アスリートや芸能人、政治家の不祥事が相次いでいます。SNS時代になって、隠れて悪いことをするのが難しくなったのと、モラルの低下が原因として考えられます。ただ、普通に生きていれば、大抵は脛に傷を負うのが人間です。むしろ傷のない人はどんな退屈な人生を過ごしてきたのか気になります。
あるアスリートは未成年での喫煙でオリンピック出場を逃してしまうらしく、それを厳しいとする人もいます。確かに罪の重さという点では、喫煙でオリンピックを逃したり、甲子園出場を逃したりするのは厳しすぎます。でも、いつも言ってることですが、軽い罪を抑止できないというのは、心に大きな問題を抱えています。
タバコなんか吸わなければいいだけなんです。ポイ捨てと同じで、やらずに済むことなのにやってしまう。いや、タバコには中毒性が……と言うかもしれませんが、タバコを吸ったことがない人が中毒になって、吸いたくなることはありません。何度か繰り返して吸ったからそうなったわけです。
個人的にはきちんとした教育をしていないことが、最大の問題なのかなとは思います。私が生まれてきてから成人になるまで、1度もタバコを吸ってはいけないという教育を受けた記憶がありません。ドラマかアニメなど、どこかで吸ってはいけないものだという知識を身につけただけ。
日本では、社会的に表に出したくないことをを隠す文化があります。たとえば、大東亜戦争について学校の授業で細かく習うことはありません。なぜ戦争になったのが、回避できなかったのか。満州とは?台湾統治とは?全部大人になってから学びました。いまの子はどうなのかは知りませんが。
教育をもっとすべきですし、ここまで重い処分を科すなら、そういうことを明確にすべきです。未成年の飲酒、喫煙によりどのような処分を科すのか、組織ごとではなく、社会全体で決めてしまい、学校で教える。もちろん「そんなに悪いことなら」というのが大前提ですが。
未成年の喫煙や飲酒はよくないこと。これがあたり前のように語られていますが、では20歳を超えたら問題ないとするのはなぜなのか(ちなみに体操協会では「日本代表チームとしての活動の場所においては、20歳以上であっても原則的に喫煙は禁止」としています)。
どのようなエビデンスがあり、どのような議論がされて「成人すればOK」としているのか。そしてそれをオープンにして、学生時代に授業の一環としてきちんと教育してるか。そもそも成人になればタバコがOKというのも「本当なのか」という話もあります。
なぜ窃盗がいけないことなのか、その理由を論理的に説明できる自信のある人はどれくらいいるのでしょう。法律で決められているから?ではなぜ法律で決められている?きちんとした理由はあるはずです。でもダメな理由が社会として共有されていません。
軽犯罪であってもやってはいけない理由。その考え方が共有されていない問題は別にして、それぞれ自分がそれをやらない理由はあるはずです。私が赤信号どころか点滅信号すら基本的に渡らない理由は、私のことを知っている人が、それを見られたときのリスクが大きいからです。
私の知名度なんてしれていますが、それでも思わぬところで声をかけられることがあります。そして私は真面目な人間というイメージを持たれがちで、信号無視は信頼を損ないます。もちろん信号無視だけでなく、些細なネガティブな行為すべてを私は排除しなくてはいけません。
私ですらそうなのですから、アスリートや芸能人、政治家などはさらに気を付けなくてはいけません。でも、それを貫き通すのが難しいのも事実。だって私たちは本能を持つ動物でもあるのですから。だから、欲に負ける部分も含めて人間らしさであり、魅力的な物語だと思っています。本人はそれどころではないのでしょうが。