簡易的なランニングフォームチェックからは何も生まれない

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昨日、東京マラソンのEXPOで第一生命のランニングフォームチェックをしてもらいました。このランニングフォームチェックは全国のマラソン大会の受付会場でしています。

いつもはスルーしていましたが今回は「どんなものだろう」も含めて体験してみました。

目次

思っていた以上に丁寧に教えてくれる

ランニングフォームチェックをしてくれるのは第一生命の元実業団ランナーです。「元」と言っても今でも走り込んでいそうな、現役のランナーのような雰囲気があります。

簡易的だからさらっとワンポイントのアドバイスをして終わりだと思っていましたが、これが予想以上にしっかり教えてくれています。1人の持ち時間はそれほど長くはないのですが、アドバイスをする人は時間いっぱいまで教えようとしてくれます。

ここがポイントです。

その短い時間ではやっぱり何も教えられないんです。走り始めたばかりのランナーならともかくフルマラソンを走ろうというランナーに数分で教えられることなんて何もありません。

ちなみにわたしは肩甲骨の動きをもう少し走りに連動させたほうがいいと言われました。「そっか、わかりました」ってその場でフォームが変わるほど、ランニングは簡単ではありません。

実業団ランナーが教えるということ

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実業団でばりばりやってきた選手が教えるというのも、いいようで実はよくない。

彼女たちは「走る才能」を持って生まれた人たちです。そういう人たちが理想の走りを追求して、きれいなフォームではしります。実業団ランナーのことを悪く言うつもりはありませんが彼女(彼)たちの走りには幅がありません。

無駄をどんどんそぎ落として速くなっていくのが実業団ランナーです。頭のなかに一つの理想形があり、そこを目指すわけです。そして自分が教えるときも、その理想に沿うように教えるわけです。

わたしと一緒に行った友人はフルマラソンを走り切るために踵着地をやめたのに、ランニングフォームチェックでは踵着地を勧められていました。

別に踵着地が絶対に悪いとはいいません。実際に踵着地のほうがスピードは出ますから。でも「自分は踵着地してきたから」という理由だけで、市民ランナーに踵着地を勧めるのは危険です。

市民ランナーにはそれぞれの走り方にクセがあります。ランニングフォームチェックでは、それらのクセを矯正しようとします。そのクセがなくなれば速く走れる。クセのない理想のフォームこそ、万人向けのフォームだという理念があります。

でも多くのランナーが気づいているように、クセを無理に直すとケガにつながります。クセを放置してもケガにつながることもありますが、理想は「クセを活かした走り」です。

簡易的なランニングフォームチェックはいらない

もしこのランニングフォームチェックが1時間きちんと向き合って行うものなら、すごく意味のあるものだと、わたしは思います。限られた時間の中で、走ることが上手な実業団ランナーが教えることに無理があります。

ランニングフォームチェックは最近はいろいろなメーカーで行っていますが、どれも似たり寄ったりで、ヘタすると自社製品をPRするため、売るためだけのランニングフォームチェックだったりもします。

「このシューズを履いたら、こんなにもフォームが変わります」

履いただけで目で見てわかるようなフォームの変化があるシューズは、怖くて履けないというのはランナーが持つべき感覚ですが、実際は「そっか、これいいな」と購入してしまうわけです。

正直言って何十分も並んで数分で終わるようなランニングフォームチェックは、受けても意味はありません。あれ、何の目的でやっているのでしょう。教える側だって「こんな短い時間では無理」なのは承知なはずです。

簡易的なランニングフォームチェックからは何も生まれない。

じゃあなぜ受けたのかと聞かれると、わざわざ開催しているのだから、独自の教える技術があるのではないかと期待したからです。自分が教えるときの参考にもなりますし。

ところが現実は、「ランニングを教えている人が普通に短い時間であれもこれも教えようとしている」姿がそこにありました。

短い時間で教えるなら、「直すべきところをワンポイントだけしっかり教える」ぐらいが落とし所だと、わたしは思います。いまのやりかたを続けても、教える側も「教えきれない」気持ちから疲労していくだけ。

もう少し工夫がなければ、誰も得しないものを延々と続けていくことになると思うのですが、どうでしょう?

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