マイボトル必須の湘南国際マラソンはランナーに受け入れられたのか

マイボトル必須の湘南国際マラソンはランナーに受け入れられたのか

1分1秒の争いになると思っていた。たった数秒の遅れで、握りかけていた権利が砂のようにこぼれ落ちてしまうこともある。20時ジャストにエントリー開始。「504 Gateway Timeout」を繰り返しながらも、あとは確定ボタンを押すだけというところで、致命的なエラーで振り出しに戻された。

湘南国際マラソンのクリック合戦での出来事だ。これまでRUNNETを使ってエントリーしていた湘南国際マラソンだが、今年からLAWSON DO! SPORTSが対応することになった。RUNNET時代も当初はサーバーがパンク状態で、深夜の3時くらいに、ようやくエントリーが終わったという人もいた。

そこからランネットもサーバーを強化したのか、プログラムで逃がせるようになったのかはわからないが、とにかく以前ほどは問題にならないくらいには改善していた。もっとも、わたしはクリック合戦に疲弊して、長く湘南国際マラソンから離れていたのだが、今回は湘南国際マラソンが「マイボトル携帯必須」という取り組みを始め、興味深いのでエントリーすることにした。

実は大会事務局にお願いすればメディア枠というのも用意してもらえたのだが、ラン仲間が「それって思ったことを書けなくなるんじゃない?」とアドバイスをくれ、一般のランナーとしてエントリーすることにした。RUNNING STREET 365は正直であることが認められて大きくなった。

忖度するのはRUNNING STREET 365の個性を消すことになる。そういうのは大手メディアに任せておけばいい。

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実際にこうやってエントリーのドタバタを経験できたのは、決して小さなことではない。メディア枠をもらっていたら、エントリーについての正直な感想を述べることができないし、何よりも他のランナーと同じ気持ちでスタートラインに立つことができない。それでは見えてくる景色も違ってくるだろう。

今回のエントリーでのドタバタを体感せずに書く記事に重みはない。マラソン大会というのは、42.195kmで評価されるものではなく、申し込みからアフターフォローまでを含めた総合力で評価される。今回エントリーをした人は、湘南国際マラソンに対して、大きなマイナスポイントをつけたことだろう。

全体の流れがわかっていない人のほうが多いかと思うので、簡単に説明しておこう(勢いだけで文章を書くと、こういうことになる)。

湘南国際マラソンのエントリーは先着順となっている。関東から日帰りで参加できる大会として人気が高く、毎年激しいクリック合戦が行われるが、今回は他のマラソン大会がほとんど開催されないのもあり、さらに競争が激しくなるのではと予想されていた。そのタイミングでエントリーサイトの変更。

LAWSON DO! SPORTSを運営しているローソンチケットでは、ライブのチケットなども扱っているのだから、アクセスが集中しても大丈夫なのだろうと、わたしは勝手に思っていた。

ところが現実は、何度も「504 Gateway Timeout(タイムアウト)」が出る上に、クレジットカード情報の認証画面ですらエラーが出た上で、さらに振り出しに戻される。繰り返される「504 Gateway Timeout」に嫌気が差して諦めた人もいるだろう(わたしも仕事でなければ止めていた)。

湘南国際マラソンの事務局も、過去のことがあるのだからアクセス数などのノウハウがあるはず。だから、そうなることは予想出来たのはずなのだが、実際にはかなりひどい状況になっていた。それくらい大会が注目されていたと考えることもできるが、問題はそうではなかったということにある。

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ここまでが壮大な前置きだ。

湘南国際マラソンのエントリーは翌日の午前中、すなわち12時間経過後でもエントリーが可能だった。どういうことかというと、20時からアクセスをした人数は、募集していた15,800人程度しかなかったということになる。これはとてつもなく大きな問題だ。

募集人数を大きく上回る人数のアクセスがあってパンクしたのであれば、湘南国際マラソンの取り組みが注目されていると言えるわけだが、現実は例年よりもエントリーした人が少ないことになる。これは、湘南国際マラソンの新しい取り組みが受け入れられなかったことを示している。

  • 新型コロナウイルスがこわい
  • 中止になるリスクがある
  • 距離が短縮される可能性がある
  • マイボトルがいまいちわからない
  • 翌週に東京マラソンが開催されるかもしれない

ランナーがエントリーを躊躇した理由は、この5点が考えられるが、正直なところメディアと大会側が、大会についてのアナウンスを十分にできなかったことが問題だとわたしは考えている。それはRUNNING STREET 365も含めてだが、これはメディアの負けだと思っている。

新型コロナウイルスがこわいというのはどうにもならないが、考えられる最大限の対策を発表していたので、感染拡大リスクはかなり低い。開催可否の判断は12月10日に行われ、中止になったら全額返金される。マイボトルはやってみないとわからないのでエントリーを躊躇する理由にはならない。

距離が短くなるかもしれないというのは、見送る要因のひとつにはなっているだろう。東京マラソンが開催されるかどうかはそれほど大きな問題ではない。今年からスライド参加の人が悩むところだが、人数は限られている。

やはり新しい方式について、十分なアナウンスをしきれなかったのが大きい。湘南国際マラソンのHPにいろいろ書かれてはいるが、情報が分散しているし、読む量が多すぎて「めんどうだからいいや」となった人もいるだろう。それらをうまくRUNNING STREET 365で拾えなかったことは反省している。

自分だけで盛り上がり「黙っていても人が集まる」と慢心していたところもあったのだろう。ところが定員に達するのに、13時50分までかかっている。この程度の注目度にしかなっていない。これはマラソンに関わる者として軽視できない現実だ。

今回は多くのランナーがポジティブな変化と受け取ってくれなかったわけで、このイメージを変えるのは簡単ではない。告白してふられたみたいなもんだ。だがふられてから始まる恋愛もある。大会のレポートを読んで「エントリーしておけばよかった」と振り向いてもらえる可能性だってあるわけだ。

そうなるかどうかはこれからの運営と、わたしの文章力次第。難しいことを考えても仕方ないので、自分にできることをしっかりとやるとしよう。

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