フォアフットだけが裸足ランニングではない

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「裸足ランニング=フォアフット」だと思っている人も多いようですが、結論から言えば着地やフォームなんてどうでもいいことです。むしろ、フォアフット着地を意識している人に言いたいのは、「かかとを地面に着けろ」ということです。

これまで何度も言ってきたことですが、フォアフット着地は前足部が先に着地するだけで、つま先走りではありません。これについて説明するのは一つひとつ誤解を解いていく必要がありますの、少し長くなるかもしれません。

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まずは裸足ランニングとあまり関係ありませんが、フォアフットを語るときによく出てくる「アフリカの選手はフォアフット着地だ」という説明について。

これは半分正しく、半分は間違いです。正確には「アフリカの選手はレースペースで走るときには、フォアフットになる」です。キロ3分というペースは100mを18秒で走らなくてはいけません。これは高校生女子の100mの平均タイムです。

人によっては100mを18秒で走るのも難しいかもしれません。それくらいのペースで走るときには、自然と短距離で走るように踵が浮いてきます。彼らはフォアフットで走っているのではなく、フォアフットになっているだけです。

ですので、普段のゆっくりペースではフォアフットではなく、比較的踵に近い部分から接地します。もちろん個人差はあります。ただ、世界で最も速いマラソンランナーであるキプチョゲ選手はそうであると、ナイキの開発者に聞いています。

ペガサスターボが発売されたときに、明らかにミッドフットでの着地をする構造になっているので、どういうことなのかを質問をしたときに、「フォアフットで走っているわけではなく、スピードを出したらそうなるだけ」「フォアフットは足への負担が大きいから、普段はしない」との回答をもらいました。

ここで大事なのは2点です。

・速いペースで走るならフォアフットになる
・トップアスリートでも普段の距離走などはミッドフットになる

フルマラソンを裸足でサブ3を狙う人は別として、普通の裸足ランナーは足裏全面をペタペタさせて走るので何の問題もありません。筋力もないのに踵を付けずに42.195kmも走ったら、ふくらはぎが肉離れしますよ。

あと「アフリカのランナーはフォアフットだからフォアフットがいい」と言う人は「この走り方がナンバ走りだ」と断言する人くらい信用してはならないと覚えておくといいかと。この類の話はいくらでもありますが、また別のネタにします。

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次に、裸足はフォアフットだからケガをしないという誤解を解いておきましょう。

わたしが裸足を始めたのは膝をケガしたのが原因でした。アスファルトの上では1歩も走れなくなり、でも山に入ると走れるので、なんだろうと不思議に思っていたところで「BORN TO RUN」に出会いました。

そこで学んだのはフォアフットなら、膝を痛めていても走れるということでした。ではなぜフォアフットなら走れるようになるのか。

その理由は2つあります。

・過度なプロネーションが起こりにくく、膝に負担がかからない
・これまでと違う筋肉を使って走るため膝への力のかかり方が変わる

この2つの理由によって、膝を痛めていてもフォアフットなら走ることができます。だからフォアフットがいいと言われるわけですが、裸足ならミッドフットにしても過度なプロネーションが起きません。

現在進行形で膝にトラブルをかかえているなら、フォアフットで使う筋肉を変えるというのは有効です。でも、そのトラブルがないなら別にフォアフットで走る理由はどこにもありません。

フォアフットがNGだと言っているのではなく、ケガをしないための正解が「フォアフットで走る」だけではないと言いたいだけです。大事なことをまとめておきます。

・裸足ならミッドフットでもケガは防げる
・オーバートレーニングしなければシューズを履いてもケガはしない 

声を大にして言いたいのは、ケガをシューズのせいにしないで欲しいということ。シューズにまったく問題がないとは言いませんが、基本的には体が出来ていないのにオーバートレーニングしているのがケガの原因です。

でもこれも、裸足ランニングの走り方には直接関係ないので、またいずれ話をします。

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最後にお伝えするのは「裸足ランニングに決められたフォームなどない」ということです。

これを言うと、おそらくかなりの人から反発されます。ランニングフォームを教えてご飯を食べている人もいるわけですから。でも、裸足ランニングに限らず、ランニングにおいて「すべての人に正しいフォームはない」というのが常識です。

ランナーは1人1人骨格が違います。しかも右足と左足で足の長さが同じという人もほとんどいません。ついている筋肉も違います。筋力も違いますし、体の柔軟性も違います。足首が柔らかい人もいれば、硬い人もいます。

だから、ランナーは自分で自分に最適なフォームを自分で見つけなくてはいけません。

なのに、裸足ランニングだけ決まったフォームがあるなんてことが成り立つわけがありません。裸足ランニングを普及させていく段階で、共通の走り方レクチャーなどがあったのは仕方のないことです。

よく言われているのが、「直立した状態で体を前に倒して、重力を使って前に進む」という走り方ですが、それが適している人もいれば、適していない人もいます。

すでに知っている人もいるかも知れませんが、わたしはそれとは真逆に体を後傾にして走ります。裸足ランニングを教えている人がそれを見たら、きっと「前傾にしたらもっと走れる」とアドバイスをくれると思います。

でも、そんなわけありません。

わたしは自分には後傾のほうがスムーズに走れると気づき、後傾で走るためのカラダづくりをしてきました。瞬間最大速度としては前傾にしたほうが速いかもしれませんが、自分の体に合っていない走り方で長い距離を走ればケガをするだけです。

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よくあるのが「こう走ったら足裏が痛くなくなる」というものです(かつてのわたしのことです、ごめんなさい猛省しています)。確かに足裏への負担が軽くなるフォームはあります、でもフォームを変えるというのはそんな簡単な話ではありません。

身体を作り変える作業をするので、年単位で行わなくてはいけません。しかもその走り方が自分に合っていなければ、そこからケガに繋がります。

裸足ランニングにおいて理想のフォームは1人1人違います。裸足ランナーは真面目な人が多く「これが正しい」と言われると、それをそのまま実践しようとします。

参考にするのはいいことですが、その正しさは自分にとって必ずしも正しいわけではありません。

じゃあどうすればいいのか?

どうする必要もありません。毎日裸足で走っていれば、自然と自分に無理のないフォームに落ち着きます。大事なのはそうやって作り上げた自分の走りを信じることです。

周りに何を言われても気にする必要はありません。自分の体のことは自分しか分からないわけですから。「フォームなんて気にせずに、好きなように走る」これが裸足ランニングの基本中の基本だとわたしは考えています。

フォアフットやミッドフットなんて気にするのではなく、自分が心地よい走り方を探し出してください。せっかくシューズを脱いで自由になったのに、フォームという檻の中に自ら入っていく必要はありません。


BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”
著者:クリストファー・マクドゥーガル
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