トレイルランニングは耳で走る?エコロケーションが走りを変える

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溶接の仕事をしていたとき、溶接の具合は耳で確認するのだと職人さんが言っていた。何を言っているのだろうと最初思ったのだがしばらくしてわたしも耳で溶接の良し悪しがわかるようになっていた。

人間の耳は、わたしたちが思っている以上に高性能にできている。聞こえる周波数という意味で言えばコウモリは人間の5倍高い音まで聞こえるし、犬でも人間の2倍だ。

しかしながら人間の耳はもっと複雑に進化している。『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ』で少し語られたのだが、全盲の冒険家ダニエル・キッシュは音で見る能力「エコロケーション」を身につけている。

何のことかわからないかもしれないが次の動画を見てもらいたい。英語だがあまり気にしなくていい。映像に出てくる自転車を運転しているのがダニエル・キッシュだ。

信じられるだろうか?彼は目が見えていないのに自転車を運転できるのだ。『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ』ではマウンテンバイクで山道を走ることもできるらしい。

その方法というのが「舌打ち」だ。彼は舌打ちをしたその反響音で離れた場所にあるものの形や距離を正確に判断することが出来る。このとき彼の脳では視覚に関する部分が活発に動いているのだとか。

そんなことダニエル・キッシュだからできるのだというのは簡単だが、本当にそうだろうか。

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なんでも自分で試してみなければ気が済まないわたしはさっそくエコロケーションを実践してみた。とはいえいきなり目隠しをするわけにもいかないので、トレイルを走るのに舌打ちをしながら走ってみた。

もちろん裸足でだ。

劇的とはこういうことをいうのだろう。いきなり走りが変わってしまった。裸足なのでガレ場などではおそるおそる出ていた足が、ガツガツ前に出ていく。他の部分でも足をどこに置こうかなんて考えもせずに足が進む。

これは見えているというよりは「感じている」のかもしれない。舌打ちをすることで周りの状況を脳が感じて勝手に足が出る。

そして舌打ちをするのをやめるとはっきりと景色が変わるのを感じる。これまで空間で捉えられていた景色があっという間に平面的になる。また舌打ちをすると世界が広がっていく。

もっとも驚いたのは舌打ちをしながら快調に走れていたのに足が勝手に止まってしまったことだ。

自分でもよくわからずに止まってしまって、周りを見渡すと少し先に猿の集団がいたのだ。走りながらの視覚にはまったく入っていなかったのに、エコロケーションで脳が危険を察知して走るのを止めたというのは考えすぎだろうか。

エコロケーションには多くの可能性が秘められている。そして同じぐらい裸足ランニングも多くの可能性が秘められている。そのふたつを組み合わせると奇跡的なことが起こっても不思議ではない。

いや、人間が本来持っていた能力と言ったほうが正しいだろう。

試しにに舌打ちしながら山を走ってみて欲しい。これまでと走りが変わる人も出てくるだろう。いきなりすべての人ができるわけではないだろうが、訓練次第では誰にでも違いを感じられるはずだ。

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