肩甲骨の連動というメカニズムとナンバ歩きの秘密

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先に書いておきますが、おそらくこれから書くことの意味をちゃんと理解できる人、ほとんどいないと思います。わたしが思い浮かべるラン仲間でも3,4人が「なんとなくわかる」と行ってくれる程度かと。

それでもかなり重要なことだと感じているので、あえて書いておきます。

目次

肩甲骨を連動させるという本当の意味

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よく「肩甲骨を連動させて走りなさい」「腕を振って走りなさい」と言われます。その理由は?と聞くと、肩甲骨と骨盤が連動しているからと、ほとんどのトレーナーは答えるでしょう。

じゃあなんで連動してるの?
どう連動してるの?
どうなってたら連動してることになるの?

たぶん、これに対して明確な答えを出せるトレーナーはほんの一握りかと思います。なので「肩甲骨を連動させてください」「連動してないですね」「いい感じに肩甲骨を使えてます」そこまでしか言えません。

連動しているかしていないかは、そのメカニズムを知らなくても見ればわかりますから。

まず足を持ち上げます。このとき人間の体の仕組みとして背中にある脊髄起立筋が圧縮されます。脊髄起立筋は背骨の横にある、骨盤から肩甲骨や首筋まで通っているインナーの筋肉です。

脊髄起立筋が圧縮されるので、肩甲骨はその力を受ける形になります。そのとき肩甲骨がどう反応するかが運命の分かれ目です。

普通の歩き方をしている人は、力を受けた肩甲骨は逃げようとします。肩甲骨が前に押し出されることになります。

人間は歩くときに足が地面から離れるのは体より後ろで、右足の場合は右の肩が前に入ることになります。同時に足が前に行こうとすると脊髄起立筋が引っ張られて肩甲骨も引きづられて、方が後ろに入ります。

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こうすることで左右の脊髄起立筋のバランスをとりながら人間は歩いています。これが肩甲骨の連動です。おそらく専門家は「そうじゃない」というかもしれませんが、少なくともわたしの体ではそう感じます。

肩甲骨の連動がわからないという理由

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世の中の90%近くのランナーがおそらく「肩甲骨の連動」と言われても意味が分かりません。8%くらいの人たちが「なんとなく連動しているのがわかる」かも。そして2%くらいが肩甲骨の連動を把握しているといったところでしょうか。

なぜ肩甲骨の連動を感じられないか。

それは脊髄起立筋がほとんど機能していないからです。まず絶望的に脊髄起立筋の筋力が足りていません。そして現実的なことを言えば、そういう人たちの連動していません。

脊髄起立筋が弱っているのにいくら連動させようとしても無駄です。

ところが教える人は「肩甲骨を連動させなくては」という意識から「腕を振る」とか「肩甲骨周りの筋肉をを柔らかく」と言います。そういうケースは教える側は脊髄起立筋がそこそこ鍛えられています。

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どうやって脊髄起立筋を鍛えるか。基本的には体幹トレーニングでつけることができます。「肩甲骨が・・・」という人は体幹の重要性も感じている人なので、まず間違いなく脊髄起立筋を使えるように日々トレーニングをしています。

ただ脊髄起立筋の重要性を理解していないので、「自分はできるのに何でこの人たちはできないのだろう?」になります。もしくはできないとわかって「肩甲骨が・・・」と言っているかのどちらか。

「肩甲骨連動がわからない」で悩んでいる人、安心してください。肩甲骨の連動なんてわからないですよ普通は。

肩甲骨の連動をわかりたければ、腰に手を当てて歩いてみてください。脊髄起立筋が圧縮されたり、伸びたりするのを感じられるはずです。感覚がわかったら、普通に歩いてください。

うっすらと脊髄起立筋の圧縮を感じるかと思います。その次のタイミングで肩が前に出るのをつかめれば、それが肩甲骨の連動です。

ただ、ほとんどの人が最初の脊髄起立筋の圧縮を手で感じるとことで「わからない」になります。そしてその人は肩甲骨の連動の前に脊髄起立筋を鍛える必要があります。

ナンバ歩きの秘密

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おそらくこの記事を読んだ人は「そんなことはいいからナンバ歩きの秘密を早く教えろ」と思っているでしょうから、そちらに移行します。

