新潟シティマラソン完走レポート〜裸足で走る理由〜

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初めての新潟シティマラソン。ただ、気負いはまったくなくむしろ緊張感がまったくない前夜。へぎそばを食べて、そのまま宿に戻ればいいのに、繁華街をウロウロしてビールを呑んでしまうという体たらく。

滞在時間が短いのもあって、できるだけ長い時間楽しみたいなと。

ただ、宿泊したゲストハウスの寝床が暑いのと、慣れない柔らかい布団に苦戦して、かなり眠りの浅い夜になりました。でも睡眠時間とレースのコンディションはそれほど関係ありません。

少なくともフルマラソン中に眠くて寝てしまうなんて失態は過去に1度もありません。

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さて新潟シティマラソン。スタート会場のビッグスワンスタジアムに到着して、いきなり嫌な予感が。スタジアム周りの舗装がすべて小さな凹凸があり、裸足で歩くのにも適していない状態でした。

もしやこれは、雪国特有の積雪対策なのか。そう思うと、これからのコースも同様に走りにくい路面になっていることが容易に想像できます。ただ、見えないもを不安がっても仕方ありません。

いつもどおり最後尾スタートを狙いましたが、並び方がよく分からないのでとりあえず、指定のFブロックの最後方に入ります。でも、なぜかそこにはGブロック以下のランナーさんも。まぁそれはいいとしましょう。

他人は他人、自分は自分。少しでも前に行きたい人もいるのでしょう。「完走したらプロポーズしよう」と人生の一大決心がかかっているのかもしれません。

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今回のレース展開としては、最近取り入れている14kmごとの3ブロックに分けて考える走りを予定。いつもと違うのは、音楽を聞くのは最初と最後の14kmだけ。真ん中の14kmは自分の呼吸に集中して走ることにしました。

これは、『限界を乗り超える最強の心身 チベット高僧が教える瞑想とランニング』を読み終えて、気づいたことを取り入れようという試みです。それが何を意味するのかは順を追って説明していくとしましょう。

まずはスタート。ビッグスワンスタジアムの出口が絞られている状態ですので、ウェーブスタートにしているのにも関わらず、第2ウェーブの真ん中あたりで、スタートラインを越えるのに約6分もかかりました。

そして、コースに出てみると、こちらもコース幅が狭く、他のランナーとの距離感が近すぎて、少し強引にしないと抜いていくことができません。わたしはタイムを気にしていないので、流れに合わせようとします。

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ただ、いつもよりも筋力があるぶん、軽く走ってもスピードが出ます。すぐに前に引っかかるので、そこでスピードを落として、無理のない範囲内で抜いていきました。

最初の1kmは7分22秒。まぁこんなものでしょう。5時間くらいで完走できればいいかなというのがわたしの計算ですから。

この渋滞は10km先のファンランとの分岐まで続きます。この時点ではまだ音楽を聞きながら走っているので、焦る気持ちもまったくありません。むしろ、余裕のあるペースに自然と笑みがこぼれます。

10kmでファンランと離れてからはペースが徐々に上がります。路面も想像していたほどの悪さではなく、あえて白線の上を走る必要もありません。そして14km地点で音楽をオフにして、自分の呼吸に集中します。

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このとき大事なのは「考えないこと」です。とはいえ、瞑想の経験もないわたしは、何度も何度も思考があちこちに飛びます。これでも以前よりは上手くなりましたが、本当に身につくには2年はかかります。

思考があちこちに行くたびに、呼吸に集中するように心をコントロールします。地底トンネルを抜けた先で路面がやや粗くなってきましたが、ここで何度も自分に言い聞かせたのは「痛みは問題ではなく、痛みを感じる心に問題がある」ということです。

これも『限界を乗り超える最強の心身 チベット高僧が教える瞑想とランニング』の著者である、チベット仏教の高僧の教えです。マラソンはどんな形でも痛みや苦しみがやってきます。

問題はそれが発生することではなく、それをきちんと受け止めてコントロールできない自分にあると彼は言います。

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レースを走っているからか、なぜか練習中よりも集中力が高く、この時点では痛みをしっかりとコントロールできています。ここからしばらくは6分/kmを切るペースを維持してきていますので、集中するというのがいかに大事かが分かります。

ただ、集中するというのが本来の目的ではありません。その先にある周りのランナーや応援する人たちと、走れることの喜びを共有できる自分になることが大きな目標です。その前段階としての集中ですから、他のランナーの足音や息遣い、遠くに聞こえる波の音を感じようともします。

それが上手くハマったときは、とにかく走るのが楽しくなり、どこまででも走っていけそうになります。ただ、まだ自分のものになっていませんので、集中力が時々切れてしまいます。

