誰に向けて文章を書くか

誰に向けて文章を書くか

8月末からずっと自宅作業になっている。今月はまだUberEatsの配達もしていない。わたしは本職という考え方がないのだが、おそらく周りの人からすると「ライター」という職業なのだろう。だが、わたしの中では「重松貴志」という職業なんだと思っている。

正直なところ何で稼ごうと、それはあまり重要ではない。物書きをしていようが、UberEatsで配達をしていようが、仕事には変わりなく、どちらに比重を置くかは考えたこともない。ただUberEatsは好きなときに働くことができ、ライティングは納期があるのでライティングが優先されているだけ。

ただライティングにはもうひとつ利点があって、日常生活の中でランニングができるのだ。UberEatsは体力勝負なので基本的にはランニングをすることはなく、走り筋肉があっという間に落ちていく。今はその筋力を必死になって取り戻している最中だ。

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すでに何度も書いていることだし、古くからわたしを知っている人は、わたしは生粋のライターでないことは知っているかと思う。ライティングのいろはも学んでいないし、厳しい先輩に鍛えられたこともなければ、編集に赤を入れられて悩んだこともない。

1年に1回くらいは数万PVのある記事を書いているが、そんなものはライターならほとんどの人が経験していることだろう。ただ、最近になって気づいたことがひとつある。それはわたしの文章がクライアントに受けるということだ。

必ずしもクライアントとは限らないが、例えばランニングシューズについてのレビューを依頼されるようなことがよくあるが、これはわたしの書いた過去のレビューが、クライアント視点で考えたときに、それなりに良くできた文章になっているのだろう。

わたしが心掛けていることのひとつに「自分の言葉で書く」というものがある。物書きとして生活をしている人ならあたり前のことなのだが、Webライティングの世界では実はあたり前のことではない。どこかから情報を拾ってきて、それを組み合わせて文章にするだけ。

ひどいものだとテニヲハを変えただけというものもある。RUNNING STREET 365ではそういうことは絶対にしない。プレスリリースで「この表現は伝わりやすい」と感じる文章があればそのまま使うが、プレスリリースの内容をそのまま記事にするようなことはしない。

こういう形で情報発信をしている人は多くない。少なくともランニング業界では。

プレスリリースの文章をそのまま掲載したほうが、発信できる情報量が増やすことができる。コピペして最新情報のように流せば、速報性もあるし、それはそれでニーズがある。だが、そこに書かれていることが必ずしも正しいとは限らない。

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ランニングシューズに限らず、世の中の商品というのは売るための宣伝文句を使っており「嘘・大げさ・紛らわしい」のオンパレードで、それをコピペできるほどわたしはビジネスライクにはなれない。自分の発する情報は自分で責任を持つ。それが個人メディアとしてのわたしの基本スタンスだ。

ただ、面白いことにクライアントにはそのほうが評価してくれる。悪い部分もはっきりと書くし、わからないことはわからないと書く。それはRUNNING STREET 365や、このブログの読者を裏切るわけにはいかないから。だから、いわゆる提灯記事というのもやらない。

わたしも人間なので、商品を提供されるとできるだけ良い部分を探して、ポジティブな記事になるようには心掛けている。だが全力で持ち上げる記事にはしない。本当に気に入った場合には、気持ちを込めて記事を書くこともあるが、それは頼まれたから書いているわけではない。

基本的にわたしは熱量で文章を書く。自分の心が大きく動かされたとき、その感覚をそのまま文章にしている。そういう記事はそれなりに読まれるし、バズりやすい。でも熱量がそれほど多くない記事は読まれない。読み手はきちんと熱量を感じて反応しているのだ。

YouTuberでも人気があるのは熱量が伝わってくる人だ。ただ動画と文章は熱量の性質がまったく違う。動画は外側に向かって熱を発するが、文章というのは自分の内側に熱を持つ。もちろんライターによっても違うのだろうが、外側に向かって熱を発するライターは短期間で燃え尽きて消えてしまう。

そういう意味では、わたしはもしかしたら自分自身に向けて書いているのではないかと思うことがある。クライアントでも読み手でもなく自分自身のために文章を書く。自分の熱量を言葉という形にして、封じ込めるために文章を書いているのかもしれない。

他の誰かのために書くわけではないから、他の誰かの心を動かせる。このスタンスがあったからこそ、5年間もライティングを行っており、安定してクライアントがついてくれる。これが他のライターにも活かされるのかどうかはわからない。ただ、あざとい文章を書くのは止めておいたほうがいいだろう。

媚びる文章は誰も幸せにしない。媚びるのではなく熱を封じ込める。封じ込めなくてはいけないような熱量を持つ。それができれば、少なくともわたしと同じくらいに稼ぐことはできる。もっとも非課税世帯と課税世帯を行ったり来たりしているわたしが言っても説得力は0なのだが。

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