速さには筋力が必要だが、それだけではスピードを出せない【パワーと技術の融合】

筋力は欲しい。筋肉は細いままで。速く走りたいほとんどのランナーがそう考えていると思います。これはかなり難しい課題なのですが、実業団や大学の駅伝部に所属する人たちはそれを可能にしています。マラソンで必要なのは持久力だと思われていますが、速く走るにはパワーが必要です。

トップランナーが100m走をしたら、ほとんどの人が12秒以内に走れるような気がします。それくらいの筋力を備えているわけです。そうでないと、1kmを3分ちょっとで走り続けることなんてできません。彼らにとって100mを18秒で走るのは朝飯前のことで、それを実現するにはある程度のパワーが必要です。

昨年は春以降にマラソン大会が開催されなかったのもあって、私は追い込む練習をほとんどしていません。単発的には行いましたが、継続して計画的にはしていませんし、走り込みもしていません。その結果が驚くほどの筋力低下で、まったくスピードを出せなくなってしまいました。

それでも3日で250kmを走れたのですから、持久力という点では自転車での配達が効いているのでしょう。ただスピードがないと、初日に箱根を越えられません。2年前の私はベースとなるペースがキロ5分台でしたが、今回は6分台。キロ10〜20秒ほど遅くなっています。ちなみに2年前のシーズンはハルカススカイランに向けて、筋トレをしていたシーズン。

同じように走れるようになりたいなら、筋力を戻すしかない。自分を超えていきたいなら、筋力を高めるしかない。とてもシンプルなことなのですが、問題はムキムキの筋肉は欲しくないということです。いわゆるカモシカのような脚が欲しい。カモシカがマラソンを速く走れるかは知りませんが。

一般的に筋トレをする時には軽い負荷で回数を行えば、筋肉は肥大しないと言われています。いま手元にエビデンスがないので断言はしませんが、筋トレの世界ではある程度常識なのではないかと思います。そう考えると、ランナーの筋トレが自重トレーニング中心なのも理解できます。高い負荷で一気に力を入れるのではなく、何回もスクワットを行う。

理屈の上ではそれでいいのですが、本当にそうなのかなという思いもあります。2年前は確かにそれで復活を果たしました。なかなか超えられなかったサブ3.5の壁を、あっさりと突破していったので筋トレは必要なのですが、多分その先にサブ2.5の世界が待っているわけではなく、どこまでやってもその手前で終わってしまう。

サブ2.5を狙いたいという話ではなく、マラソンにおける筋トレの本質を知りたいだけです。もっと言えば、なぜサブ2を狙える人がいて、なぜサブ3すら到達できない人がいるのかを知りたいわけです。才能という言葉で片付けていいものではないと思っています。実際には才能かもしれませんが、それではロマンがありません。

どうすればフルマラソンを2時間ちょっとで走れるのか、どうすれば250kmを2日間で走れるのか、その理屈を追求していき、その理屈が本当に成立するのかを知るために私は走っています。壮大な人体実験だと考えてください。普通は「とりあえずやってみよう」となるのかもしれませんが、私は筋道を立てて理解したい。

そこで筋肉です。細くてしなやかで、それでいてパワフルに鍛えることができるのか。こう書いていて、一つのことに気づいた。そもそも速く走るためのパワーが筋力ではないとしたら、私は大きな勘違いをしていることになります。私がこれまで追求してきたように、体の連動の先に速さがあるのではないだろうか。

もちろん最低限の筋肉は必要だが、筋力だけでなく、技術との融合だとすれば考え方や見えてくるものが変わってきます。筋トレは続けるし、これまで以上に真剣に取り組みますが、そこが終着点ではないという意識も忘れないようにします。手にしたパワーを無駄にすることなく推進力に変える技術。まだ朧げにしか見えていませんが、これから研究を進めていくとします。

走る技術。わかっているようでわかっていないこと。きっとたくさんあるのだと思います。何が速さに影響を与えるのか。何が速さに関係ないのか。今シーズンはそんなことを考えながら走ってみようと思います。ちょっとワクワクしてきました。きっと今年も良い年になる気がしてきました。

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