南横ウルトラマラソン完走レポート「ハダシスト×メディフォーム」

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南横ウルトラマラソン60kmを走ってきました。

会場である關山(関山)までの電車移動中、南横ウルトラマラソンに誘ってくれた出口くんが「60kmを6時間以内で完走したら入賞あるんじゃないですか?」との不用意な一言。

わたしは走り終えて東京に戻らなくてはいけませんでしたので、余裕を見て6時間での完走を想定していました。ところが、数日前にホームページチェックすると累積高低差が1200m以上(結果的には2300m以上)なるとのこと。

早めに帰らなくてはいけないのと、もう100kmは走らないと決めたのもあって60kmでエントリーしましたが、往復コースで1200mということは、30kmで1200m上がる計算になります。

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6時間はちょっと…と思ったものの帰国を考えると、少なくとも目標だけでも6時間設定にする必要があります。ただ、この時点では裸足も視野に入れていました。台湾は裸足天国でものすごい数の裸足ランナーがいます。

今回も100kmに5人以上の裸足ランナーがいました。そういう人たちとの交流も兼ねて裸足を考えていたわけです。でも「入賞もあるかも」の一言ですべてが覆ります。

いろいろ調べてもらった結果、「入賞は10位まで」「昨年は6時間で走れば入賞している」とのこと。どうせ6時間で帰ってくる必要がありますので、その時点でメディフォームを履くことを決意しました。

台湾にメディフォームを持って行ったのは、ウルトラマラソン用のシューズで手頃なものがなかったというだけのことです。このシューズでテクテク走ればなんとかなるかなと。

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ちなみに5時間前半なら3位以内に入ることもできるとか。ただ、そのタイムで走るにはメディフォームでは不安でした。これまで何度も履いていますが、水戸街道ランのような旅ランやリカバリーランだけです。

わたしの中ではキロ6分よりも遅く走るシューズという位置づけなので、それよりも少し無理をしなくてはいけません。

ただ、やると決まったらシューズを信じるしかありません。キロ5分は無理でもキロ5分30秒で走らなければ後半のバテを考えると入賞は難しそうです。少なくともスタートから5kmくらいまでは10位前後にいたいところ。

でもわたしは、久しく「レース」をしていません。駆け引きや位置取りなどはまったく分かりません。そもそも60kmという距離のレースが初めてです。とにかく無理のない走りをして後半につなげるくらいしか考えられません。

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60kmのスタートは午前7時。5時に100kmのスタートを見送るために3時30分起床。前日は台湾のランナーに大歓迎を受けて、起きて何度もトイレに行った結果、完全に脱水状態です。

スタートをしてわりと早い段階で「今日は自分の日ではないな」ということが分かります。スピードに乗れず、あっという間に15番手くらいに落ちましたので、とにかく順位よりも6時間以内のゴールを目指します。

無謀な挑戦はしないというのがハダシスト流。60kmのレースの序盤に無理をしていい結果につながるわけがありません。

コースはひたすら上りという予想に反して、アップダウンを繰り返しながら標高を上げていきます。このためペースが安定しませんが、なんとかキロ5分20〜35秒を維持します。

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メディフォームは予想通り、それ以上のスピードを出そうとしてくれません。もちろんわたしの走力が低いだけですが、アディゼロジャパンやズームフライのような「俺が走らせてやるから!」というノリにはなってくれません。

傾斜が厳しくなる前に時間の余裕を稼いでおきたかったのですが、とてもそんな状況ではなく、とにかくメディフォームの機嫌をうかがいながら慎重に走ります。

厳しい上り坂に入って、100kmを先頭で駆け下りてきた出口くんとすれ違ったときには11〜12番手。すでに太ももが張っていたので、「あとは抜かれていくだけか」と思いましたが、どうやらそれは他の選手も同じようです。

上り坂で歩いている選手をパスしていきます。ただ、一方的な上りではなく、アップダウンがありますので、上りで抜いて、下りで抜かれるを繰り返します。下り坂では他のランナーは下りはキロ5分以下でしたが、わたしは5分30秒近くかかります。

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ただし、スピードが出ないものの着地はとても安定しています。これは水戸街道ランのときも感じたことで、メディフォームの魅力のひとつです。

そもそもウルトラマラソンは、下りでいかにブレーキを掛けずにするかが重要です。でもスピードが出ると足への負荷が高くなり、後半歩くしかなくなります。

30kmを超えた先に折り返しがあり、この時点では10位。欲を出したいところですが、不要なペースアップは避けます。折り返しですので、後ろのランナーがわりと近いことが分かり焦りますが、ここは我慢。

南横ウルトラマラソンは30kmが最高標高なのですが、コース設定の都合で、そこから1.5kmくらい下ります。下って折り返したら上り。わたしはハダシストですので、基本的に上り坂は得意です。

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ここで歩いているランナーやスピードが落ちたランナーを1人ずつ拾っていきます。最高到達点に戻ったときには8位でした。ここから下り基調ですが、目まぐるしく順位が変わります。

先にスタートした100kmのランナーも混ざり、エイドでの給水などで誰にどう抜かれたのか、まったく分からない状態になってしまいました。8位から9位に落ちたところまでは分かっていましたが、そこからはまったく分かりません。

40kmを超えたあたりから、熱中症の症状が出始めます。スタート時に脱水していたので、こまめな給水をしていましたが、それにも限界があります。エイドは3kmごとにありますが、そこからは氷をかぶったり、水をかけたりして体を冷やします。

