六甲縦走〜鵯越から宝塚〜軽くパニックになりながらもなんとか完走

六甲縦走なんとか走りきったぞ!

六甲縦走なんとか走りきったぞ!

壮絶なランニングだった。精神的な弱さがおもいっきり前に出てしまった。コースは難コースということはないけど、六甲縦走の残り12キロがとにかく精神的にきつかった。だからこそ挑戦しがいのある山なんだけどね。ただ、ハイカーのおっちゃんがつぶやいた「六甲も陸上競技場化してきたなぁ」という言葉が耳に残っている。山は誰のものでもない、ハイカーのものでもなければランナーのものでもない。でもハイカーの人たちはもう何十年も前から山を歩いている。そのことは十分に尊重しなきゃいけない。それがトレイルを走る者の最低限のマナーじゃないだろうか。

今回の六甲縦走は鵯越から宝塚までの37キロ。前回、須磨から鵯越までやっているのでその続きということになる。本当なら須磨から宝塚まで走りたいところだけれども、それは朝イチにスタートして夕方遅くまで走るようになるので前泊+後泊ぐらいの余裕がある日程が必要だ。そもそも今回も夕方に大阪の同級生の家に遊びに行くことになってたのでリミットは15時に設定していた。朝の7時に大阪駅に夜行バスで到着して、そのまま鵯越まで移動。スタートしたのは9時半になる。

鵯越からは菊水山を目指す。小学生の頃に親と何度も登った菊水山は、おいらにしてみれば今回のトレイルのハイライトがいきなりやってきたような感じ。気温はどんどん上がっている感じでちょっと嫌な感じ。大阪駅についた時点で20度になっていたから日中は30度近くにまでなるんだろうか。水分補給だけこまめにしながらただひたすらに登る。そして菊水山の山頂で思う。「こんなんやったっけ?」いや、30年近くも経過すると記憶も薄くなるもんだね。おいらの知ってる菊水山とは違う感じだったよ。同じ景色とは思えなかったけど、景色がよかったということだけは同じだけどね。

そこからはひたすら東に向かう。ここらへんはまだ元気な感じだけど、1週間前の裸足マラソンの影響で足裏が敏感になっててかかとを付けられない。24時間マラソンに向けて負担の少ないフォームを取り入れたので普通に走っているときは足裏への負担がかなり少ないんやけど、小石を踏んだら激痛。そしてひたすらのアップダウンが続いて菊水山から摩耶山までの9キロが約2時間もかかってしまった。夜行バスでの疲労もあったんだと思う。足の置き場の判断がワンテンポ遅れて危うい感じだったしね。

ホルモン焼きそば…普通のお肉のがよかったかも

ホルモン焼きそば…普通のお肉のがよかったかも

摩耶山のカフェでホルモン焼きそばのエネルギー補給をして再スタート。この時点で今回の完走はないかなと思ってたんやけど。摩耶山からはそれほど厳しいアップダウンがないから六甲ガーデンテラスまではかなりいいペースで走れた。ここでおいらは非常に難しい判断に迫られたのだ。もっと時間がかかっていれば潔くここで終了して有馬温泉にエスケープするか摩耶山までバスで戻ってケーブルカーで下山するつもりやったんやけど、この時点でまだ14時。そして残りは18キロぐらい。イメージとしてはほぼ下り。

こういうときやっぱおいらはアホなランナーなんだと思う。足も動かない状態だったのに、ほとんど迷うことなく先に進むことにした。18キロを2時間で降りればいいんだろ?そんな軽い気持ちで、残りを走ることにした。

まずは六甲山頂。こんなに苦労したのに931mしかないという現実。そういえば六甲山はあんまり神様がいるような感じがしない山なんよね。箱根とか伊豆の山なんかはものすごく神秘的な感じがするところもあって、山の神様の庭を走らせてもらっている感じがするんやけど、一部の区間を除いて六甲山は里山を走っているような感じが強い。その感覚がおいらの判断を鈍らせたのかもしれない。危険な感じがまったくしないから安易に前に進んでしまう。でも山はやっぱり山なんだよ。安易な感覚が一番危ない。

ここからが地獄だった。体調の問題だけど。

ここからが地獄だった。体調の問題だけど。

異変が出始めたのは残り12キロを切ったあたりから。どうもエネルギー切れが近いような感じがしたのでパンを口にしたら、急に吐き気が襲ってきた。でも吐くともう走れなくなるから、無理して水でパンを流し込んだ。そしてしばらく走ると、胃から食道にかけてキリキリするような痛みが支配するようになる。痛くて走るどころではない。でも、もうエスケープルートはない。自力で山を降りるしかない。騙し騙ししながら、走っては歩いてを繰り返しているけど、いま自分がどこにいるのかすらわからない。

山に入るのに地図すら持っていないという失態。もっとも迷子になったわけではないので地図があっても助かるということではない。ただゴールまでの距離がわからないというのがこんなにも苦痛だとは思わなかった。周りの景色を見ても杉の木だらけ。ときおり見える外界の風景も米粒のように小さくて、とてもゴールが近くにあるとは思えないような気がしてくる。進んでも進んでもゴールが感じられない。走りてくても胃が痛み、走らないとゴールが遠ざかるような感覚がある。ちょっとしたパニック状態になってしまった。

慣れた山ならそんなことはないんだろうけど、初めての山だったということがおいらの精神状態に大きく影響した。それでも、前に進めばいつかゴールがあるのだと信じて走り続けた。宝塚が近づいてiPod touchの地図にある地名と山の案内板にある地名が一致した瞬間、あれほど安心した気持ちになったのは初めてだ。なんとかゴールが出来そうだという希望。そう、希望があれば人間は力を取り戻せる。動かない足に活を入れてただひたすらに山を下る。そして、16時半にようやく宝塚到着した。9時間で37キロ。万里の長城マラソンと同じようなタイム…これは万里の長城マラソンの練習にはちょうどいいかもしれない。

山をなめてはいけない…

山をなめてはいけない…

ひとつ大きな教訓があった。どんなにメジャーなコースでも初めての時は地図を買うかプリントアウトしておこう。もう二度とあんな怖い思いをするのは嫌だ。そして山は時間に余裕を持って入るようにしよう。間違っても夜行バスで移動してそのまま走りだしちゃいかん。いずれ六甲縦走を1日で駆け抜けたい。そのときは十分な用意とコンディションで臨もうと思う。ハイカーの人たちには邪魔な存在なのかもしれないけど、六甲縦走はランナーにとっても純粋に楽しくて走りやすいコースだ。あれだけのハイカーがいることも安心要素のひとつだし。道を大きくハズレなければ遭難することもない。

でも、もしこのままランナーが増え続けるとちょっとした問題になるんだと思う。だからランナーはマナーを守ることを重視して走って欲しい。ハイカーを煽るようなことなく、追い抜くときは挨拶していこう。おいらは数年後にランナーが六甲から締め出されるんじゃないだろうかと危惧している。そうなるかならないかはランナーそれぞれの行動にかかっている。謙虚な気持ちで「走らせてもらっている」感覚を忘れずにいようと思う。それは六甲に限らずどの山でも言えることだけどね。

また挑戦するぞ、六甲縦走!

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