2年連続2回目のバースデーラン「天童ラ・フランスマラソン」

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ラン仲間の実家にお世話になっての2年連続2回目のバースデーラン、天童ラ・フランスマラソンのレポートです。昨年は土曜日開催だったのですが、今年は日曜日開催になったことで昨年も今年も誕生日開催になるというミラクル。

ずっと1人での誕生日を過ごしてきたわたしにとって、ラン仲間と過ごすことができる誕生日。これ以上の誕生日プレゼントはありません。

ただし、わたしの足は完治には程遠い状態です。足裏の皮が剥けてから2週間。あれこれトライしましたが、前日になっても左足の拇指球部での接地ができません。走るどころか歩くときも足を引きずっています。

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こういう状況ですので、当然シューズを履いて走るべきだということは理解しています。でも頭の理解と心の動きはいつだって違います。気持ちは裸足で走ることを欲しています。

どうするか決められないまま眠りについた前夜。あまり深いとは言えない眠りの中で、万里の長城マラソンの夢を見ました。そこに出てくるのはおなじみの顔。

起きた瞬間には完全に気持ちは裸足ランを望んでいます。あんな苦しい挑戦をする人たちの顔が夢に出てきたら、挑戦しない自分で入られません。

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気持ちのほとんどは裸足ランに傾きますが、問題は気温。スタート前の気温は7℃。わたしの中の基準では10℃を超えない状況での裸足はNGです。10℃以下の路面に触れると人間は冷たさではなく痛みを感じるように作られています。

裸足で走るにしても拇指球は接地できませんので、おかしなフォームで走ることになります。雨の予報もあり場合によってはまったく走れなくなる可能性すらあります。

スタートの30分前、迷っていましたが天童市長が3kmを走っている姿を見て決断。市長が走る大会におかしな大会はありません。そんな大会なら裸足でリタイアしても本望です。河童はシューズを脱ぎました。

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スタートは最後尾。陸上競技場の出口から50m続く、小さな砂利が敷き詰められたエリアを通過したときには最終ランナーになっていました。そこからしばらくは足裏の冷たさの影響もありふくらはぎの筋肉がガチガチです。

いつもなら最後尾から追い上げるのですが、最後尾にいながら周りのスピードにまったくついていけません。ところが、雨の予報はどこへやら。1kmもいかないうちに、空には暖かい太陽が顔を出します。そうなればこちらのもの。

足の冷たさは徐々に和らいでいき、感覚が戻ってきます。

ただし、左足の拇指球部の接地は不可。かかとから着地して、足の外側を使ってローリングさせ、親指に重心移動。そろそろこれが癖になりそうでよろしくない。早く治して自分のフォームを取り戻さなくてはいけません。

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筋力も右足ばかりついていしまって、左足はやや細くなってきました。

でも、そんなことを言っていても始まりません。いまできる精一杯をやるだけ。未来のことは未来になってから考えればいいんです。自分にあるのは「今」だけなんですから。

陸王の影響でしょうか、裸足への注目度は去年よりもかなり高く「やっぱりミッドフット着地なの?」と聞かれたり。とても「着地なんて適当ですよ」なんて言えません。普段はでも適当ですよ。

フォアフットとかミッドフットとか言葉遊びなんて意味がありません。体が一番効率よく動くところで着地すればそれが正解です。その結果としてミッドフットになってるかもしれませんが。

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「ケガをしないためにミッドフット(フォアフット)で走る」とかいうのは、自己啓発本によくある成功するノウハウみたいで気持ち悪いというのが正直なところです。走り方は結果です。大事なのは体の声を聞くことだけ。

そういう意味では、今年の天童ラ・フランスマラソンはかなり神経を使って走りました。先週の金沢マラソンも神経戦でしたが、裸足になった分だけさらに神経を使います。

適当な接地をすると、皮がなくなった拇指球がついてしまいますので、その瞬間に激痛でもだえ苦しむことになります。痛みが嫌いな裸足ランナーですみません。

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神経は使いますが、2〜3kmごとにあるエイドのおかげで、上手に休むこともできます。今年もテーマは「全エイド制覇」です。天童ラ・フランスマラソンはすべてエイドでラ・フランスが出されますが、それを食べきること。

