ランナーは道さえあればどこだって遊び場にできる【長崎の坂は最高の遊び場】

中学時代の修学旅行以来、30年ぶりの長崎は見るものすべてが新鮮で、いったい何のための修学旅行だったのだろうかと思うわけだが、思い出せないのだから仕方ない。そもそも中学時代のことで覚えていることなど、ほんの少ししかない。

4日間で約60キロ近くを走った「初日は走っていないが)。これだけ走れると、街のことがよく見えてくる。長崎は坂が多い街だが、観光ツアーなどではそれを実感することがほとんどない。ところが走ってみるとよくわかる。坂道ランでの獲得標高は1500m以上にもなる。

では、そんな坂道と地元の人はどう向き合っているのか。別にどうということはない。坂や階段があればそれを上るだけ。生まれたときからそうだったのだし、長崎市内で暮らす多くの人が坂道の先に家を持っている。坂がそこにあるのが当たり前なのだ。

言うまでもないが、坂道のある生活は人の性格にも影響する。彼らは、この世の中にはどうしようもないことがあることを知っている。嘆いたところで、坂が短くなることはない。平地で暮らす人とは、どうしたって考え方が変わってくる。買い物ひとつするのだって簡単ではない。

走っているとそういうことが自然とわかってくる。ランナーだから感じられることがある。だから走ろうなんてことは言わない。だがすでに走っているなら、マラソン大会などのレースだけがランニングの場ではないと知っておくといい。そこに道があれば、どこだってわたしたちの遊び場になる。

マラソン大会のために遠征するという考え方が一般的だが、走って遊ぶために旅をする、そんな旅ランもやってみると楽しいはずだ。距離は長くても短くてもいい。朝から晩まで走ればそれなりの距離になる。だがどれだけ走ったかは問題ではない。どれだけ速く走ったかも。

裏路地を走ってみるのもいい。山の頂上を目指すのもいいだろう。気になったお店にもどんどん入っていくといい。そうやっていけば、自然と知らない街が馴染んでいく。わたしも到着したときには、長崎ならではの独特な雰囲気が気になったが、最終日の朝に走っているときには、まるで地元を走っているかのような感覚になってきた。

ただ、やはり新型コロナウイルスの影響はある。他の地域はわからないが、長崎ではどこの観光施設に入るにも検温と連絡先の届け出が必須で、そして前回のブログでも書いたように、県外のお客様お断りの居酒屋も多い。観光客を受け入れる状況にはないので、このタイミングでの長崎旅行はおすすめしない。

頭でわかっていても、お断りされるのは気持ちの良いものではないから。春になって気温が高くなれば、また少し状況は変わるだろうが、少なくともこの冬は避けておく方がいいだろう。おそらく、長崎だけではないのだろう。GO TOトラベルを使うときには、事前にきちんと調べておいた方がいいかもしれない。

もっとも旅ランというのは、遠くに行かなくてもできる。隣町まで走るのだって旅ランになるし、家から海や山を目指すのもいいだろう。いつもは使わない道を距離もタイムも気にせずに走る。わたしがイベントでよくやる電車の沿線を走るというのもいいだろう。それで地元をもっと詳しくなる。

そして落ち着いたら、行ったことのない土地にランニングシューズを持って遊びに行くといい(別に裸足でもいいのだが)。観光地を自分の足でめぐることで、見えてくる景色がまったく違ってくる。挨拶を交わすことで、またひとつ自分が街に馴染んでいくのを感じられる。そしてその街を好きになる。

長崎は長崎市以外にも佐世保や平戸、五島列島などもある。今回久しぶりの訪問になったが、見たいもの学びたいことがまだまだたくさんある。長崎滞在中はずっと曇っていたので、撮影のために晴れた日にも遊びに行きたい。いや、行くことになるだろ。やり残したこともたくさんあるのだから。1年くらい誰か雇ってくれないだろうか……

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