足を折りたたむ感覚でトレイルを走る

足を折りたたむ感覚でトレイルを走る

中1日で山を走ってきた。まだ疲労が残っているだろうなと思ったら案の定、2日前に軽々と上がれた登り坂で苦戦する。心拍数も簡単に160を超えてレッドゾーンに突入し思うように走れない。往路で前回よりも1分ほど遅かったが、身体の重さを考えればそんなもの。

やはり休養は大事だと再確認したのだが、この日に山に入っておかないと、また2日ほど山を走れない。せっかく山を走りたいモードになっているのにそれはもったいない。とはいえ、転んでただでは起きるのは癪なので走りながら色々と試してみた。

以前から不思議に思っていたことが1つある。わたしは山に入るとペースが大幅に落ちる。裸足で走ることが多いので当然といえば当然だが、シューズを履いても驚くほど遅くなる。山だからそんなものだと受け入れていたが、それにしても遅い。

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フラットに近い路面でもキロ6分台。一般的なトレランの大会では平均キロ6分で走ればそこそこの上位に組み込めるというのがわたしの感覚。もちろんコースにや距離にもよるが、平均がキロ6分台だとすればフラットな路面はキロ5分を切るくらいのスピードが求められる。

どうしてもそのスピードにならないのは、わたしにセンスがないからと思うことにしていた。そもそもトレランの大会に出るわけではないから、速く走れても意味なんてないと言い訳をしていた部分もある。でも、根本的に何かが間違っている可能性がある。

だとしたら、まだ速く走れる可能性もあり、どうせなら自分の伸び代はいっぱいまで使いたい。そういう思いもあって、わたしが毎週土曜日に開催している練習会で教えていることを、そのまま自分に当てはめて走り方を試してみた。

上手く走れそうな感覚のものや、むしろ失速に繋がるものまであったが、「足を折りたたむ」という感じで走ったときにピンときた。これなら山でもロードと同じ感覚で走れる。そう感じたので、自分なりにもう少し深堀りしてみた。

わたしは山ではすり足に近い走り方をする。これは裸足でケガをしないために身についたものだが、シューズを履いても同じように足を上げないようになっていたようだ。これによって1歩が小さくなってスピードが落ちているのだろう。足を折りたたむ意識で走ると、足が高く上がり、1歩が大きくなる。

滞空時間が長くなるからストライドが伸びる。グイグイと前に進む感覚があり、GPSランニングウォッチに目をやるとキロ5分30秒。調子が悪くキロ7分程度でしか走れていなかったのに、ロードをジョグしているのと同じペースではしれている。

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折りたたむというのは、地面から足を離すときに、踵をお尻に近づける走り方で、陸上部経験者はジョグでもそういう走り方をしているのをよく目にする。わたしは長距離の裸足ランニングがベースにあるので、ジョグは足をあまり上げない。足を上げると着地の衝撃が大きくなり24時間裸足では走れない。

だが、それがトレイルで速く走れない原因だったのだろう。1kmのタイムトライアルをするかのように、踵をしっかりと上げて折りたたむ。面白いように前に進み、風のように山を駆け抜けることができた。きっとこれで間違いないのだろう。

トレイルランナーからすると間違った考え方かもしれないが、他の人の意見など気にしない。トレイルの大会に出たいわけでもないので。

ただ、ひとつだけ問題がある。不慣れなのとスピードが速いのもあって狙った場所に着地できない。サンダルだったから突起物に着地しても悲鳴を上げるだけで済んだが、裸足だったら泣いて「もう山になんて入らない」と凹んでいただろう。

今後の課題はキロ5分台での足さばきになる。狙った場所にきちんと足をおろせるようにスピードに慣れること。集中力を高めること。それができれば、トレイルの走りがもっと楽しくなる。いつもよりも遠くまで走りに行けるようになるし、大山往復も気軽にいける。

そして何よりもロードでの走りに還元されそうな感じもある。ダラダラとしたジョグではなく、きちんと気持ちのこもったジョグができるようになれば、走りのベースが上がってくるはず。レースがないので速さを求める気分にはならないが、自分の体を上手くコントロールできるのは、レースに関係なく楽しい。

これはしばらく山を走る日が続きそうだ。本来ならインターバルをしなくてはいけない時期なのだが仕方ない。しばらくは山を駆け抜けて、盛大に山ですっ転んで「もう山は行かない」となるまで、初秋の山を楽しことにした。

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