その瞬間は回復しますが、しばらくするとペースも落ちますし思考能力が低下します。

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もっとも冷やせば回復するならこれは明らかに熱中症であって、筋肉疲労ではありませんし、エネルギー不足でもあります。

エイドではトマトしか食べておらず、エネルギー不足が心配でしたが、今日はあまり食べるべきではないと体が言うので、できるだけ体脂肪を使った走りを意識していました。ちなみにエイドには餃子や麺類がいっぱい。

あぁ食べたかった…でも食べて失速が一番嫌だったので仕方ありません。

ここまでは、すれ違う台湾人と「加油!」「頑張って!」のやり取りをしていましたが、100kmの人はそこから折り返しになるため、ここからは60kmのランナーだけです。

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いや、完全に孤独ランです。周りに誰もいません。台湾の田舎道を河童ただ1人…

見通しのいい道に入り、遠くにランナーの姿を見て安心したものの、そこまではどうやっても届きそうにない絶望的な距離。でも9kmならコツコツ走るだけです。多少歩きを入れていますが、ここにきてメディフォームの効果が出てきます。

「思ったよりも足が生きている」これが正直な感想です。

ただし、調子に乗っていいほどは残っていません。軽いめまいと吐き気により、下りは走って上りは歩いたり、スピードを落としたりしていたら、後方から力強い足音が聞こえます。

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「あぁここで順位を落とすのか」「これで11位とかだったら悔しいな」そんなことを思って、並ばれたときに視線を横に送ると、そこにいたのは女子選手。

今回のレースでひそかな狙いとしては、女子の1番には負けないということがあったのですが、ここで脆くもその目標が崩れ落ちます。でも順位は落ちていないと気を取り直していたら再び足音。

今度は男子ランナー。一気に抜かずに、わたしの後ろにぴたっとつきます。「疲れてる?」そう思っていたら、下り坂になったところで、一気に引き離されました。

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残り3km。

なんとか6時間以内の完走は見えてきましたが、入賞しているかどうかは分かりません。とりあえず、ここからは残った集中力をすべて使います。簡易的なゾーン状態を意識的に作り出して、とにかく前へ前へと進みました。

そうすると残り2kmの地点で、かなり前方にいたはずの選手に追いつきます。1人抜いたところでどうなるかは分かりませんが、そのまま集中力を切らさずに追い抜きます。

その瞬間「加油!」の声。

抜き去ったランナーが「さぁ行って来い!」とわたしの背中を声で押してくれました。あやうく涙が流れそうになりましたが、その声をムダにするわけにはいきませんので、集中力をさらに高めます。

ここにきてキロ5分10秒の好タイム。

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頭の中が真っ白になりましたが、ゴールまで一気に駆け抜けました。

5時間50分51秒

ゴールテープを切ったときの気持ちよさ、そしてなんとなく「8位」と言われたような気が…はっきりとは分かりませんでしたが、台湾人の仲間が「入賞おめでとう」と言ってくれます。

ただ、そのときのわたしは写真にあるように完全にグロッキー状態でした。

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ランニングでここまで自分を追い込んだのは、リタイア寸前まで追い込まれた飛騨高山ウルトラマラソン以来かもしれません。疲労感はそのときの倍以上ありましたが。

まだ順位は分からなかったものの、同じようなタイムで走った台湾人と握手や記念撮影をしたり、仲間の台湾人があれこれお世話してくれたりしている間に、表彰式が始まりました。

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名前を呼ばれて自分が本当に入賞したのだということを実感しました。

第8位。

6時間以内に走ればいいやというノリで南横ウルトラマラソンに乗り込んだのに、なんと入賞して表彰までしてくれるというおまけ付き。台湾人の仲間は自分のことのように喜んでくれます。

大会に誘ってくれただけでなく、入賞の可能性を教えてくれた出口くんには感謝しかありません。最後まで駆け抜ける足を残してくれたメディフォームにもただただ感謝。裸足だったら6時間どころか7時間もあやしいところです。

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ただ、そのあと出口くんがぶっちぎりの1位で優勝し、一緒に参加した女性ランナーの能勢さんも優勝したことで、わたしの入賞なんてあっという間に霞んでしまいました。

華のない人間なんてこんなもんです。でも小さいながらも台湾に爪痕を残してきました。

ここまで自分を追い込めたことはかなり楽しめました。来年も参加できるのであれば、ぜひ走りに行きたいところ。100kmは嫌いなので、来年の目標は60kmで5位以内と女子に負けないこと。

でも、本当に楽しかったのはレースよりも現地の人たちとの交流です。

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前々日からずっと美味しものを食べさせてくれた台湾の人たち。關山でもVIPのようた待遇をしてくれました。ここで受けた恩を返す方法が見当たらないほどの歓迎でした。

これを返す方法があるなら、来年もまたやってくるしかありません。できれば日曜日にスケジュールを入れないようにしたいところですが、大山登山マラソンと重なったら…もちろん戻ってきますがタイムは期待できないかな。

いずれにしても、大満足の南横ウルトラマラソンでした。

しばらく走りたくないけど…南横ウルトラマラソンの翌日は彩湖リレーマラソン。5km自己ワーストのタイムになるのは確実です。


もっとオモシロはみだし台湾さんぽ (散歩の達人POCKET)
著者:奥谷道草
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