「第10回 隠岐の島ウルトラマラソン」ウルトラマラソン初リタイアから学んだこと

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「麓の太った豚になるな、頂上で凍えて死ぬ狼になれ」71.2km地点、この次の関門突破がほぼ不可能になたっときわたしの頭にこの言葉がよぎった。幻冬舎代表取締役社長、見城徹の言葉だ。ここでリタイアしたった誰かが責めるわけではない。賢い人はきっとここで走るのをやめるのだろう。ただ、わたしは太った豚にはなりたくなかった。

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スタートは午前5時。隠岐の島の朝はすでに明るい。宿を出るときに降っていた雨はスタート時にはほとんど気にならない程度に変わっていた。絶好の裸足日和。地面が濡れているため、足裏の熱を奪ってくれる。足裏ができていない人の場合は最悪のコンディションになるが、少なくともわたしには最高のコンディションだった。

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スタートから6分/kmで入り、ゆっくりとペースを落として7分/kmに。一緒に走っていたホテルの同部屋だった人と最初の坂道で別れ、そこからひとり旅。わたしは裸足なのでどう考えても下りでスピードが出ない。ならば得意なはずの上りで頑張るしかない。いや、裸足なら頑張らなくても上っていける。

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周りがほとんど歩いているような状況でもわたしはぐんぐん上れる。ただし、下りでガンガン抜かれる。先々週の飛騨高山ウルトラマラソンで下りが得意になったつもりだったが、それはあくまでもランニングシューズを履いた場合。裸足でスピードを出し過ぎると足裏が一発でアウトになる。ただ、ブレーキを掛けても足裏は消耗してしまう。

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周りのランナーと抜きつ抜かれつ…だったのは35kmぐらいまで。徐々に足裏が痛み始める。上れるが下れない。下りのスピードが歩くよりも落ちている。もうこうなったら何をしているのかわからない。44km地点でわたしはビブラムを履くことを決断した。この時点で実質わたしの隠岐の島ウルトラマラソンは終了となる。

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だが、ここまできたのだから行けるところまでいくべきだろう。

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50km過ぎで50kmの部と合流する。ところが50kmの部はコースの都合で一度100kmと離れる。その結果、ゲストランナーの川内優輝さんに2度抜かれる。1300人の参加者の中で川内さんに2度抜かれた数少ない人の1人になってしまう。記念となたっと言うべきか、ショックというか。ただ、彼の走る姿を目の前で見れたのは純粋に嬉しい。

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この後、足裏の痛みがひどくなり腹筋も使い果たしてほとんど走れない状態に。しかも足裏をかばってしまったことで左膝が痛み始める。もはや手のうちようがないが、なんとか60kmの関門を抜け、71.2kmの関門に辿り着いた。正直、ここに到着するまではこの場所で終わりにするつもりだった。

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そこで文頭につながる。関門に引っかかったのではなく、自らストップしてしまうとわたしは麓の太った豚になってしまう。無理だとわかっても限界の先の景色を見に行くべきだろう。ダメかどうかは挑戦しなければわからないのだ。凍えるとわかっていても頂上を目指すべきだろう。こういうマラソンでの経験が日々の生活にも大きく影響を与える。

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こうしてわたしは77km地点で関門にひっかかりリタイアとなった。無理して走ってしまったから膝の痛みも悪化したし、両足の甲もひどく傷んでいる。頭のいい人にしてみれば愚かな行為なのだろう。でもわたしは後悔していない。戦ったものだけが敗者になれる。この痛みは戦った証拠でもある。

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とはいえリタイアしたことには違いない。何もかもわたしの練習不足からきたもの。環境を変えなければいけない。もっと厳しい環境で鍛えなおさなければわたしのランナーとしてのプライドは取り戻せない。強く胸に刻みこんだこと。日々の生活も麓の豚となってしまったいまを変えることを決意した。

そして隠岐の島ウルトラマラソンに戻ってこれるなら、いまのわたしとは違う姿でスタートラインに立つことを誓った。

 
 
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