトレイルに入ろうと思ったら20分近い行列。それがトレランで嫌なら走らなければいい。そういう考え方もあります。

だからわたしはトレランのレースには出ていません。

わたしは16km地点のトレイルの中でランナーを応援していました。そこは下りのトレイルで、スピードを出しすぎて、足を滑らせて、鈍い音とともに木に衝突するランナーがいて、危機一髪で木を避けるランナーが続出した場所でした。

応援の声とともに「足もと気をつけて」の声を出し、少しでも事故にならないようにと、余計なお世話とはわかっていましたが、居ても立ってもいられず。

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その場所でランナーたちの顔を見ていると、やっぱりどこか楽しそうではありませんでした。山を走ることはもっと楽しいことで、自然と笑顔が溢れてくるものなのに、ほとんどのランナーの表情は喜びよりもやるせなさを感じました。

それでも(わたしの知る限り)誰ひとりとして文句を言うわけではなく、仕方がないと受け入れていました。

そういうランナーたちにかけるべき言葉はなんだろうか。レースが終わってから、ずっと悩んでいます。ハセツネのためではなく、自分が運営するすべてのイベントで同じことが起きたときのために。

少なくとも「これはこれでよかった」ではないことくらいはわかります。

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全然よくないんです。よくないけどみんな受け入れてくれている。いや、よかったと思っている人もいるかもしれません。一人ひとり確認できたわけでもありませんし、わたしの主観でしかありません。

もっともハセツネくらい大きな大会になれば、そんな参加者全員の顔なんて見ている余裕なんてないですし、そんなことをしていたら運営なんてとてもできません。

言い方は悪いですが、割り切りと妥協がなければ、これほどまでに大きな大会はできません。

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だからハセツネの出した答えが「これはこれでよかった」だったとしても、それはそれで仕方のないことです。わたしが同じような発言や納得の仕方をしないようにする。ただそれだけのことです。

そして、こんなときにどんな言葉をかけるべきかについて考え続けることです。

最後にひとつだけ宣伝を。ハセツネ30Kで満足できなかったランナーさん。5月1日万里の長城マラソンの参加者を、4月14日まで募集しています。ハセツネ30K以上の苦しさが万里の長城マラソンにはありますよ。

万里の長城マラソン:http://greatwallrun.com

あとハセツネ30Kよりもトラブルも次々と発生するんですが……


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著者:高野 登
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