ネパールのトレイルランナー「ミラ・ライ」に学ぶ

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先日、メレルのPress Room Open Dayを取材したときに、ある動画を見せてもらいました。「ミラ・ライ」トレイルランナーなら誰もが知っている名前かもしれませんが、わたしはその時まで彼女を知りませんでした。

日本のトレイルランナーですら、数名の名前を知っているくらいで、自分がレースに出ることもありません。

でも山を走るのは好きですし、山を走っている人を見るのも好きです。ロードにはないテクニックが求められ、冷静さを保ちながらもチャレンジするという姿勢に惹かれます。

ただこのときは、特に何も考えずに映像を眺めていました。まったく別のことを考えていたときに、何気なく画面に目をやると、ちょっと変わった走り方をしている女の人が映りました。

足を持ち上げるタイミングで、いきなり大腿部が下がります。何を言っているのか分からないかと思いますので、とりあえず動画を見てもらえばと思います。

本来なら大腿部がグッと上がるはずのタイミングで、彼女の足はすでに下がっています。もちろん坂道を上がるときには大腿部も持ち上げますが、フラットな道の場合、膝は前に出ますが大腿部が上る前に地面をとらえにいっています。

本当に何を言っているのか分からないですよね。

我ながらなんて説明が下手なんだろうと思うのですが、なぜこのフォームが気になったのかというと、ちょうどいま取り組んでいるのが、この走り方だからです。

大腿部を持ち上げずに、できるだけ素速く下ろす。そうすると、上体がブレることなく、とても大きな推進力を得ることができます。小さな力で大きな推進力が生み出せるから、かなり効率的だと考えています。

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ただ、足を地面に押し付ける形になりますので、これまで使っていなかった筋肉に負担をかけます。ですので、わたしはリカバリーばかり意識することになっているわけです。

回復させないと、確実に足が壊れるのが分かっています。最初は膝がかなり危ない状態になりましたが、なんとかそのフェーズは乗り切ったようです。まだ一部に違和感がありますが、大きな問題ではありません。

膝はも大丈夫ですが、今は足首周りやふくらはぎの筋肉がえらいことになっています。

ここまで負担が大きいと、さすがに自分の仮説が間違っているのではないかと不安になりかけていたのですが、ミラ・ライの走りを見て確信しました。「これでいい」のだと。

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ミラ・ライはネパールの貧しい家で生まれ育ちました。小学校も退学し家のために働いているような生活。そこから抜け出すために兵士になるという道を選びました。

軍で不適格者となった彼女はチャンスを掴むためカトマンズへ移り、資金が尽きる直前になって出場したトレイルランのレースで優勝したことで一気に脚光を浴び、世界のトップランカーに入るまでに成長しました。

まさにシンデレラストリーがそこにあるのですが、彼女はそれを運が良かったと捉えています。学校を通うこともできずに、裸足で米袋を担いで険しい道を歩いた経験が自分を強くしてくれた。

誰もが「なんで自分だけがこんな苦しい思いをしなくてはいけないのか」というような経験を、それがあったから今の自分があるのだからと考えられる強さ。

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走り方だけでなく、そういうメンタルの部分にも魅力があり、さらには笑顔がとてもチャーミングです。

トレイルを走る人はよく笑います。転んでも笑って立ち上がり前に進む。そんな無邪気さのある笑顔を見ていると、走ることの原点を思い出すことができます。

世界にはすごい人がいるものです。わたしが知らないだけで、もっとすごいランナーが何人もいるのでしょう。まだ道が交わっていない素晴らしいランナーたち。

この先、そういうランナーにどれだけ会えるのかは分かりませんが、また1人会ってみたい人が増えました。もっとも会話もできませんし、彼女の走りについていくこともできませんが。

とりあえず、今は自分が取り組んでいることに自信を持って、ときどきミラ・ライの動画を見ながら、学んでいこうかと思います。


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著者:鏑木 毅
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