それでも沿道のちびっこから「頑張って」の声をもらうと、背筋がピンとして思考が戻ってきます。

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そしてあっという間に14kmを走り終えていました。3分割にしてからこれほど上手につなぎの14kmを走れたことはありませんでした。あまりにも上手くいっていたので、そのまま継続しようかと思ったのですが、これは実験のようなもの。

できるだけプラン通りにしなければ、次回以降に活きてきません。

ただ、鬼門はすぐにやってきました。30kmまではまだ走れる路面でしたが、河川敷コースに入ってからは、路面はさらに粗くなり、1歩着地するたびに激痛が脳天まで突き抜けます。

こうなるとどうにもなりません。痛みが引くことはありませんし、ここからはただのガマン大会になってしまいます。

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それでも大失速はしたくないので、6分30秒/kmよりも遅くならないようにもう一度集中力を高めます。そのために、また音楽を止めて自分の呼吸に集中します。

そして河川敷に入って応援する人たちが増えてきましたので、できるだけ痛そうな顔にならないように気をつけます。「大丈夫?」の声には「全然大丈夫です!」と強がり、むしろそこから加速します。

残り5kmくらいになったところで、少し無理すれば4時間30分以内のゴールができることに気づきました。

気づいたならそこを目指すのが男です。無理しても無理しなくても5分と変わらないのですが、ここで安全側を選べるほど大人ではありません。やるなら全力を出し切りたい。

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残り4kmになったところで、集中力のギアをもう1段上げます。ただし音楽のスイッチはオンにしました。無理をするならどこかで冷静さを保てる要素を残しておきたいから。

実はこの時点で左足首に違和感がありました。新潟のあれた路面を裸足で走ってきたことで、どこかで逃げるような着地をしていたのでしょう。足裏の痛みは無視をしてもいいのですが、足首はやっかいです。

足首がNGだった場合に、ちゃんと止まれる自分でいるために音楽をかけたわけです。

ゴールが近づくに連れて、徐々に沿道の声援が大きくなります。裸足であることに気づいた人たちが、全力で応援してくれます。この日はいつも以上にその声が体に沁みてきます。

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脳は完全にゾーンに入った状態。声援はいまだに耳に残っていますが、目の前の映像は断片的にしか覚えていません。そして、そのとき気づきました。わたしはこの一体感のためにマラソンを裸足で走っているということを。

フルマラソンをシューズで走ったら3時間30分。裸足で走れば4時間30分。裸足はシューズよりも1時間も多く、周りのランナーと喜びや苦しみを共有できます。

しかもシューズでいくら速く走ったって声援はもらえません。裸足のカッパはピンポイントで自分への声援を感じることができ、その声援が自分の集中力を高め、自分の限界を超えさせてくれます。

これはマラソン大会でないとできない経験です。人生においてどんな瞬間よりも心地よく、そして自分が幸せであることを実感できる瞬間がマラソン大会にはあります。

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「このために走っている」。それは少し傲慢な考え方ですが、喜びは間違いなくそこにあります。

4時間27分37秒。

正直言えばもう30分は走っていたかったのですが、力を出しきらずにゆっくり走るというのはまた違います。どんなときだって全力は尽くさなくてはいけません。必死のパッチだからみんなが声援を送ってくれます。

だから、4時間30分というのが今のわたしが楽しむために与えられた時間なのでしょう。

5時間で走っていたらきっとここまでの満足感は得られなかったと思います。4時間30分を超えてもいいやと思っていても同じです。出せるものをすべて出して、その壁の向こうに挑んだことが大切です。

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それを自分のこととするのがシューズランですが、裸足で走れば一期一会とはいえ多くの人と繋がっていけます。それをこれまで以上に強く感じた42.195kmでした。

あの路面の荒れ具合を知ってしまうと「また走りたい」なんて簡単には言えませんが、路面の厳しさでいえば鹿児島マラソンのほうが1枚上手です。美味しいものがいっぱいあるという意味でも新潟という地も侮れません。

えぇただ新潟に美味しいものを食べに行きたいだけですが、新潟シティマラソンがそのきっかけになるなら、それはそれでありかなとは思います。あの全力での声援との一体感をまた味わえると思うならなおさら。

ただ、来年もすぐに走るとは言えません。マラソン大会の出場はこれからかなり減らす予定ですので「連れて行って」「一緒に行こう」と言われれば断る理由はどこにもありませんが。

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来シーズンの予定までいま考える必要はありません。はっきりとしているのは、また走りたい大会が1つ増えたということ。RUNNETの評価は去年以下ですが、「来年もまた走りたい:56点」「気持ちよく走れました:57点」みたいなコメントが多数。

いろいろ足りない大会ですが、また走りたくなるんです新潟シティマラソンは。


限界を乗り超える最強の心身 チベット高僧が教える瞑想とランニング 著者:サキョン・ミパム 楽天ブックス:限界を乗り超える最強の心身 チベット高僧が教える瞑想とランニング [ サキョン・ミパム ]

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