横浜マラソン2018が低評価になったのは妥当なのか考えてみた

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日曜日に取材も兼ねて横浜マラソンの応援に行ってきました。わたしは横浜マラソンをそれほど高く評価していませんし、むしろ厳しいことばかり言ってきましたが、今回は外から見てみると「そこまで悪くないかな」と感じていました。

参加しているランナーは楽しそうでしたし、将来のビジョンも薄っすらとではありますが伝わってきました。きっとみんな高い評価をするのだろうなと思ってRUNNETの評価を見たら、10月30日の19時現在で51.1点。

これはかなり低い評価です。みんなのレポートを見ていると「2度と出ない」なんていうコメントもちらほら見かけます。なぜこのような評価になっているのか、そして51.1点が妥当な評価なのか、わたしなりに考えてみました。

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実際にコースを走ったランナーが感じたネガティブな部分を集約すると、次のようになります。

・EXPOが小規模すぎて前日受付に行く意味がない
・高速道路が走りにくい
・赤レンガ倉庫の石畳が走りづらい
・キャパオーバー
・後方はスタートに30分もかかった
・ゴール直後に大混雑
・ラッキー給食が何も残ってなかった
・参加費が高すぎる
・会場の動線が悪い
・横浜を感じられない

まだまだあるのですが、こうやってリストアップすると「なるほどな」と感じるものもあれば、それは大会側の問題ではないというものまであります。

まず前日受付ですが、これはとても悩ましい問題です。さいたま国際マラソンは「前日受付なし」に舵を切りましたが、これをするとスポンサーが付きにくくなります。横浜マラソンはただでさえ参加費が高いとされている大会で、スポンサーが減ったら、それこそ開催できなくなります。

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マラソン大会はスポンサーのためにあるわけではありませんが、様々な面でランナーをサポートしてくれる存在です。マラソン大会でボランティアスタッフや沿道の観客に感謝する声はよく聞かれますが、スポンサーへの感謝の声はほぼ皆無です。

スポンサーはビジネスでやってるんだからいいだろうと思うかもしれませんが、スポンサーがいないとマラソン大会が成立しない時代になっていることは頭に入れておいてもらいたいところです。

もっとも、前日受付というのはこれからなくなっていく方向だとは思います。東京マラソンや大阪マラソンのように、行って楽しめる受付でなければ、ランナーの評判が下がります。

埼玉や千葉のほうから、前日受付しにくると往復で2000円くらいはかかります。時間は3時間くらいでしょうか。ランナーの立場からすれば「ないほうがいい」というのは間違いありませんが、なぜ前日受付やEXPOが開催されるのか、その理由だけでも頭に入れておいてください。

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次に赤レンガ倉庫からの石畳ですが、これは実際に転んでしまった人を目にしました。疲労が溜まった段階での石畳というのは足が踏ん張れないのかもしれません。

個人的には横浜を感じられる素敵なコース取りだと思ったのですが、実際に走った人にとっては「不要」だったようです。ただ、その一方で「横浜を感じられない」という声もあります。

そもそも横浜らしさを象徴するようなものがほとんどありません。皮肉ではありますが、何も感じられないのが横浜らしさですので、そういう意味では十分に横浜を満喫しているはずです。

それは冗談としても、石畳が悪いかどうかというのは高速道路が良いかどうかという意見と一緒で、そこが気に入らないなら出なければいいという類のものです。

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今回も高速道路に対して「走りにくい」という声が多くありましたが、そんなことは第1回大会が終わったときから分かっていたことです。わたしが横浜マラソンに出ないと決めた理由のひとつが退屈な高速道路区間にあります。

それがあると分かっていてエントリーしたはずですが、「走りにくい」とした人は、それくらいの下調べもしていなかったのでしょう。それはさすがに甘えだと思います。

情報がまったくない時代ではありません。マラソン大会もいくつもあり、自分で好みの大会を選べるわけです。自分で選んだ大会のコースを批判するのは、それを選んだ自分を批判するようなものです。