もちろんここまで説明した肩甲骨の連動とナンバ歩きは関係があります。もったいぶっても仕方ないので、ここでもうナンバ歩きの秘密を書いておきます。

ナンバ歩きは肩甲骨を逃がさないで脊髄起立筋を圧縮させ、その反動を使って歩く歩き方

これが真実だとわたしは確信しています。その理由は後述するとして、まずメカニズムについて書いておきましょう。

先ほどの足を持ち上げると脊髄起立筋が圧縮されるところまでは同じです。このあと肩甲骨を逃がすから肩が前に出て体を捻るように歩くことになります。

そうではなく、肩甲骨は固定です。背中に大きな板があると考えてください。そうすると脊髄起立筋はどんどん圧縮されます。バネが圧縮されている状態をイメージしてください。

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写真にあるように肩甲骨のラインで圧縮の力をすべて受け止めます。

そこで足を下ろそうとすると、バネが効いて一気に力が開放されます。この力を推進力に変えるのです。

普通の歩き方は大なり小なり足で地面を押すことで前に進みます。裸足をしている人たちや一部の人の間では「重力を利用して歩く」としています。もちろんそれらは間違いではありません。

わたしの考える。ナンバ歩きの肝になるのは体の背面の筋肉を圧縮させて、その開放の力を理想して歩く歩き方になります。足の踵(この表現は本当は正しくない)から肩甲骨にかけて弓のようにしならせて、それを解き放って歩きます。

西洋式の体を捻る歩き方は一見正しいように見えますが、現実は力を逃しているだけです。もちろんそのことによる利点もあるはずです。少なくとも世の中の人のほとんどがそうやって歩いたり走ったりしてますから。

ただ、わたしはこの背中の筋肉を圧縮させる歩き方のほうが効率がよく、なによりも楽しくかんじます。地面を踏み込むことなく、ぐっと前に進む感じ。走りに応用できるとかなり面白いことになります。

ナンバ歩きの大きな誤解

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わたしの考え方を理解してもらうためには、まずはナンバ歩きの大きな誤解について説明しなくてはいけません。

誤解1.ナンバ歩きは右手と右足を同時に出して歩く

「ナンバ歩きは右手と右足を同時に出して歩く」が当たり前のように言われていますが、これが最大の誤解。やってみたらわかりますが、歩きにくくて仕方ありません。

古武術の甲野善紀さんが言われているように、ナンバ歩きは体を捻らない歩きなだけで、別に右手と右足が一緒に出るわけではありません。

誤解2.江戸時代の人はみんなナンバ歩きだった

よく江戸時代の人はみんなナンバ歩きだったと言われますが、これも大きな誤解があるのではと考えています。「みんな」って誰を基準にしたみんななんでしょう。

子供が親におもちゃを買ってもらいたいときに「みんな持ってる」って言いますが、当然「みんな」は持っていません。

それは冗談として、江戸時代にはお侍さんとそうでない人たちでカテゴリー分けされています。江戸時代の風景画を見えれば、侍と庶民とでは立ち姿がまったく違うことに気づくはずです。

侍は背中の筋肉を使ってまっすぐに立ったり歩いたりしていますが、庶民は体を前かがみにして重力を利用して歩いています。立つときも膝を曲げて立っていることがほとんどです。

この両者が同じナンバ歩きをしていると思いますか?ナンバ歩きどちらもナンバ歩きをしていたとして、両者には明らかな違いがあるはずです。ナンバ歩きは2種類あったか、どちらかがナンバ歩きではなかったが正解でしょう。

町人はともかく農民の記録なんて基本的に残ってませんから。江戸時代の記録の基本は侍の世界の記述です。江戸時代の侍の割合は7%前後・・・みんなって誰でしょう?

誤解3.江戸時代の人は走れなかった

これ本気で言う人がいることに驚きです。西南戦争のときに農民中心の兵が走れなくて負けたというのがその元ネタになってますが、人間が本当に走れないと思いますか?

