私はアルバイトと呼んでいますが、フルキャストの仕事は「派遣」になります。そもそも私の社会人は派遣社員としてスタートしています。わかりやすく伝えると、大きな設計会社の正社員という立場で、派遣先で仕事をすることになります。
当時はそれを特定派遣と呼んだり、技術派遣と呼んだりしていましたが、特定派遣は2015年に廃止されました。それはどうでもいいのですが、派遣社員だった時代に、派遣社員向けの情報発信をしていました。そのときもRUNNING STREET 365くらいの影響力はありました。
自分で言うことではありませんが、派遣社員の間では知る人ぞ知るみたいな立場で、いろいろ相談に乗ったりもしていました。派遣先の仕事で午前様になっても、相談に対する返信をしたり、やっていることは今とそう変わらない気がしてきました。
そんなわけで派遣の世界にはそれなりの経験やノウハウがあり、長いブランクがあるとはいえ、語れることはそれなりにあります。ただ、今のような日雇い派遣みたいな働き方をするのは初めてで、いろいろな人がいるということを日々学んでいます。
本当にアルバイト感覚の人もいれば、その世界のプロフェッショナルみたいな人もいて、私のように「経験することこそ人生だ」なんて言っている人間にとっては、かなり刺激的な毎日を送っています。いつか、今の経験をベースに小説を書けるような気がします。
そういう働き方をしつつ、過去の経験も相まって、「この人は派遣に向いていないな」という人が一定数います。たとえば仕事の注意を受けて反論しようとする人。あとは、1回経験しただけで完璧にできると思い込んでいる人。そして質問できない人。
そんな人いるの?と思うかもしれませんが、会社員としてそれなりの地位になった人が派遣で働き始めると、このようなタイプになりがちです。それなりの地位がある人は、注意されることに慣れていませんので、それだけでイラッとしてしまいます。
日雇い派遣という立場で働くようになって、強く感じているのは「派遣社員は正社員の負担を減らす」ことが本来の役割だということ。これを意識できるかどうかで、職場での評価が大きく異なります。ところが多くの派遣社員は「お手伝いをしている」感覚で働いています。
だから目の前の仕事しか見えておらず、それを契約時間内に黙々と終わらせるだけ。一見するとそれで正しいようですし、「それで正社員の負担は軽くなるじゃないか」と思う人もいるはずです。でも、結果的に負担が軽くなるのと、負担を軽くするために働くのとでは、アプローチの仕方がまったく異なります。
正社員の負担を減らすためには、正社員と同じ働き方ができなくてはいけません。時間がかかってもクオリティが正社員と同等でなくてはいけません。そして、その派遣先の文化に従って働くことも大事です。少なくとも日雇い派遣において、自分のやり方ほど意味のないものはありません。
郷に入っては郷に従え。これが日雇い派遣の基本。だから、正社員や長くそこにいる人が「こうして」と言ったことは「絶対」です。「こうしたほうがよくなる」を言っていいのは、100%の確信と覚悟があるときだけです。ただ、それでも基本的には正社員の指示通りに働きます。
たかが派遣にそこまで求めるなと言う人もいるかもしれません。確かにそれはそうなんですが、せっかく働くなら感謝されたいじゃないですか。派遣はサービス業なんです。お客さんは派遣先の社員やスタッフ。そのお客さんに喜んでもらうことが仕事なんですから。