さらに今年は網走から蟹がやってくるとのこと。ただし数に限りがあるということなので、少しでも前に行って蟹をゲットする必要があります。もちろん耐えられる痛みの範囲で。

前半はアップダウンが厳しいのですが、ここで大会アドバイザーに就任している金さんを見つけます。網走マラソンでは最後のストレート前のスペシャル砂利エリアで金さんに裸足を爆笑されたのもあり、勇気を出して声をかけてみました。

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すると覚えていてくれたらしく網走の話で盛り上がり、そのあと抜きつ抜かれるをしているうちに「万里の長城マラソンなんてあるの?」と新ユニフォームの背中に書かれた文字に興味を持ってもらえました。

他にも万里の長城マラソンについてはいたるところで聞かれるので、新ユニフォームは完全に成功したようです。

金さんによると蟹は3000人分用意されているとのことで、ならば無理をする必要はないと下り坂でややスピードダウン。ここでラン仲間に追いつかれてしばらくランデブー。

そういえば東京マラソンも途中からゴールまで一緒に走ったなと思い出しながら、引っ張ってもらいます。

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アップダウンが終わったことで、なんとか6分30秒/kmを維持しながら進みます。残り10kmくらいで、よほど下手をしないかぎり裸足での完走が見えてきます。

ここまで引っ張ってもらっておきながら、ちょっと調子も良さそうなのでゲストランナーの中村優さんを追いかけてみることに。ただしこれが失敗。スピードを上げることで左足の甲が痛み始めます。

拇指球を路面に当てないために足をグーの状態に軽く握っているので、甲が伸ばされています。ゆっくりであればそれほど負荷がかからないのでいいのですが、スピードが乗ると痛みが出ます。

なんとか蟹の出るエイドに到着。少しでも量の多い蟹を選ぶ卑しい河童。

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でも本物の蟹を口いっぱいに含んだときの幸福感。トップランナーのほとんどが蟹を食べずにゴールを目指したそうですが、彼らは何のために天童ラ・フランスマラソンを走っているのでしょう?

きっと甲殻アレルギーなのかもしれません。そういう人がいるから後方のランナーも蟹にありつけるわけですし、ありがたい存在ではありますが。

ここで大きく失速したことで、ラン仲間との位置が入れ替わり、今度はわたしが追いかける番に。

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残り2.5km軽い下り坂。まったく追いつけません。せめて背中が遠くならないようにと足を動かしますが、スピードを上げすぎると甲が痛むので、ギリギリのところを目指します。

残り1kmを切ったところで、なんとか背中をとらえてそこからは並走。裸足で挑戦したことに対するマラソンの神様のご褒美でしょうか。誕生日に走れるだけで十分に嬉しいことなのに、仲間と一緒のタイミングでゴールを目指せるなんてそうそうあることではありません。

レースが終わってしまうのがもったいない。そんな気持ちでゴールを目指したのは久しぶりです。

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難関の砂利道を必死の形相で乗り越えて、あとはきれいな路面のトラックを走りきるだけ。ネットタイムで2:21:16でゴール。ゴールタイムは正直どうでもよく、この日走れたことをただただ感謝するしかありません。

こうやって素晴らしい大会に出会えたのも仲間のおかげだし、多少のケガには負けない体に育ててくれたのは親のおかげ。たくさんの人に支えられながら走ることができるという幸せ。

マラソンは個人競技だけど、個人だけで走り続けることはできません。1人じゃないから頑張れる。1人じゃないから笑顔になれる。そこでは足が速いことなんて本当にちっぽけなことでしかありません。

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走ることの楽しさを再確認できたレースとなりました。きっとこのレースがこれからわたしが走り続けるための原点になる。そんな気がします。

わたしはゴールのあの瞬間を、これからの人生で何度も思い出すことになるのでしょう。


ともに戦える「仲間」のつくり方
著者:南 壮一郎
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