2,3歳の小さな子どもなんて、走り方なんて教えなくても勝手に走っていきます。江戸時代は走る必要がなかったのは事実かもしれませんが。

脊髄起立筋を使った歩き方がナンバ歩きだという根拠

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脊髄起立筋や体の背面を圧縮させる歩き方がナンバ歩きだと言い切る9割はわたしの直感ですが、一応根拠的なものはあります。多くの人がナンバ歩きについて記述するときに江戸時代の絵画を参考にしています。

そういうわたしも、江戸時代の絵は大いに参考にしています。いかんせん動画がありませんので。

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江戸ガイドというWebサイトからの出典になります。

この人たち一応ちょんまげがありますが、武士か町民かはわかりません。注目すべきは背中の筋肉です。真ん中に1本筋が入っています。お風呂に入ろうとしている人は見事な脊髄起立筋の盛り上がりです。

これだけで江戸時代の人の脊髄起立筋が発達しているというのは無理がありますが、緩んだお腹に鍛えられた背中。これはひとつのヒントになります。

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次はYouTubeのサムネイルから拝借したものですが明治初期でしょうか、大砲と書いてありますので、おそらく明治20〜30年の相撲取りの写真です。

分かる人はわかると思いますが、この立ち方は相当脊髄起立筋がしっかりしている人の立ち方です。

現代人や現在のお相撲さんはもう少し肩が前に入った立ち方をします。おそらく大胸筋などの前側の筋肉を中心に鍛えた結果ではないでしょうか。

ちなみにモンゴル系のお相撲さんは今でもこういう立ち方をしています。

少なくとも江戸時代の人たちは、体の前側ではなく後ろ側を重視しています。現代人とまったく反対です。現代人でも背中の筋トレをしている人はいますが、ついているのはアウターの筋肉だけで、見た目だけが美しくなります。

脊髄起立筋に限らず、体を連動させて使う筋肉は、ほとんどが体の内側、インナーの筋肉です。

インナーの筋肉には意識するだけでつく

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筋トレも体幹トレーニングもない時代に何で江戸時代の人たちはインナーの筋肉を鍛えられたか。答えは簡単です。常にインナーの筋肉を使って歩いていたから。これだけです。

体幹トレーニングやピラティスをしたことのある人はわかると思いますが、インナーの筋肉の鍛え方は地味です。アウターの筋トレのようにガシガシできません。

その代わり、日常生活で意識することで日常生活をトレーニングの場とすることができます。一度ピラティスや体幹トレーニングをしていた人は、トレーニングをやめても体幹が安定しているのはそのためです。

普段から使っていればインナーの筋肉は鍛えられます。

どうするか?歩くだけです。江戸時代の人もそうやって自然と鍛えていました。

ちなみにわたしは半年近く体の背面を使う走りをしてきました。なので背面の筋肉に自信があります。その結果・・・

1km歩いただけで体の内側の筋肉が悲鳴を上げました。

こんなにも使っていない筋肉があるということに驚きですが、いかに日常でアウターの筋肉に頼っていたかがよくわかります。

これを読んで「じゃあやってみようか」という人は、絶対に無理しないでください。というよりもほとんどの人はできないと思います。わたしが優れているというのではなく、それに対応できる体ができていないから。

コツを掴めば誰でもできます。最初は100mも歩けないかもしれませんが。

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取り組む前に、理解してもらいたいのは

  • ・身につけたら速く走れるようになるかがわからない
  • ・体にどんな変化が出るかもわからない
  • ・体にとってプラスなのかもわからない

ということです。

ナンバ歩きとは、体の背面の筋肉を使ってその反動を使って歩くこと。それがわたしの推論で、ここから走りにどうつなげていくかは、これからのわたしの課題です。

もし興味のある人がいたら、直接教えますので連絡ください。

これちゃんと本か何かにしたほうがいいかもしれません。わたしにできるのは電子書籍ということになりますが。それもこれも結果を出してからですね。

いまはまだ「ナンバ歩きは本当はこうなんじゃない?」というところにたどり着いただけですから。とはいえ重松流の歩き方、走り方の骨格となるものを見つけられた気がします。

あとはここから研鑽していくだけ。

せっかく10km走れるようになったのに、おかしなことに気づいてしまったので1kmの散歩からやり直しです。

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