UTMF/STF2014サポート参戦記〜サポートすることで学んだこと〜

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自分で走りたいかと聞かれると、素直な返事としてはNOだ。UTMFにしてもSTYにしてもわたしの想像をはるかに上回る厳しいものだった。途中のエイドステーションでは誰一人として余裕のある表情ができない。何かと向き合う修行僧のような佇まい。とてもそちらの世界には行けそうにもない。でも、STYやUTMFに出れるチャンスが転がってきたらどうするだろう。走ってみたいという思いと、これは無理だという思いが交錯する24時間だった。

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今回サポートするSTYのスタートはこどもの国。サポートするのはアメリカからやって来たKiyokoとVinh。Kiyokoは2012年の万里の長城マラソン女子の部のチャンピオンだ。彼女と知り合ったのも万里の長城マラソン。その後、神戸マラソン・大阪マラソン同時開催で再開し、彼女のお母さんには京都マラソンの応援にも来てもらっている。2人はトレランの本場ともいえるアメリカでもまれているので、実力は間違いない。

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ただVinhが来日直前に職場で足をケガしてしまい、とても走れるような状況ではないとの連絡を受けていた。この時点でサポートがただの応援ではなくなってしまった。まず、Vinhがリタイアすることも想定しておかなければいけない。どの可能性を頭で何度もシュミレーションしながらわたしは静岡に向かった。

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初めて来たトレラン大会の会場。フルマラソンの張り詰めた空気とはまったく違う。間違ってもアップなどしている人はいない。いかにして無駄な体力を消耗しないかということをみんながわかっている。開会式で多くの人が座っているのも異質だったが、合理的な判断ではある。KiyokoとVinhはリラックスしているように見える。

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スタートを見送って、最初のエイドは西富士中学校。ここで最初の洗礼を受ける。車を停めることができない。駐車場のスペースがまったく足りていないのだ。ほとんどの人がスタート直後に急いで次のエイドに向かった理由がわかった。のんびりラーメンを食べている場合ではなかったのだ。

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なんとか車を停めて、二人を待つ。ウォーターステーションの粟倉での2人の通過タイムはほぼ同じ。Kiyokoが合わせているのか、Vinhが頑張っているのか。

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最初にエイドに着いたのはKiyoko。そこでVinhがリタイアを決意したことを聞かされた。想定はしていた。Kiyokoを送り出し、ひたすらVinhを待つ。関門の16時に間に合うだろうか。間に合ったらやっぱり走りに行くと言うのではないかと思っていたが、エイドに飛び込んできたVinhはの口から出たのは「No more」だった。残念ながらここで彼のSTYは終わった。ベストのコンディションであればと思わずにはいられないが、スポーツにタラレバはない。この後から本格的なトレイルになると思うと懸命な判断。

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そこからわたしとVinhの二人体制でのサポート隊となった。

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次のエイドステーションは麓。ここでさらなる想定外が発生する。駐車場に余裕があるものの、どれだけ待ってもKiyokoがやってこない。この大会はランナーズアップデートというシステムがあり、チェックポイントの通過時間と次のエイドの到着予想時間がわかるようになっている。ただ、その時間になっても来ない。そこから1時間経過、2時間経過…エイドにいる人たちのタイムを見てみるとほとんどの人が予想時間よりも遅れている。この区間は最大の難所と呼ばれているので、実際にものすごいコースということなのだろう。

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ようやくエイドに入ってきたKiyokoをVinhがサポートする。パートナーがそばにいる、最高のサポートだろう。いつもの自分を取り戻せることができる。Kiyokoのすごいところはすべてのエイドにおいて一度も座っていないということ。エイドに長居することはなく、栄養補給が終わればすぐエイドを後にする。経験者からは学ぶべきことが多い。

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次のエイドは本栖だったが、その前にVinhとサポート隊の補給。アメリカ人は何を食べれて何を食べれないのかわからなかったが、ガストに連れて行くのはどうかと思い、結局魚料理のお店へ。悩む必要はなかった。Vinhは生魚もいくらも食べれる。お味噌汁を「落ち着く」と言って食べてくれる。行った先の国のものを何でも食べる。世界中を駆けまわるランナーにとって必須の条件なのかもしれない。あとから聞いたが好物はラーメンらしい。

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結論からいえば、本栖でのエイドは失敗に終わる。ランナーズアップデートの到着予定時間よりも30分早くエイドに向かおうと車で仮眠を取っていたのだが、いざ向かおうとしたときに電話が鳴り、すでにエイドに着いたとのこと。ここも駐車場が足りず、1キロ近く離れた場所に停めていたわたしたちはこのエイドでのサポートを諦めるしかなかった。そもそもエイドの中もごった返し状態で、行けたところでまともな対応はできなかった可能性もある。

次のエイドの鳴沢ではサポート不可のため、本来ならここでサポートは終了となるのだが、さすがにサポートのミスをした状態では終われない。というわけで鳴沢のエイド手前にある駐車場で待機。そこは数少ないロードで国道沿いを走るエリアなので、そろそろ来るかなというタイミングでわたしは逆走することにした。気温が低すぎてとても待っていられなかったという理由もある。それよりも、いつ来るのかわからない状態というのは待つがわにとっても厳しいのだ。

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逆走しながらランナーたちに声をかける。寒さで手がかじかんで補給食の口を開けられない人もいれば、GPSの電池切れで、残り距離がわからなくなっている人もいる。みんながみんな消耗している。残り距離は15キロ程度。少しの間だけKiyokoと並走する。眠さがかなりつらいらしい。彼女の想定外は時差。時差と疲労で訳がわからなくなりそうなぐらい眠いようだ。それでも判断は冷静で、ロードで無理に飛ばさずに、最後の山にむけて力を蓄えながら走っている。

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結局彼女のGPS時計の電池も切れ、鳴沢エイドでVinhの時計と交換。やっとサポートが役に立った瞬間。やはり距離がわからない不安は大きいらしい。そして何よりも大切な人のものを身につけて走ることで彼女に力を与えてくれたのだと思う。

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ゴールまでの最終ゾーンを彼女はかなりのハイペースで走っている。実際にゴール手前のラストスパートにわたしは全然ついていけない。感動的なゴールよりも、最後の一滴までエネルギーを使い果たそうという姿勢。Vinhがいたむ足で必死にKiyokoについていく。そして二人でゴール。すばらしい瞬間だった。20時間のなかで、走った人にしかわからない思いがある。本当にきつかったと思う。それを近くで感じられたことで、多くのことを感じ学ぶことが出来た。実践できるかどうかは別として。

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万里の長城マラソンに向けてものすごく意義のある時間を過ごせた。とにかくいまは眠いのだけれども、そこで感じたことをどうしても今日、書いておきたかった。だらだらと長文になってしまって申し訳ない。ただ、しばらくはUTMF/STYネタが続くかもしれない。まだまだ伝えたいこと、自分の中で消化したいことがあるのでしばしお付き合いを。

 

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