五街道制覇プロジェクト「中山道ラン」総括

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10日間で走ってきた中山道ラン。五街道制覇プロジェクトのラストランで、伝えたいことはたくさんあるのですが、まずは総括という形でまとめておきます。

京都三条大橋をスタートしたのが7月31日の19時前で、ゴールしたのが8月9日の16時過ぎ。ほぼほぼ240時間の旅ということになります。

正直、中山道には期待していませんでした。東海道は有名ですし、多くの人が旅をしていますが、中山道となるとよほどの旅好きくらいしか歩いていませんし、走っているとなるとかなり少数派です。

ですので、あまり情報がない状態でのスタートになりました。もっともあえて情報を集めなかったというのもあります。最近はなんでもインターネットで情報を集めて準備できますが、それは驚きを失う行為でもあります。

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写真で「こんな素晴らしいものがあるよ」と紹介されていると、それに対して勝手に期待値を上げてしまうのが人間というもの。それよりは、いきなり行って初めて見るものに驚く。

それをすると、大切なものを見落とす可能性もあります。でもその出会いも一期一会です。縁があれば見つけられますし、縁がなければそれだけのこと。旅ランに完璧なんてものはありません。

今回はスケジュールも大雑把です。スタート前に友人に頼まれたことがあったので、それがある程度進展するまではスタートできません。7月31日にスタートしたのはたまたまで、しかもその日に走り始めるのを決めました。

イメージとしては8月1日の朝から8月9日の夜までとも思っていたのですが、このときの京都は気温が38℃。とても日中に外をウロウロできる気温ではありません。

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7月31日に「ナイトランでいく」腹をくくって三条大橋を出発しました。

これには賛否があるかもしれませんが、わたしの目標はまずは約540kmの距離を走り切ることです。観光スポットをゆっくりめぐるつもりもありません。走ること、そこでの出会いがわたしにとってのすべてです。

ただ、走り終えてナイトランを人に勧めるかというと「絶対にやめておけ」と言うでしょう。中山道のナイトランはあまりにもリスクが高すぎます。

・すぐそばにいる野生動物
・歩道のない峠道

東海道は野生動物がいないわけではありませんが、これまで何度も走っていて危険を感じたことはほとんどありません。でも中山道は日中ですら野生動物と遭遇するのでは恐怖がありました。 

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実際に鹿は何度も見ていますし、暗闇の中で明らかにこちらを威嚇してくる動物もいました(暗くて見えないけど)。それらがいますので、間違っても夜中に山道を行くわけにはいきません。

そうなると峠道は舗装された道路をいくわけですが、これは歩道がない上に大型のトラックが猛スピードで走っていきます。きちんと発見してもらうためにいろいろするのですが、常に神経を使います。もちろん舗装された道でも野生動物と遭遇します。

峠道は日中の明るい時間に行くしかありませんが、多治見が40℃を超えるような気温だった日です。峠道に入るまでの移動ができません。

午前中の遅い時間まで走っていることが何度かありましたが、そのうち1回は軽い熱中症になっています。走っていたのではなく歩いていただけなのに。

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いずれにしてもかなり過酷な状況で、夏に無事完走できたことはかなり運が良かったと自分でも思っています。

もちろん、臨機応変な対応など自分らしさを活かした走りをしたつもりですが、それでも大きなケガもなく5度目の日本橋に到着できたのはラッキーでしかありません。

でも、中山道そのものはわたしの知っているすべての人に注目してもらいたいと考えています。

別に全部を一気に走る必要はありません。そもそも走る必要もありません。宿場町をいくつか車で訪れるだけでもいいです。わたしは今回、ミラーレスカメラを持たずに行きましたが、少し後悔しています。

「この景色を撮りにまた来なきゃいけない」

これを何度思ったことか分かりません。とにかくほぼすべての宿場町に個性があり、見ごたえがあったり居心地が良かったりしました。浦和宿・大宮宿・高崎宿くらいが都会になりすぎて宿場町の風情がありませんが、他はかなり素敵です。

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とくに馬籠宿と妻籠宿は夜の通過になったことが本当に悲しいくらい美しくなっています。もちろんお金をかけて現代風にアレンジしていますので、ある意味アミューズメントパークみたいなものです。でも宿場町の構成そのものは江戸時代のまま。

他の宿場町でも、昔の姿が見る影もない状態になっていても、そうなるにいたった歴史などを知るとぐっとくるものがあります。終戦前日の空襲で消失した宿場町。電車の発展で寂れた宿場町。

でも、どの宿場町にも何百年もの期間、人の流れがあったわけです。参勤交代で混雑していたり、川の氾濫で足止めされたりする東海道よりも、あえて中山道を選んだという旅人も多かったそうです。

その中山道のほとんどの宿場町で、その整備にとても力を入れています。特に岐阜県はそんなにお金をかけて大丈夫?と思いたくなるほどしっかりしています。

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こういう事実は実際に自分の目で見たからこそ気づけました。おそらく、この総括を読んだ人も少しくらいのイメージはできるかもしれませんが、百聞は一見にしかずというのはまさにこの状態です。

旅ランでなくてもいいので、友だちをさそって中山道を旅してもらいたい。もっと注目されるべき街道だとわたしは考えるようになりました。

こんな素敵な宝物をこの国が維持しているということを嬉しく思いますし、これまで知らなかったことを悔しさを感じてもいます。

もう1回走るかと言われたら、即答で「NO」と言いますが、車や電車で行っていいのならすぐにでも旅に出たいところです。もっともっと中山道を知りたいと思っている自分がいます。

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ナイトランゆえに見れなかった景色、出会えなかった人たち。走り切るための判断ですので仕方ないのですが、これからは中山道をもっと違うアプローチで楽しむつもりです。

10日で540km。

正直、決して速いスピードではありません。でもわたしの限界ではありました。細かな旅の記録に関してかこれから数日かけて記載していきますが、今日はいかに楽しかったか、どれほど美しかったかを総括として語りました。

繰り返しになりますが、中山道はすごいです。日本が世界に誇る歴史と文化が詰まった1本の道。ここを自分の足で踏みしめない理由はどこにもありません。


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著者:ウエスト・パブリッシング
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