「裸足で走って失格になる」そんな大会とどう向き合うべきか

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裸足ランナーたちの中で「裸足で走ったことで失格」になったランナーさんのことが話題になっています。

奥多摩周遊エコ・ジャーニー99kmに参加した一人のランナーさんが裸足でスタートしたら、大会のスタッフらしき人に止められたそうです。

本人のブログやRUNNETへの書き込みもありますので、間違いなく事実なのでしょう。

大会規約に裸足NGとも書かれていませんし、昨年裸足で走った人もいたそうですが、今年は雨ということもあり「雨のトレイルで裸足は危険」ということだそうです。

「主催者が危険と感じたら選手を止めることができる」の一言でも参加条件に書いてあれば、分からなくはありませんが、「自然を保護し自己責任で行動する」を理念としている大会ですので、「自己責任ってなんだろう?」という難しい話になってしまいます。

裸足で走ることは、ランニング界的にはあまりポジティブに考えられていない現実。裸足は危険であるというある面では間違った認識。その一方で裸足で走ることへのこだわりをもつ裸足ランナー。

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第1回の横浜マラソンでは「裸足での出走はご遠慮ください」と書かれていましたが、「ご遠慮」なら走っていいんじゃないかということで裸足で走った人たちも何人かいたようです。

横浜マラソンの裸足禁止(遠慮)は半分はわたしのせいみたいなところも否定出来ないので、あまり語りたくはないのですが、大会事務局は「裸足で危険な場所がある」ことから裸足では走ってほしくないという意思を示しました。

危険かどうかは走ってみなきゃわからないし、危険かどうかは自分で判断する。裸足ランナーでもない人に勝手に危険だとは判断されたくない。裸足ランナーは「裸足は危険」と言われると反射的にそう考える人が多い気がします。

「裸足は危険だからやめてほしい」と言われると「じゃあシューズは危険じゃないのか」という問題も浮上してきます。

裸足が危険なのは、見た目ですぐにわかる切り傷などが発生しやすい。これはまず否定はしてはいけませんし、どれだけ鍛えていても可能性の面ではケガをする高くなります。

じゃあシューズを履いたランナーは例えばフルマラソンをゴールしたあと、膝などを痛めて1ヶ月近く走れなくなる。痛めていたケガを悪化させる。シューズを履いていなければ回避できたケガはこの場合無視されます。

裸足ランナーたちの多くは、シューズで走れなくなり裸足で走りを取り戻していますので、シューズの危険性を理解していますが、一般の人たちはそんな知識はありません。

前提が違うから話はまったく噛み合いません。

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裸足ランニングの世界にいると、裸足ランナー同士で集まり、そのつながりはとても強いものになります。だから裸足で走ることが当たり前の感覚になります。

でも世の中ではまだまだ認知度が低いし、おそらく10年後も20年後も認知度はそれほど変わらないでしょう。

ランニングの世界の半分はシューズメーカーが動かしていますし、アディダスやミズノ、アシックスがなければマラソン大会は開催できないわけですから、裸足が表に出てきたらすぐに圧力がかかります。

ランニング雑誌で裸足の特集なんてしようものなら、おそらく「もう広告は出さない」くらい言われてもおかしくありません。

裸足ランニングがメディアに載って大々的に広まることはなく、ランニング界のサブカルで在り続けることは変わらないでしょう。

むしろ裸足が注目されればされるほど、これから多くの裸足嫌いの人たちと向き合っていくことになります。

裸足禁止の大会は増えるでしょうし、禁止にしていなくても今回の奥多摩周遊エコ・ジャーニー99kmのように途中で止められることもあるはずです。

そんなときに裸足ランナーとしてどう対処すべきなのか。これからの課題になります。

陸上競技のルールとして「シューズを履いてもいい」となっていることを盾に「裸足で走るのが基本」と主張して相手をねじ伏せても、裸足ランナーへのイメージが悪くなるだけで「そっか自分たちが間違っていた」なんて誰も考えを変えてはくれません。

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人間は批判されると反発する生き物です。

裸足で走るなと言われると裸足で走りたくなり、裸足の良さを主張すればするほど裸足に対して嫌悪感を抱く人たちが出てくる。これは裸足にだけの問題ではなく、どの文化でも見られる現象です。

では実際これらとどう向き合っていくのか。それに正解はありませんが、わたしの考え方だけ述べておきます。

基本的に裸足がNGだと言われたらNGだし、遠慮して欲しいと言われたら遠慮する。

わたしは争いが嫌いだというのもありますが、そこで戦っても争いの火種が残るだけですし、お互い気持ち悪くなるだけ。

以前、派遣社員を応援するサイトを運営していたとき、質問掲示板を設置していたのですが、「どうすれば理不尽な派遣先をギャフンと言わせられるか」というような相談がときどきありました。

「派遣社員の環境をもっとよくしよう!」と活動をしている人もいました。

でもわたしのやり方は「戦わず逃げる」で、「そんなところで戦ってないで、さっさと次に行くべき」ということを言い続けました。

それは裸足ランニングの世界でも同じかなと思います。世の中の不条理や理不尽なことに対して戦っていく人も必要ですし、そういう人たちを批判も否定もしません。

ただ、逃げる人も必要で、古今東西、マイノリティは逃げた人たちの中で繋がれてきたという事実。戦う人は美しいけど、次々と戦いに疲弊して倒れていく。何度も繰り返してきた歴史です。

戦って倒れていった人がいるから、逃げて生き残った人もその他大勢になることを拒む強い意志を持ち続けられるので、どちらも大切。

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裸足を理解してもらえない大会からは距離をおけばいいんじゃないかなと思います。

シューズを履けと言われたら履いたらいいし、今回の人のように失格にしてもらうというのもいいでしょう。ただ、その後はその大会には近づかない。その運営には近づかなければいい。それだけです。

わたしはお金積まれても今後、横浜マラソンを走るつもりもありませんし、今回の件でエコ・ジャーニークラブには近づかないというだけのこと。

エコ・ジャーニークラブの中にも裸足への理解者はいるでしょうし、今回も「ロードはいい」と言っていますので、トレイルでなければ問題は起こらないのでしょうが、「君子危うきに近寄らず」です。

現実問題としては来年の「八丈島一周&八丈富士エコ・ジャーニーマラソン」を走るつもりでしたが、やめることにします。

主催者の人も無用な危険は回避したいでしょうし、裸足ランナーが参加しなくてもこれっぽっちも痛くないでしょうから、近寄らないことが最善の策。

好戦的な人たちは、あえてそこで裸足ランナーを何十人も集めて出場するというのも面白いかと思いますが、わたしはそういうタイプではありませんので、他の誰かに任せます。

繰り返しますが、この問題に正解はなく、それぞれが裸足ランナーとしてどう向き合っていくかを考えるきっかけになればなと思います。

最後に今回の件でつらい思いをされたランナーさんのブログを紹介します。裸足ランナーの方はこそっと覗いて、それぞれが自分ならどうするかを考えてもらえればいいかなと思います。

No.1トレーナーを目指して裸足だから失格!

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