「帰りも同じ道路の反対車線を使えばいいじゃないか」という声も聞こえますが、そうなると横浜の南部から東京方面へのアクセスがとても難しくなります。

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ただでさえ片車線が潰されているわけですので、両車線使えないとなると、横浜市民や三浦半島の人たちからの批判が大きくなり、この場合も継続が難しくなります。「もう片車線もつぶせ」というのはランナーのエゴでしかありません。

考えに考えて、首都高を使うという苦肉の策を取ったわけです。それに賛同できないなら、なぜこの大会に出たのでしょう?会社の上司に命令でもされたのでしょうか。

与えられた環境で走りを楽しむのがランナーです。楽しめないなら、身を引けばいいだけのこと。参加費が高すぎるというのも、「受益者負担の原則」という思想が根底にあり、これに賛同できる人だけが走ればいいことです。

キャパオーバーというのは、実際のところそうだろうなとは思います。道路幅を考えれば、ウェーブスタートを採用したほうがスムーズです。でも第1回と比べるとかなり改善はされています。

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ある人が「スタートに30分もかかったから、6時間半の制限時間が実質6時間になった」と怒っていましたが、そもそもこの大会の参加資格はフルマラソンを6時間以内で走れることです。

仮に30分後にスタートしても、第1関門までは4.4kmで36分もあります。1kmを8分10秒のペースで間に合うわけです。次の関門までは3.7kmで27分ありますので、1kmを7分17秒でいいわけです。

さすがにこのペースが厳しいというのは、練習不足かと思います。関門の時間も公表されているわけですから、きちんとシュミレーションしておけば、無理に飛ばす必要もなく自分のペースで走れるはずです。

とはいえ、ウェーブスタートができるなら、それを行うべきかなとは思います。ただ、ランナー側もきちんとした準備をして、万全の状態でスタートラインに立つという意識を持つべきです。

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マラソンはスタートラインに立ったときに9割方終わっているのですから。

ラッキー給食が足りないのもキャパオーバーが原因です。余らせてもいけないという思いから、量を絞っているのでしょうが、同じ参加費を払っていて、待遇が違うというのは「受益者負担の原則」からすると疑問符が付きます。

食べられなかったのだから、お金を一部返金すべきと言われたら、大会側はどう答えるのか知りたいところです。

会場の動線が悪いのは1回目から気になりましたし、今回沿道を回っていても感じました。ここはしっかり対応してもらいたいところですが、おそらく運営側は何が悪いのか分かっていなパターンかと思います。

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結果的になんとかなっているから問題はないという認識なのか、動線を考える人が頭が良すぎて、効率よく動けない人の気持ちが分からないか。そういう部分が、ランナー軽視という昨年の対応にも表れているような気がします。

ただ、総合的に考えれば、こんなにも低評価にはならないかとは思います。正直なところ、多くの人が昨年の対応に不信感を持ち、色眼鏡で「横浜マラソンの運営はよくない」と思っているから、このような結果になったのでしょう。

噂だけで運営のWellnessを叩いている人もいますが、言葉は悪いですが愚者の行為でしかありません。

とはいえ、失った信頼の結果が、この評価につながるなら因果応報ともいえます。横浜マラソンはこれから時間をかけて信頼を取り戻すしかなく、そのためには今回の評価をしっかり受け止める必要があるのでしょう。

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わたしが、今回の横浜マラソンをそれなりに高く評価しているのは、以前よりは聞く耳があり、ここから改善しつつも自分たちの色を出そうとしていると感じたからです。

そういう意味では、来年の大会にかなり期待しています。

もっともわたしは横浜マラソンが裸足OKになるまで出るつもりはありませんが。そこはわたしのプライドの話であって、どう評価するかとは別問題です。

「2度と出ない」それでいいと思います。世の中にマラソン大会はいくつもありますから。相性の良くない大会の1つや2つくらいあって当然です。わたしも、出るつもりのない大会がいくつかありますから。

ただ、冷静になって大会全体を振り返ってもらい、ちょっとでも楽しさがあるなら、横浜マラソンの今後に期待してもいいのではないかなとは思います。


信頼の原則――最高の組織をつくる10のルール
著者:ジョエル・ピーターソン / デイビッド・A・カプラン
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