父の仕事:厳しさのない働き方の先にあるもの

あまり父のことを語らないのは、生前もそれほど多くを語り合ってこなかったから。父がどうさんな仕事をしていたのかは、何となくしか知らないし、私も父にそれほど話したことがありません。少なくとも私の父は程よい距離感を保り続けてくれました。

そんな父が関東でしていた仕事のひとつに、コンビニの立ち上げのようなものがありました。歯切れが悪いのは、何かを隠したいわけではなく、詳しくは知らないだけです。私も学生時代は別のコンビニで仕事をしていて、コンビニの話は少しだけした記憶があります。

今日の仕事はそんな父がやっていたであろう仕事に、アルバイトとして携わりました。といっても新店舗の商品補充という単純作業。単純作業なんですが、こういう仕事でも向き不向きがあるもんだということを実感。人間というのはとても興味深い生き物です。


在庫も含めて、ドリンクを棚に入れるだけ。でも在庫を棚に入れるのに、とにかく詰め込む人がいました。それだといろいろ混ざってしまうし、発注も棚卸しもしにくいだろうと、こちらで手直し。もっとも今どきの発注は在庫を目視しているのかどうか知りませんが。

でも、お店で働く人が使いやすいように工夫すべきなのは間違いありません。でも、そこまで考えない人もいるようで、棚に置けと言われたら、棚に置いておしまい。ただ私は「それではダメだ」という立場にありません。だから直せる範囲で直すだけ。

もっとも適当にしたって、お店がスタートしたら店長やアルバイトが使い勝手がいいようにするわけです。だから私のやってることは大きなお世話、もしくは自己満足である可能性も否定できません。でも、仕事というのは必ず繋がっていきます。


自分の仕事が次の人に。次の人の仕事がまた次の人に。できるだけ上手くバトンをつなぐことで、たとえば国の力が上がっていきます。でも、そういう考えをする人ばかりではないのが実情。日雇いのアルバイトを何年も続けている人は、もうそんなモチベーションもないのでしょう。

補充をしているときに、ドリンクに付いているPOPシールの向きがラベル正面を向いていないものがいくつかあることに気づきました。メーカーによっては、きちんとラベルとPOPシールの向きが合っているのですが、そうでないメーカーがあります。

こういうところなんだと思います。日本が弱くなってきたというのは。ラベルとPOPシールの向きを揃えるなんて、それこそ自己満足だと思うかもしれませんが、少なくとも日本の小売店の多くがラベルを正面にして販売します。そのときPOPが横を向いていたら、POPの役割を果たしません。


でも、それを出荷するわけです。それでよしとしている作業者がいて、それをよしとしている管理者がいる。日本はそういうところがしっかりしていた国だったはずなのに、パワハラとかそういう言葉が蔓延し始めて、労働時間も制限がかかるようになってから、明らかに緩くなりました。

きつく注意するとパワハラ扱いになり、辞められてしまう可能性がある。私はこの1ヶ月でいろいろな職場に行きましたが、基本どこの人も優しく、働きやすさを大事にしていると感じでいます。だからどの職場に行くのも不安でありません。

ただ、緩いなとは思うわけです。決して過去が良かったなんてことは言いませんが、厳しさのない仕事、緩くなった働き方の先にあるのは崩壊だけです。日本が世界に誇れるものが減っている。アルバイトに出るとそれを強く感じてしまい、少しだけ憂鬱になります。

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