東京五輪のマラソン日本代表選考についての解説【MGCの規定】

昨日開催された大阪国際女子マラソンで、松田瑞生選手が設定タイムの2時間22分22秒を切って優勝したことで、「東京五輪の代表が決定した」と受け取った人もいたようですので、今後のスケジュールも含めて日本代表選考についての解説をしておきます。

マラソンに詳しくない人でも、日本代表選考レースを楽しむために知っておいてもらいたい内容になっていますので、これから行われる3つの選考レースを楽しむためにも、正しくMGCの規定を理解しておきましょう。

目次

男女3つの選考レースで代表の座を争う

2019年9月15日に開催されたMGC。ここで代表の座を手にしたのは、男女それぞれに2名ずつです。MGCで3位に入った選手は「これ以降の3レースで、基準を満たす選手が現れなかったら内定」ということになっています。

言葉で説明するのは難しいので、具体的に人の名前を挙げて解説します。

MGC男子結果
1位:中村匠吾(内定)
2位:服部勇馬(内定)
3位:大迫傑(保留)
4位:大塚祥平
5位:橋本崚

MGC女子結果
1位:前田穂南(内定)
2位:鈴木亜由子(内定)
3位:小原怜(保留)
4位:野上恵子
5位:一山麻緒

現在、男子で内定しているのが中村選手と服部選手です。女子が前田選手と鈴木選手です。そして、男女ともにMGCのあとに開催されるそれぞれ3大会の結果で代表の座を競い合います。4位と5位まで書いたのには理由があります。その理由については後ほど説明します。

男子選考レース
福岡国際マラソン
東京マラソン
びわ湖毎日マラソン

女子選考レース
さいたま国際マラソン
大阪国際女子マラソン
名古屋ウィメンズマラソン

この3つのレースで下記条件を満たしたランナーが出た場合には、その人が3番目の代表となり、出ない場合には3位になっている大迫選手、小原選手が東京五輪への切符を手に入れます。

選考基準
男子:2時間05分49秒
女子:2時間22分22秒

最終レースが終わるまで3枠目の内定はない

今回の大阪国際女子マラソンで松田選手が2時間21分47秒で選考基準をクリアしました。これで内定と思った人もいるかもしれませんが、女子はまだ名古屋ウィメンズマラソンが残っています。このため名古屋ウィメンズマラソンが終わるまでは内定は出ません。

ただ、この時点ではっきりしたのはMGC3位の小原選手が手にかけていた代表の座は消えてしまったということです。もちろん、小原選手にも名古屋ウィメンズマラソンに出場する権利はあります。ただ、大阪国際女子マラソンに出場し、かなり消耗しているので、どうなるかはまだわかりません。

同じく大阪国際女子マラソンに出場した福士加代子選手は「今日はダメ」と判断して、早めにリタイアしています。彼女は疲労を残すことなく、名古屋ウィメンズマラソンに出場することになります。

いずれにしても名古屋ウィメンズマラソンで、誰かが松田選手の2時間21分47秒を切れば、その人が3枠目を手にすることになります。

男子も同様で、東京マラソンだけが注目されていますが、設楽悠太選手が宣言どおり2時間4分台で優勝しても、翌週に開催されるびわ湖毎日マラソンで、誰かがその記録を上回ったら、当然その選手に3枠目が与えられます。

設楽選手が代表を辞退したらどうなるのか

設楽選手は2時間5分台なら、選考基準をクリアしても代表を辞退すると明言しています。これは少し複雑な話になります。

設楽悠太:2時間5分15秒
A選手:2時間5分30秒

さて、この場合に設楽選手が代表を辞退したとして、誰が3枠目になるのか。すんなりA選手となるかというと、残念ながらそのような規定はありません。

あるべき流れがあるとするなら、次のようになります。

  1. 設楽選手が選考基準を超えて最上位の競技者になる
  2. 設楽選手が内定する
  3. 設楽選手が辞退する
  4. 補欠の選手が繰り上げになる

ここで出てくるのが「補欠」という扱いです。日本陸上競技連盟の規定によると、MGC3位と4位(MGC3位が内定した場合には4位と5位)が補欠になるとしています。このため規定通りに決まるなら大迫選手が3枠目となり、4位の大塚選手と5位の橋本選手が補欠になります。

ただ、そうすんなりといくかどうかです。上記のA選手は選考基準をクリアしているわけです。最上位ではないけど設楽選手が辞退したら、実質的に最上位となるのかならないのか、想定もしていないので誰にもわかりません。

もっとも、この場合にどうなるのかは、東京マラソンまでに決まるのでしょう。公表されるかどうかはわかりませんが。

最上位の選手が同タイムで2人いたら

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もうひとつ覚えておきたい規定があります。それが同タイムだった場合にどうなるかということです。同一レースで同タイムなら、ほんの少しでも前でゴールした人が選ばれるので分かりやすいのですが、別のレースで同タイムということも考えられます。

例えば、福士選手が名古屋ウィメンズマラソンで2時間21分47秒で日本人トップだったとします。これは大阪国際女子マラソンの松田選手と同タイムということになります。この場合にはきちんと規定があります。

  • MGC ファイナルチャレンジにおける順位
  • レース展開
  • タイム差
  • 気象条件

これらを総合的に勘案し、強化委員会にて選考原案を作成。選考委員会で選考し理事会で決定する。

規定はあるけど、そうなってから考えるということです。明確な基準はないですが、より強いと思われる選手が選ばれるということですので、ほとんど運みたいなものです。同タイムというのはあまり考えられないことですが、こういう規定があるとだけ覚えておきましょう。

まとめ

MGC効果なのか、今年は新年のニューイヤー駅伝と箱根駅伝が例年になく盛り上がり、さらには選考レースもさいたま国際マラソンを除いて、かなり高い注目度のある大会になっています。このあと男子が2レース、女子が1レース残っていて、最後まで目が離せない状態です。

ただ、選考レースという視点で考えたとき、選考基準をきちんと理解しているかどうかで楽しみ方も変わってきます。

3月1日:東京マラソン
3月8日:びわ湖毎日マラソン(9時15分スタート)
3月8日:名古屋ウィメンズマラソン(9時10分スタート)

泣いても笑っても3月8日ですべてが決まります。男子は3月1日の東京マラソンだけが注目されていますが、びわ湖毎日マラソンも選考レースで思わぬ新星が現れる可能性もあります。3月8日は午前中はあわただしくなりそうですが、マラソンファンにとっては楽しみな1日になりそうです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次