昨日のブログで1配達300円なら現金受けをして、短い距離の案件だけ受けて移動距離を短くすべきだとお伝えしましたが、その記事を書いた直後にUberEatsから全配達員に「配送料の算定方法 改定に関するお知らせ」という内容でメールがありました。簡単に言えば「300円配達が不評だから算定方法を見直します」とのこと。
配達パートナーの声を聞いてとのことですが、実際にはそんなシンプルな話ではなく、次のような状況になったことが影響しているのではないかと推定できます。
- Yahoo!ニュースで1配達300円が取り上げられ新規の配達員が増えなくなった
- 1配達1.5km以上を受ける人が少なくて廃棄率が増えた
- 最低賃金という観点で違法性のある配達要請が発生している
他にも理由はあるのでしょうが、とにかく配達員が足りていません。UberEatsの配達員は2ヶ月もせずにほとんどが辞めてしまいます。特に自転車で配達している人は余程体力がある人でないと続きません。バイクなら問題ありませんが、東京23区内は路駐などの取締も厳しくてバイクも長く続きません。
なので新しい配達員をどんどん供給する必要があるのですが、1配達300円という話が広まると誰だって普通のバイトを選びます。デリバリーがいいなら高単価の出前館もあります。デリバリーなんて1回なら誰にでもできる仕事ですが、継続するには体力だけでなく適応力なども求められます。それができる人も当然離れていくわけです。
1配達が300円なら長い距離は運ばないと決める人が出てきます。私もその1人ですが、これまではそれを右も左も分からない新人が受けてきましたが、その新人が減ったわけで5km300円みたいな案件は誰も取ってくれません。そうなると注文がキャンセルされるわけですが、それはUberEatsの負担になります。
この廃棄が想定以上になっていることが考えられます。そして昨日も書きましたが5km300円は最低賃金を考える上でも違法状態にあります。最低賃金というのは正社員やアルバイトだけでなく、すべての労働に反映されます。これはあまり知られていないことですが、すべての労働者は原則として最低賃金の対象です。
最低賃金以下の賃金が認められるのは下記のいずれかに該当する場合のみです。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
- 試の使用期間中の方
- 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
- 軽易な業務に従事する方
- 断続的労働に従事する方
UberEatsの配達員はどれにも該当しませんので、時給換算で1,041円が最低賃金になります。5kmの配達はトータルで30分程度かかります。30分の作業が300円ならそれは最低賃金以下となります（しかも300円は税込）。実際には配達調整金額が出るので、そのあたりは考慮されているはずですが、依頼時に「5km300円」となっていれば、それだけで違法だとも考えられます。
今回の料金改定でスリーコインズが改善されるとのことですが、おそらくそれなりの改善が予想されます。そうしないと新しい配達員を確保できないので、インパクトのある改定が想定されます。ただし、これに合わせてインセンティブも変更となっていて、こちらが大幅にカットされます。
インセンティブはクエストと呼ばれるもので、「◯回配達で◯円」という追加報酬が発生するのですが、これも方式を変えるということで、おそらく金額が減るのと、人によってはクエスト未達になるような仕組みになっているはずです。要するにトータルの収入は変わらないことになります。
少なくともUberEatsからの追加での持ち出しはなし。このため改定されてもほとんどの人が影響なし。「UberEatsの配達は1回300円ではない」ということだけが変わります。ただ実際には何をやらかすのかわからないのがUberEatsの面白いところでもあります（人によっては困ったところですが）。
いずれにしても、実際に変更が起きてからでないとどうなるかはわかりません。その内容が悪ければまた人が離れていきますので、そう悪い方にはならないとは思いますが、いかんせん原資が変わらないのですから期待しないで待つのが正解でしょう。さてどうなることやら。
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