「シューズでかかと着地をするとケガをする」という間違い

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わたしの周りには裸足系ランナーが多いため、facebookのタイムラインには昨日放送された「陸王」に関する完走のコメントで溢れていました。ドラマでビブラムファイブフィンガーズが出てきたそうで、検索数が増えた結果、このブログのアクセス数もいつもよりも多くなっていました。

「出てきたそうで」というのは、わたしはドラマを見ていないためです。「陸王」の原作も読んでいません。池井戸潤さんの小説はこれまでに一度も手にしたことがありません。

本はいつだって必要なときになって手元にやってくると思っているので、まだ池井戸潤さんの本を読むという時期ではないのでしょう。ドラマくらい見ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、わたしはもう何十年も連続ドラマを見ていません。

理由は簡単です。最初から最後まで見続けることができないからです。うちではiPadでテレビを見れますが、録画のためのHDDなどを用意していないので、録画はできません。陸王の放送だって昨日は見ようと思えば見れましたが、来週は北京にいるので見れません。

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実はドラマを見続けられないというのは今に始まったことではなく、高校時代からそうでした。アルバイトをしていたこともあり、決まった時間に家にいるということがもう20年以上もありません。そうなると自然とテレビもドラマも見なくなります。

iPadでテレビを見れるようにしているのは、震災のようなことが起きたときのためです。あとは芸能人感謝祭で森脇健児さんの走りを見るくらいです。以前はサッカーの日本代表戦も見ていましたが、最近は忘れていることのほうが多いかもしれません。

前置きが長くなりましたが、わたしは陸王を見ていません。でもなんとなくみんなの投稿からどんなものなのかは分かります。そして1つのことに憤りを感じています。

いまだにランニングのケガがシューズのせいにされているということです。知らない人もいると思いますので先に言っておきますが、わたしは裸足ランナーです。フルマラソンは18回裸足で完走しています。

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でも、ランニングシューズが大好きです。この数年のシューズの開発の進化は驚異的と言えるものがあるのを、何十足も履いて感じています。ドラマや原作では「シューズでかかと着地をするとケガをする」というようなことを言われているようですが、何年前の話なんだろうと思います。

しかも裸足系ランナーの中ではこれはもう定説となっているようです。言い方は悪いですが、こうやって人は時代の流れに置いていかれるんだなと思います。もっとも時代の流れについていく必要なんてまったくないのですが。

「シューズでかかと着地をするとケガをする」という考えの人は、きっとカルフのシューズもヨネックスのランニングシューズも履いたことがないのでしょう。最近のシューズのトレンドもきっと理解していないかと思います。

ランニングシューズは2年くらい前から、着地時の安定性というものを重視し始めました。着地したときの膝のブレをなくす工夫がされています。その最たるものがヨネックスのランニングシューズです。

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さらに大手メーカーではナイキのペガサスが、これぞ技術の粋というような完成度で、膝を守るような構造になっています。そういうシューズはゆっくり走る人向けでしょ?と言うかもしれませんが、ナイキのペガサスは、日本を代表するランナーの大迫選手や、先日来日したトラック長距離界のキング、ファラー選手も練習で履いています。

一部のシューズを除き、「シューズでかかと着地をするとケガをする」というシューズはとっくに淘汰されています。

もちろん、過去のシューズの多くがケガをしやすいものでした。でも、それはシューズのせいだけではなく、ランナーの筋力不足や、体の声を聞かずにオーバーワークしたというのも理由に挙げられます。

なぜシューズだけが悪玉に仕立て上げられなくてはいけないのでしょう。自分がケガをするのはシューズのせい?本当にそうなのでしょうか?

