裸足ランニングでの痛みは人と比較してはいけない

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昨日に続いて裸足ランニングの考え方について説明していきます。

今日のテーマは、裸足ランニングでは避けて通ることができない「痛み」のお話です。裸足ランニングを始めて、ほとんどの人が痛みに耐えられず挫折してしまいます。

いつまで経っても痛みに慣れることができずに困っている人も多いかと思います。

まず、結論からお伝えしますが、痛みに関しては他の人との比較は一切しないでください。飯能ベアフットマラソンで上位に入るような人の走りを見ていると、痛みも感じていないように見えます。

でもそれを見て、自分も練習次第でその領域に到達するとは思わないこと。

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これを理解してもらうには、痛みについての解説が必要になるのですが、分かりやすく言えば、裸足で痛みを感じるかどうかというのは、辛い食べ物を食べられるかどうかと同種の問題だと考えてください。

世の中にはハバネロソースで調理した辛いものを平気な顔をして食べる人がいます。一方で甘口のカレーでも「辛い」と言って食べられない人もいます。裸足で痛いかどうかは、これとまったく同じ問題です。

・遺伝的に辛さに耐えられない(遺伝的に痛みに耐えられない)
・辛いからこそ美味しいと感じる(痛いからこそ楽しいと思える) 

こう書くと分かりやすいかもしれません。遺伝子レベルで辛さに耐えられないという人がいます。辛さというのは、実は痛みのことですので、同じように遺伝子レベルで痛みに耐えられない人がいます。

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激辛料理を食べる人を見て「すごいな」と思うことはあっても、真似したいとは思いませんよね。裸足ランニングも同じです。痛みにどれだけ耐えられるかは人によって違います。技術でもなんでもなく。

裸足ランニングを教える人が「上手く走れるようになれば痛くなくなる」と言います(わたしも言っていました)が、それは痛みの本質を理解していないことによる発言です。耐えられない人には、どうやっても耐えられません。

これは適正の問題で、優劣の問題ではありません。だから、裸足ランニングで痛みに耐えられなくなるのは、別におかしなことでもなんでもありません。

でも、1年間裸足で走っていれば、誰でもフルマラソンを完走できると言ったじゃないかと疑問に感じるかもしれません。

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もちろん、フルマラソンを完走するだけなら、痛みに弱い人でもまず間違いなく可能だとは思います。それは、上記で書いた「辛いからこそ美味しいと感じる(痛いからこそ楽しいと思える) 」に関係します。

辛いものが好きという人でも、ものすごい汗を流して、悶ながらも「美味しい」と言って食べる人がいます。この場合、辛さが幸福感を与えているので食べることができるわけです。

裸足でも同じです。痛みを心地よく感じるなら、長い距離でも走ることができます。痛みを心地よく感じるために技術が必要なのだと教える人もいるかもしれませんが、そんな技術は必要ありません。

辛いものを食べられるようになるのと同じです。まずは食べられる範囲の辛さから始めて、その辛さに慣れたら、辛さをワンランク上げます。最初は大変に感じるかもしれませんが、これもいずれ慣れて美味しく感じるようになります。

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もう分かってもらえたかと思いますが、裸足も同じことが言えます。裸足の練習で「痛くなったらやめる」とお伝えしましたが、痛みが苦痛になったら続かないためです。心地いい範囲で痛みに慣れていく。

これを繰り返すことで、痛みが苦痛ではなくなります。

だから毎日走るのが理想なわけです。筋力を付けるという意味では3日に1回の裸足練習で十分です。でも、痛みに慣れるという点では毎日裸足になっておくほうが慣れる時間が短くなります。

ただ、繰り返しになりますが、痛みは人によって許容量が違います。他の人よりも痛みに慣れるのが遅いからといって焦る必要はありません。そこで諦めてワラーチなどに逃げたら、裸足でフルマラソンを走れる未来はやってきません。

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ワラーチはふくらはぎなどの筋力を高めるのには役立ちますが、痛みの克服という点では何の役にも立ちません。

よくワラーチに慣れてから裸足へ移行しようと考えている人がいますが、ただの遠回りでしかありません。別にワラーチで走るのは自由ですが、そこから裸足につながる人は痛みに強い人だけです。

もっとも、裸足でフルマラソンを完走できるのが偉いわけでもなんでもありませんので、そもそも「自分は痛みに弱いからワラーチで十分」と割り切るのもひとつの判断だとは思います。

きっと本当に望んでいるのは「ケガなく楽しく走りたい」ということでしょうから。その目的を達成できるなら、わざわざ履物を手放す必要なんてどこにもありません。

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そうではなく、どうしても裸足でフルマラソンを完走したいという人に向けたアドバイスだと考えてください。

今日覚えてもらいたいのは、「耐えられる痛みは人によって違う」ということと、「痛みはある程度まで慣れで心地よさになる」ということです。痛みに関して人と比べることには何の意味もありません。

痛いと感じるのは個性です。何も恥じることではありません。

ただ、それを誰かに理解してもらおうと思わないことです。苦しみなどと同じで、自分以外の誰かに分かってもらおうとするのは傲慢な考えです。その痛みや苦しみは自分だけのもの。

痛みや苦しみは自分の中に閉じ込めて、ただ一歩を積み重ねること。


痛覚のふしぎ 脳で感知する痛みのメカニズム
著者:伊藤 誠二
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