満腹台湾珍道中「台南の夜は終わらない」編

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知らない土地に行ったときに、美味しいものにたどり着くにはどうすればいいか。これだけデジタル化が進んだ社会においても、その答えはもう何百年も変わっていない。

そこで暮らす人に美味しいお店を教えてもらえばいい。それだけだ。

万里の長城マラソンを毎年走ってくれる、もはや参加者と言うよりは万里の長城マラソン仲間と呼ぶべき人がいる。昨年の台北マラソンの前日にその仲間と一緒に食事をしたときに連れてきたのが台南で暮らす恋人。

会ったのはその1回だけだが、facebookでつながっているおかげで、お互いのことはそこそこ知っている。台南に行くならあたり前のように頼ることになる。台湾に行くちょっと前に連絡して、美味しいお店を教えてもらうだけでは飽き足らず、「一緒に食べよう」と誘うデリカシーのない男。

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彼女は上司との食事をほっぽり出して、わざわざこちらに合流してくれることに。申し訳ないと思う反面、自分の仲間と繋がってもらえれば面白いし、何よりも注文も全ておまかせしたほうが美味し物にありつける。

なにせ、これから食べに行くのは台湾火鍋のお店「小濠州沙茶爐中山店」。

火鍋は好きなのだが、いつも注文で迷ってしまう。量がわからないし、そもそもメニューが読めない。実際に注文してもらったのは、日本にはない野菜ばかり。そして言うまでもなく美味しい。

台南の料理は台北と比べてどことなく甘い。甘みとコクが強い感じがするのだが、基本的には素材の味を最大限に活かしているので、くどさがなくていくらでも食べれてしまう。

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「このあと夜市に行くから腹8分目で」
「いや8分目なんて無理!」
「とりあえず満腹にして後から考えよう」

後先考えないのが旅の醍醐味だ。後のことなんて後になってから 考えればいい。もちろんたくさん食べるための言い訳だ。とにかく野菜もお肉も美味しくて箸が止まらないのだ。

そして薄味の台湾ビールが、水のように消費されていく。お昼はお酒が置いてなかったのと、このお店のシステムとして、ビールは自分で冷蔵庫に取りに行って、最後に精算するため、店員さんを呼ばなくてもビールを飲める。台南のダメ人間製造システム。

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もっともこんなにもビールを消費しているのは、わたしたちのテーブルくらいだ。テーブルはすべて満席で、家族連れが多いからか、ビールを飲んでいる人たちはそれほど多くない。そもそも台湾では食事中にビールを飲んでいる人はかなり少ないイメージがある。

食事も美味しいのだが、実際に台湾で暮らしている人と話ができるのだから、話が盛り上がらないわけがない。しかも彼女は日本で育ったということもあり、日本語も普通に話すことができる。

わたしは幸運にもそういう人に出会えていたわけだが、台湾人と知り合うのはそれほど難しいことではない。

日本に来ている台湾人に話しかければ、すぐに友だちになれる。中国人との違い?そんなもの気にする必要はない。中国語がわからない?没問題。困ってそうならできる範囲で手を差し伸べればいい。

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あとはfacebookでつながっておけば、台湾に行くときに「今度行くよ」のメッセージを送れば濃密な時間を過ごせることを約束しよう。

そういう友だちを世界中に作ることができる時代。ほんの10年前では考えられないことが現実となっている。これを活かさない手はない。旅の知恵は時代とともに変化していく。

きっと10年後には自動翻訳で言葉の壁すらなくなっている。

これから花園夜市に向かおうというのに、苦しくなるくらい満腹になりお店を後にする。散々食べて2000円以下。食事時間だけ台南に移動できる魔法の扉、誰か作ってくれないものか。

外の天気はやや強めの雨。それでも台南に来て夜市に行かないのは、本当の意味で台南に来たことにはならない。タクシーにぎゅうぎゅう詰めになって花園夜市へ。

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さすが台湾の夜市。雨でも開催中……規模は普段の1/3以下だが。かなり大きめの広場の1/3くらいしかお店が出ていない。当然お客さんもポツポツいる感じで、華やかさはないのだが初めての夜市はいつだってワクワクが止まらない。

悲しいかな胃袋はもう何も欲していないと思ったら、入って数分で買い食いが始まる。

おいおい君たちの胃袋は宇宙なのかい?

あれもこれも食べたいのだが、雨がときおり強く降るため落ち着いて食べることができない。足はすでに靴を履いている意味がないほどのずぶ濡れ状態だったが、この日は1日中そんな感じ。

傘は雨から顔を守るためだけにある。

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台南の夜市を見ていて感じるのは、ちゃんと調理しているなということ。夜市というのは料理が適当なイメージがあるのだが、少なくともわたしが見た限りでは、ちゃんと料理を分かっている人が作っている。

それも、ものすごく手際がいい。こんな雨の日にお店を出すくらいだから、真面目なお店が多かっただけかもしれない。それでも見ていて飽きないくらいの手際のよさ。

満腹だと言いながらも、少し歩いては食べを繰り返し、そのうえホテルで食べる分も購入して、花園夜市を後にする。ここはまた来る必要がある。本来の華やかさをちゃんと見てみたい。

実は台南の夜市は5ヶ所あり、曜日ごとに開いている場所が違う。それをすべて制覇しようと思うと、いったい何度台南を訪れなくてはいけないのだろう。想像しただけでも嬉しい悲鳴しか上がらない。

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戻りももちろんタクシーを使う。本当は神農老街にも行っておきたかったが、さすがにこの雨の中では厳しい。次回への宿題ということにしておいた。やり残しがあれば、また台南に来る理由になる。

理由はなくても来てしまうのだが。

5人いるということでタクシーが簡単に捕まらず、コンビニでタクシーを呼ぶことに。台湾はタクシー文化なので、コンビニの端末を使えばタクシーを呼ぶことができる。アプリでも呼べるらしいがまだ本格的ではない。

北京ではコンビニが少ないため、みんなアプリを使っている。アプリで呼ぶのがあたり前すぎて、目の前を通過するタクシーをスルーするという意味の分からない状態になっているのが北京。台湾はコンビニが多いので、アプリがなくても成立するらしい。

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タクシーを待つ間、コンビニでホテルで飲むお酒を買い込む仲間たち。きっと牛のように胃袋を複数持っているのだろう。そういうわたしもビールをかごに入れていたが。ビールはもちろん別腹。

さらにホテル近くで、かわいい豚のケーキまで買い込みホテルへ戻る。そして23時からの宴会開始。

どんな体力、どんな胃袋をしているのだろう……

翌朝は7時に朝ごはんを食べに行く予定なので、女子はかなり早起きになるはず。でも後のことは後になってから考える精神は忘れない。その日のエネルギーはその日に使い切る潔さ。

今を楽しまないのであれば、それは旅とは言わない。

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そうやって、台湾2日目の夜が過ぎていった。ここまでまだ実質1日しか経過していない。旅としては考えられないくらいの濃密な時間を過ごし、最高に満たされた気持ちで四つ星ホテルの柔らかなベッドに体を溶け込ませていった。


わたしの台南: 「ほんとうの台湾」に出会う旅
著者:一青 妙
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