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裸足やビブラムファイブフィンガーズを履けばケガをせずに走れる。足袋シューズらな自分本来の走りができるようになる。そんなわけはありません。走るのはシューズではなく人間です。まずはそこをしっかりしなくては、何を履いてもケガをします。

裸足になった結果、アキレス腱を断裂させて裸足ランニングを止めてしまったという人に会ったことがあります。きっとそれは氷山の一角です。そこまでいかなくても真面目なランナーほど裸足系シューズではケガをします。

いろいろな考え方があると思いますが、頑張らないことが裸足ランニングの魅力だと思っています。地球の上を走っているのだという感覚や、シューズよりもゆっくりになるから見える景色。そういうものを大事にしています。

そして、裸足と出会ったからこそ、体の声を聞くということの意味を知りました。わたしにとっての裸足は体づくりの要素がとても大きく、裸足で速く走ろうというつもりはありません。

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今はどんなシューズであってもほとんど履きこなせるようになっています。500mも走れば、大体のシューズの走り方や、コンセプトなども感じ取れます。1kmも走ればシューズのスイートスポットもわかります。

すべては裸足があったからこそですが、裸足が万能だとは思いません。短い距離ならシューズよりも裸足のほうが速く走れると思いますが。

「シューズでかかと着地をするとケガをする」という思考停止状態で物を語ると、前回のビブラムファイブフィンガーズブームのように、時間が過ぎればこの流れは消えて、きっと皇居でつま先走りするランナーが増えるだけです。

ある程度裸足に精通した人は、もっと科学的に「シューズでかかと着地をするとケガをする」を説明したほうがいいような気がします。「自分もケガしなくなった」みたいな経験談ではなく、体の仕組みに基づいた説明。

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「ランニングでケガをしたくなければ、ソールの薄いシューズを履いてフォアフット着地しろ」というのは、「幸せになりたければこの壺を買って毎日磨け」と言っているのと大差ありません。

なぜ?という問いに対してきちんと答えられる人はどれくらいいるのでしょう。そして、そういう人はカルフやヨネックスのシューズについてどう説明するのでしょう。

もう何年も裸足ランニングは思考が止まっているように感じるのは、わたしだけでしょうか。

自分の体で試行錯誤した情報と理論的な裏付けで語るのではなく、どこかから情報を持ってきて「ほらやっぱり裸足はすごい」というのはちょっと違うかなと思います。

もちろん理論的に説明できる人もいますし、自分の言葉で語れる人もいます。

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陸王をドラマとして楽しむのは個人のことなので、いいんじゃないかと思います。かなり評判もいいようですから、大きなブームになるかもしれません。でもドラマで語られることが本当なのかと考える姿勢は忘れないで欲しい。

誰かが言ってたから正しいのではなく、自分で感じて自分で判断して正しいと感じたことが正しいんです。誰かが言っていたことが気づきのきっかけになることはあっても、後ろ盾にするべきものではありません。

ランニングシューズを脱ぎ捨てた人は、自分で考えるというのが得意な人たちだと思います。世の中の常識にとらわれない魅力的な人たちです。そうじゃなければ裸足になんてならないですよね。

だからそこで立ち止まらずに、一歩前に踏み出して自分の世界をどんどん開拓して欲しいんです。

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裸足ランニングは、わたしたちの世代ではすべてを知ることができないくらい奥が深く、無限の可能性のあるものです。昨日の常識が今日には非常識に鳴っている世界。もっと足を踏み入れてどんどん新しい発見、新しい驚きに触れてみませんか。

ランニングシューズは開発者たちの努力により常に進化を続けていること。ケガをするのはシューズのせいだけではないということ。考えることを再開すれば、きっとこのことに気づき、そしてランニングシューズで走ることも楽しめるようになるはずです。

シューズを履かないで走るなんて、糖質制限してるからお米は食べないって言ってるようなものです。そういう生き方も否定はしませんが、目の前につやつやの白いご飯と出汁の効いたお味噌汁があっても食べないなんてもったいないじゃないですか。

目の前に技術の粋を集めたシューズがあるのに、それを楽しまないなんてもったいないじゃないですか。せっかく裸足になって、それらを履きこなす力がついているのに。


陸王 著者:池井戸 潤
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