五街道制覇プロジェクト最終章「中山道69次ラン」3日目

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8月2日
17時10分 各務原・恵み湯

さすがにこの日はしっかりと眠ることにしました。12時に恵み湯に到着して17時まで滞在。もちろんすべての時間寝ていたわけではありませんし、実質の睡眠時間は3時間にも達していないかと思います。

それでも前日の睡眠時間と比べると十分です。この旅ランが始まって、初めて食事もしっかりと食べられたような気がします。 

お腹もいっぱいで、気合を入れて3日目のスタートとなります。目指すは3キロ先の鵜沼宿。17時とはいえ、この日はまだ暑さが残ります。歩いたり走ったりを繰り返し、地元の子どもに挨拶されたり。

そういえば、この旅ランでは何度も「おはようございます」「こんにちは」の挨拶をしました。

これまでの旅でも何度もしてきたことですが、よく考えたらこれは挨拶というよりは「あなたのことを認識しましたよ」というメッセージなのかもしれません。

部外者から自分たちの身を守るための知恵のようなものです。なぜそう感じたのかは分かりませんが。

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18時8分 鵜沼宿(138.0km)

鵜沼宿も立派な宿場町です。少し離れたところを流れる木曽川沿いには難攻不落の犬山城。江戸時代もきっと栄えた宿場町だったことが容易にイメージできます。

次の大田宿までは山道の旧道を通れば約8km。舗装路を通れば10km。すでに日も傾いていたので、とても悩ましいところですがここで思い切って旧道を選びます。

ところがその旧道はイノシシ注意の看板が多数。この旅ランで最初に野生動物を意識した瞬間でした。さらにはマムシに注意の看板も。

これはやばい。

本能的にそう感じましたがいまさら引き返すわけにもいきません。1日のランが始まったばかりなのにいきなり全力疾走で峠を下りました。5時間分の休養は一気にここで使い切った形です。

なんのために近い道を選んだのか、結局ここで晩ごはんも兼ねての大休憩になってしまいました。

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20時38分 太田宿(145.8km)

時間をかけて太田宿まで到達したのに、ここで睡魔が襲ってきます。通常の旅ランでは3日目に走力が戻ってくるのですが、今回はナイトランにしているからか、どうも3日目とは思えないような体の重さ。

こういうときは思い切って眠ることです。

大田宿も宿場町を観光地化しているため、大型の駐車場が用意されています。公衆トイレも夜中でも使えるようになっています。通常なら格好の野宿スポットですが、この日はまだ走り始めたばかり。

このまま朝まで寝てしまうのではないかという不安がありましたが、30分程度の仮眠で力を取り戻すことができました。人間の体というのは本当に不思議なものです。

もう無理だと思っても、少し休んだら力が回復していく。これはこの旅ランで何度も経験したことであり、「疲れたら休め」という教訓としてわたしの体に染み付くことになりました。

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23時0分 伏見宿(153.1km)

太田宿から伏見宿は順調でしたが、この後の記憶がまたしてもあやふやです。御嶽宿から細久手宿に行く途中の上り坂でなぜか気持ちよく走れたことだけは覚えています。

グイグイ上っていく感じが続きましたが、それも当然長くは続きません。先の見えない上りほど旅ランできついものはありません。

0時34分 御嶽宿(157.6km)
3時33分 細久手宿(169.0km) 

細久手宿を通過して、気がつけば夜が明けています。細久手宿からはロードと山道が交互に続きます。夜中に山道に入らなかったという結果だけを考えれば、太田宿で休憩したことが活きてきます。

他の街道を走っているときもそうなのですが、なぜかいつも導かれているかのような感じを覚えることがあります。自分の意志で走っているのではなく、なにか大きなものに走らされているのではないかという感覚。

走らされているから、しかるべきタイミングでしかるべき場所を走ることになります。

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5時46分 大湫(大久手)宿(175.8km)

琵琶峠を抜けて大湫宿へ。ここで地元のおじさんから、美濃の中山道マップをもらいます。これはかなり出来の良いもので、グーグルマップよりも参考になります。

RPGで大魔王を倒すためのアイテムを手に入れた勇者の気分。こういう親切な人たちがいるから旅ランは止められません。

ただ、この時点でわたしは大きな失敗に気が付きます。この区間はスーパーもなければコンビニもありません。次の大井宿は大きな街ですので、食べ物を手に入れられそうですが14km近くあります。

旧道からコースアウトして国道に出ればコンビニもありますが、数キロのロスになります。判断がかなり難しいところでしたが、わたしは大湫宿の自販機でカロリーが高めのジュースを買い込み、そのまま旧道へ向かいました。

林道になっていますので、疲労している足でもなんとか前に進めます。

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ところが何度かの休憩を経て、もう大井宿だというところで道をロストしてしまいました。もらった地図に書いてある史跡が見つかりません。おかしいなと思ってスマホで確認すると、どこかで1本間違えていたらしい。

ただ、間違えた先に自販機があり、ここで缶コーヒーを購入し糖分補給。道もその先で繋がっていたので、このロストも結果的にはわたしにとってはプラスに働きました。

そして大井宿に入って、ようやく朝ごはん。中山道沿いで営業していた地元ならではの喫茶店。店員さんと3人のお客さん、全員がおばちゃん。おかしな格好をしているわたしに興味津々。

いろいろ話をしているうちに、夜中の山道は危ないよねという話に。そこで驚愕の事実が発覚します。

「熊は普通にいるよ」

いや普通って…つい最近も目撃したのだとか。それも1人ではなくほぼ全員。あとはイノシシや猿、カモシカもいるのだとか。カモシカは襲ってこないから大丈夫ということらしいのですが、目の前で会うとさすがに焦ります。

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10時0分 大井宿(189.0km)

そろそろこの日の休憩にしなくてはいけない時間なのですが、残念ながら温泉施設で休むには、10km先にある中津川宿までいかなくてはいけません。

休み休みなら12時過ぎに行けるかなと思ったのが失敗でした。

この日の暑さは尋常ではありません。最初の1時間はがんばれたのですが、そこからはもう容赦なく陽射しが攻撃してくるので、まともに歩くことすらできなくなりました。

12時過ぎにモスバーガーでランチ休憩をして、そのあとまた道に戻りましたがそこで断念。日陰に入って仮眠をとることに。こうして長かった3日目の工程がようやく終了。

2日目も大変でしたが、3日目はこの旅ランで最も厳しい1日となりました。10時を過ぎたら動いてはいけない。3日目にして、ようやくそれを学ぶことが出来た気がします。


ちゃんと歩ける中山道六十九次 西 藪原宿~京三条大橋
著者:八木 牧夫
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