かすみがうらマラソンを裸足で走るということ

誤解を恐れずに言えば、みんなで何かをするというのはあまり得意ではありません。わたしをよく知っている人なら、わたしのそのへんのめんどくさい奴っぷりをよく知っているかと思いますが。

例えば仲の良い数名で何かをするというのは好きで、不特定多数の人と何かをするとなると、なぜかモチベーションが上がらずに、そのイベントには参加しなかったりします。

というわけで、今年も裸足ランナーが集まるかすみがうらマラソンへはエントリーせず。

もっともこの時期は毎週、万里の長城マラソンの練習会をするため、どうしてもそちらを優先します。参加メンバーがものすごく走れる人だと、翌日は階段を降りられなくなるくらいの筋肉痛ですので。

そして4月のレースというのは気温が不安定で、わたしの中ではマラソンシーズンはいつも3月で終わりです。

エントリーはしていないものの、かすみがうらマラソンそのものには興味がありましたし、他の裸足ランナーたちがどんな走りをするのか、そしてどんな裸足ランナーがいるのかは気になっていました。

ですので、かすみがうらマラソンの取材ということで土浦へ。

かすみがうらマラソンは10時スタートですので、鶴巻温泉を5時27分に出発しても余裕で間に合います。個人的にはこの時間帯スタートはとてもありがたいこと(出てませんが)。

もっとも土浦にホテルが少ないため、2万人規模の大会を開くにはスタート時間を遅らせるしかなかったのでしょう。

さて、ようやくここからが本題です。

昨日の天気はちょっと尋常ではない気温の高さでした。気象庁の記録によると、最高気温は23.1℃。路面温度はもちろんそれ以上に上がっています。

気温とアスファルトの路面温度は天気によっても変わりますが、23℃の気温なら路面温度は40℃を超えている可能性があります。ただし、多くの裸足ランナーが「路面が熱い」と言っていましたので、40℃どころか55℃以上の路面温度だったと考えられます。

スタート前に「こんな日に裸足なんてどうかしている」と、わたしは言いましたが、わたしの想像以上の過酷な環境で、多くの裸足ランナーがスタートしていきました。

レンタサイクルがすべて出払っていたため、わたしはフルマラソンのコースを逆走する感じで33㎞の先くらいまで走りました。スタートやゴール地点だけで待っていたのでは、その大会の本質を見つけることができません。

とはいえ、てくてく走りでも汗がじんわり出てきます。裸足になろうかと思ったのですが、触るまでもなく危険な路面に思えたので、試すことさえしませんでした。

そんな中で、上位の裸足ランナーがやってきましたが、思った以上に消耗しています。本来ならわたしの前で立ち止まらずに、前に進むような人たちが、いちいちみんな止まっていきます。

立ち止まるきっかけが欲しい。それくらい厳しい戦いがあったのでしょう。

その後方からも裸足で走ってくる人もいたのですが、4時間30分のペースランナーの後ろくらいからは、ワラーチ率が高くなります。途中で裸足を断念してワラーチに切り替えたようです。

とても賢い選択です。裸足で走ることにこだわるのもいいことですが、自分で自分の足の状態を見極めるという、その判断力と感じる力こそ、裸足で走れるということのあるべき姿です。

裸足のフルマラソンなんていつでも挑戦できます。無理してケガをするというのが一番良くありません。じゃあ最後まで裸足で走った人がおかしいかというともちろんそんなわけはありません。

その人たちはその人たちの判断で裸足で走りきったわけですから、それはそれで正解です。

ではわたしだったら、どうなっていたか。その仮定はあまり意味のないものですが、足裏の痛みを抱えたまま、5時間45分くらいで完走といったところでしょうか。

そもそも速く走ることをしませんが、ゆっくりであればあるほど足裏への負担が大きくなります。特に路面の熱さはどんどん足に疲労を累積していきます。わたしの走り方と熱い路面はかなり相性がよくありません。

基本的にわたしは、暑い日と寒い日は裸足にはなりません。楽しくないから。でもきっとシューズを抱えて走るというようなことはしないでしょう。完走できるという自信だけはありますから。

その結果、途中から苦痛との戦いをして、気合と根性で完走。一番ダメなパターンに陥ってしまいそうです。

例えば、これが個人的に参加している大会なら、シューズを選べばいいだけなのですが、みんなで裸足で走ろうというと、そうはいきません。引くに引けずに裸足で走って、痛い思いをする自分の未来が見えます。

昨年は低体温症になってしまった裸足ランナーさんもいたそうです。気温だけはその日にならないとわかりませんので、本当に難しいところです。

かといって、高熱になったアスファルトに適応できることがいいことなのかというのは疑問があります。そもそも人間の体は60℃以上で溶け出すようにできています。熱さを感じずに走れるということは、体のどこかに無理が出てしまうということです。

痛覚のようなものですので、鍛え方次第である程度の温度までは熱さを感じずにいられますが、体は物理的に壊れていきます。痛みは危険信号ですので完全に消してしまうわけにはいきません。

「熱い」と感じたら逃げる。それが自分を守る方法です。

自分が実践できるかどうかは別問題として、それが人間としてあるべき姿です。そこを気合と根性で乗り切ったり、熱さに対抗できる体を作るというのは、どこかズレています。

人間がここまで反映できたのは恐怖心を持っていたから。臆病だったから生き延びられました。

勇気ある人間が評価され、臆病者はバカにされるのが世の常ですが、勇気ある人間の多くが戦場で消えていった歴史も忘れてはいけません。

今回の取材を経て、かすみがうらマラソンに強い魅力を感じたこともありますが、来年はわたしも裸足で走ってみようかなと思います。天候はどうなるかはわかりませんが、昨日よりも悪いコンディションにはそうはならないでしょう。

ただ、同じように路面温度が上ったときに自分がどのような判断をするのか、自分でも興味があります。

できることなら、何事もなく淡々と5時間ちょっとくらいで走れれば理想ですが、さてどうなることやら。ビビリなわたしがスタート時にシューズを履いていても冷たい目で見ないようにしてください。


45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい
著者:和田 秀樹
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